NY外為:円急伸、一時対ドル112円に接近-キャリー取引解消で(2)

ニューヨーク外国為替市場では円が急伸。 ドルに対して2006年6月以来の高値に上昇した。オーストラリアやカナダの 企業が債務を借り換えられずに緊急資金援助を模索するなか、投資家はキャリ ー取引を解消した。

1998年8月のロシア金融危機の際にもキャリー取引の解消が活発化し、 その当時の円は2カ月未満で20%上昇した。

バンク・オブ・ニューヨーク(BONY)の上席通貨ストラテジスト、マ イケル・ウールフォーク氏は、「市場はパニックの様相を呈している。本格的 にキャリー取引が手じまわれているが、まだ始まりに過ぎない」と語った。

ニューヨーク時間午後4時26分現在、円は対ドルで1.9%上昇して114 円39銭。一時は06年6月以来の高値となる1ドル=112円01銭を記録した。 円はまた、ユーロに対しても2.1%上昇し153円55銭。一時は06年11月 以来の高値150円03銭まで買い進まれた。

この日はS&P500種株価指数が0.3%反発し、円は値上がり分の一部 を削られた。

円はニュージーランド(NZ)ドルに対して78円84銭まで上昇。前日 は同82円78銭だった。今週に入り円は対NZドルで12.6%上昇している。

対豪ドルでの円も上昇し、1豪ドル=90円67銭と、前日の同95円62 銭から大幅に上昇した。オーストラリアとニュージーランドは政策金利がそれ ぞれ6.5%と8.25%の高水準にあることから、キャリー取引での資産運用通 貨として利用されている。日本の金利は0.5%で先進国のなかでは最低。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの為替ストラテジスト、 ラジーブ・バルガバ氏は、「キャリー取引は今は亡き者だ。リスク許容度が抑 えられ、投資家は高リスク資産を避けている。円に対するショートポジション が市場から消えている」と語る。

スイス・フランも上昇

キャリー取引の資金調達通貨として利用されるスイス・フランも上昇。主 要16通貨のうち15通貨に対して値上がりした。スイスの政策金利は2.5%。

この日のドルはユーロに対しては2カ月ぶり高値、英ポンドやNZドル、 豪ドルに対しても上昇した。金融機関や資産運用会社がリスクの高い住宅ロー ン証券の購入の際に借り入れたドル建て融資の返済を急いでいることが一因と なった。またサブプライムをめぐる混乱のなかで、投資家は安全性を求めてド ル建て資産に買いをいれた。

BONYのウールフォーク氏は、「安全性への逃避からドルはずいぶんと 買いを集めている。この嵐が収まるまで、そして投資家の自信が回復するまで ドルは短期的には堅調に推移するだろう」と語った。

ドルはユーロに対して1.3423ドル。前日は1.3442ドルだった。この 日は一時、6月15日以来の高値となる1ユーロ=1.3361ドルをつけた。今 週のドル相場は、主要16通貨のうち円を除く15通貨に対して値上がりして いる。

オーストラリアのラムズ・ホーム・ローン

この日の円は、オーストラリアの住宅ローン会社、ラムズ・ホーム・ロー ンズ・グループが米国で短期資金61億7000万豪ドル相当の借り換えに失敗 したことを明らかにしたことが材料となり、上昇し始めた。

カナダの金融サービス会社コベントリーは資産担保コマーシャルペーパー (CP)の売り出しに失敗、7億9000万カナダ・ドルの緊急資金援助を模索 した。

1カ月物ドル・円オプションのインプライドボラティリティ(IV、予想 変

動率)は最大20%と、1999年以来の最高に上昇。ユーロ・円のIVは

19.5%と2000年以来の最高を記録した。