NY外為(10日):円は反落、FRBは前日を上回る大量の資金を供給

ニューヨーク外国為替市場では円が反落。 欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)が前日に続いて大量 の資金を市場に供給したことから、信用収縮への懸念が幾分か和らいだ。

サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン問題を発火点に信用 不安が広がったことから、低金利の円で借り入れた資金を高利回り通貨に投じる 「キャリートレード」が手じまわれ、円は一時、対ユーロでほぼ4カ月ぶり高値 まで買い進まれていた。欧米以外にもこの日は日本やカナダ、オーストラリアの 中央銀行がクレジット市場の危機を回避しようと資金を供給、供給規模は合計約 1357億ドルに達した。

ウェストパック銀行の為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ 氏は、「中央銀行の資金供給で市場は冷静さと安定を取り戻した」と指摘。キャ リートレードを手じまう動きに対しては「若干の圧力低下につながった」と説明 した。

ニューヨーク時間午後4時1分現在、円は対ユーロで0.5%下げて162円 38銭。一時は4月19日以来の高値となる159円98銭まで上昇していた。円 は対ドルでは0.3%下げて118円55銭。前週末の118円5銭からは0.4%の 円安。対ユーロでは前週末から0.1%値上がりした。

中銀の資金供給はドルが対ユーロで下げに転じるきっかけにもなった。ド ルは対ユーロで1.3699ドル。前日の同1.3678ドルから0.2%のドル安。一 時は1.3642ドルまで上げていた。

週間ベースではドルは対ユーロで0.5%の値上がり。信用不安を背景にド ル建ての安全資産に資金が流入した。ドルは7月24日に記録した対ユーロ最安 値、1.3852ドルから値を戻している。

「一時しのぎ」

フォレックス・ドット・コム(ニュージャージー州ベドミンスター)の主 任通貨ストラテジスト、ブライアン・ドラン氏は、「市場は一時しのぎを与えら れたに過ぎない」と語る。「中央銀行はパニックを回避したい。しかしポジショ ン解消に終了のシグナルを出したわけではない。キャリートレードには依然とし てダウンサイドリスクがみられる」と述べた。

キャリートレードの調達通貨である円はこの1年間、対ニュージーランド (NZ)ドルで17.4%、対オーストラリア・ドルで11.6%、対ポンドで

8.9%値下がりした。

日本の政策金利は0.5%と主要国のなかで最低。これに対してユーロ圏は 4%、米国は5.25%、オーストラリアは6.5%、ニュージーランドは8.25%、 英国は5.75%に設定されている。

ニューヨーク連銀は公開市場操作で3回のレポを通じ、合計380億ドルを 市場に供給。サブプライム住宅ローン担保債の破たんでゆれる市中銀行の現金需 要に対応した。これを受けて米国株式相場は安値から戻した一方、米国債相場は 下げた。

S&P500種株価指数は一時、前日比1.6%安まで下げていたが、前日と ほぼ変わらない水準まで値を戻した。

FRBは、「金融市場の秩序ある機能を支援する」ため、必要な資金を供給 する方針を表明した。FRBがこうした声明を発表するのは、2001年9月11 日の対米同時多発テロに対応して以来初めて。

ECBは10日、市場に610億5000万ユーロを供給。前日はECBが過 去最大の948億ユーロ、FRBが4月以来最大の240億ドルを供給していた。

日本銀行も1兆円を金融システムに供給。オーストラリア準備銀行もこの 3年以上で最大規模の資金を供給した。

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