サブプライム、米MMF3000億ドルのリスクまで高める-CDO経由で

マネー・マーケット・ファンド(MMF) は、安全を確保しながら銀行預金より高い利回りを提供するため37年前に考案 された。このようなファンドの資金の多くは、米財務省証券や譲渡性預金、短 期コマーシャルペーパー(CP)などに投資される。

銀行預金と異なり、米連邦政府によって元本が保障されているわけではな いが、MMFが損失を出すことはほとんどない。だが、投資家が知らないだけ で、MMFは今世界で最もリスクの高い証券に投資している。サブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローンを裏付けとした債務担保証券(CDO) だ。

米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、バンク・オブ・アメリ カやクレディ・スイス・グループ、フィデリティ・インベストメンツ、モルガ ン・スタンレーのMMFは6月時点で、60億ドル(約6900億円)超のサブプラ イムCDOを保有していた。運用資産合わせて3000億ドルのMMFが今年、サ ブプライム関連証券に投資した。

サブプライムCDOを保有していた米ベアー・スターンズのへッジファン ドの破たんは、高格付けCDOにもリスクがあることを浮き彫りにした。ベア ー・スターンズのヘッジファンド損失で一躍有名になった同ファンド運用者の ラルフ・シオフィ氏は実は、130億ドル余りのCDOも運用していた。サブプラ イム関連証券をたっぷり含んだこのCDOを、AIMインベストメント・サー ビスやパトナム・インベストメンツ、ウェルズ・ファーゴのMMFが購入して いた。

SECの規定ではMMFは「信用リスクがごくわずか」な証券にしか投資 できないが、ドレクセル大学のジョゼフ・メーソン教授(金融学)によれば、 サブプライム関連を含むCDOはこれにはほど遠い。

安全性

ベアー・スターンズのヘッジファンド損失で始まった騒動は世界の銀行や 保険会社がサブプライム関連資産の保有を明らかにするにつれて拡大し7、8 月の金融市場を揺るがせた。8月17日には遂に、米金融当局が公定歩合の緊急 引き下げに踏み切る事態に至った。

米投資信託協会(ICI)によれば、米国には3840万のMMF口座がある。 財布代わりの便利な商品として投資家の人気は高い。1970年に初のMMFを作 ったブルース・ベント氏は、MMFはサブプライム関連証券に投資すべきでは ないとして、MMFの特性は「流動性、安全性、そこそこのリターン」だと指 摘した。

今回のサブプライム問題の嵐を受け、投資家は安全を求めて米国債とMM Fに資金を逃避させた。ベアー・スターンズのヘッジファンドが破産法適用を 申請した後の8月8日には、米国のMMF残高は過去最高の2兆6600億ドルに 達した。

安全性の象徴としてMMFは、額面1ドルに対して基準価格が1ドルを下 回ることを許さない。しかし、資産の5%をサブプライム関連に投資していれ ば、最悪のケースでは価格は95セントになってしまう。

マネー・ファンド・インテリジェンス・ニューズレターを発行するクレー ン・データの創業者、ピーター・クレーン氏は、たとえ価格が1ドルを割り込 んでも、銀行やファンド会社がファンドを支えるだろうと話す。

米国でMMFが清算されたのは今までに1度だけだ。1994年にコミュニテ ィ・バンカーズ・ミューチュアル・ファンド(デンバー)が運用するMMFが 投資した証券がデフォルト(債務不履行)となり、ファンドは清算された。こ のときに投資家が受け取ったのは1ドルに対して96セントだった。