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シャープ:堺に液晶新工場、最大パネルを一貫生産へ-投資1兆円(4)

液晶テレビ最大手のシャープは31日、亀山 工場(三重県亀山市)に続く液晶パネル新工場を大阪府堺市に建設すると発表し た。11月に着工、2010年3月までに稼働させる。装置や部材メーカーの生産設 備を誘致、ガラスからパネル、液晶テレビまでを一貫生産する「21世紀型コン ビナート」として整備する。同社が建設する太陽電池工場も加え総投資額は約1 兆円を見込んでいる。

液晶テレビの価格低下が進行する中、各社は利幅の大きい大型製品の効率生 産に努めている。シャープは亀山工場で40型なら8面、50型では6面が取れる 「第8世代ガラス(8G)」(2160×2460ミリ)対応のパネルを生産しているが、 増産で08年に敷地に余裕がなくなるため、新工場建設を3月に表明していた。

堺の新工場は、60型で6面、50型なら8面、40型なら15面を取れる「第 10世代ガラス(10G)」(2850ミリ×3050ミリ)に対応する。このサイズは8 Gの1.6倍。生産規模は稼働当初は10G換算で月3万6000枚だが、量産時には 7万2000枚とする。「コンビナート」全体の敷地面積は127ヘクタールで、現 状では世界最大の液晶工場になる見込み。

太陽電池工場も併設し、10年3月までに稼働させる。生産量は当初から年 間1000メガワットと世界最大級とする。装置や部材のメーカーの工場も誘致し、 「企業の垣根を超えた垂直統合」を目指す。大阪市内で記者会見した片山幹雄社 長によると、大日本印刷や米コーニングなどが進出に同意。近隣の旭硝子からも ガラス基板の供給を受ける。工場用水の供給・浄化設備なども併設する。

片山社長は、投資額の内訳について、液晶工場が土地代も含め約3800億円、 ガラスやフィルターの工場、インフラなどの整備が4000億-5000億円を計画し ていると語った。太陽電池工場の投資額は明らかにしなかった。また「敷地内で はもう1つ液晶パネル工場を建設できる」としながらも、第2工場を作るかどう かも明言しなかった。生産した液晶パネルは「一部のセットメーカーに戦略的に 供給したい」という。

競争激化

液晶テレビで最大のライバルであるソニーと韓国サムスン電子の合弁企業S -LCDも7月に8G対応の新工場を稼働、8月に量産を開始する。追いつかれ た格好のシャープはさらに効率の良い10G対応の新工場建設でリードを保ちた い考え。プラズマテレビで世界最大手の松下電器産業も2800億円を投じ、最大 で月産100万台(42型換算)の生産能力を持つプラズマパネル新工場を建設、 09年5月に操業を開始する予定だ。

片山氏は、シャープの液晶テレビの世界シェアが現在10%程度だとしたう えで、「世界的なブランドとして認められるには最低15%、できれば20%のシ ェアが必要」と述べ、新工場建設でこの水準を目指す考えを示した。達成時期に は触れなかった。片山氏の試算では、06年度に4700万台だった世界の液晶テレ ビ需要は07年度に7260万台、11年度には1億2000万台に達し、うち40型以 上の大型製品の比率は07年度に20%だが、11年度には40%になるという。

野村証券金融経済研究所の片山栄一アナリストは、発表後にまとめたリポー トで、「業績予想に具体的に織り込むのは尚早だが、液晶と太陽電池というばく 大な市場ニーズがある両成長分野で究極の垂直統合を目指す戦略はポジティブ」 と評価。今後は「片山社長が言う第10世代の『戦略的供給』先が今回の投資の パフォーマンスを評価する上で重要」と指摘している。

大和総研の三浦和晴アナリストは、07年第1四半期(4-6月)に薄型テ レビの価格低下が進行したものの、「グローバルに見てテレビの薄型化比率は半 分以下」と述べ、中長期的に需要増は期待できると指摘。台湾勢が価格低下を背 景に投資を手控えるなどしている中で、新工場建設は「シェア上昇につながりチ ャンスだ」との見方を示した。

みずほインベスターズ証券の大澤充周アナリストも、「サムスンが10G投 資をやらないとの見方もある中、シャープが新工場を建設して50型以上の大型 テレビの供給力を強化すれば、アドバンテージは保てる」とみている。

片山氏は、堺で生産する液晶テレビは当面42型を主軸とすることや、生産 したテレビの半分以上は海外向けとする考えを示した。また、基板規模の小さい 第4世代や第6世代のラインを海外企業に売却するかとの問いには「あり得な い」と否定した。

3800億円は内部留保で

片山氏は、新工場建設に投じる3800億円は内部留保で賄い、新規借り入れ などは予定していないと述べた。関連設備や太陽電池工場も併設する「コンビナ ート」方式の採用により、個別に建設するよりもコストが抑制できたと説明。大 阪府の補助制度も利用する考えを示した。

「コンビナート」全体の敷地面積は127ヘクタール。船舶輸送などを考え、 堺市の臨海部の埋立地に建設する。立地の理由について片山氏は、奈良県の液晶 や太陽電池の研究開発拠点に近く技術者の交通の便が良いうえ、大阪市のシャー プ本社にも近いことを挙げた。

シャープは昨年10月、内部留保主体で投資を賄う経営姿勢を大転換。12年 半ぶりのエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)として、2000億 円の無担保転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行した経緯がある。

亀山の総投資額は5000億円強

シャープは02年9月に、液晶テレビの一貫生産拠点として亀山工場の建設 を開始、04年1月に稼働させた。当初は32型で8枚、37型であれば6枚が取れ る「第6世代ガラス(6G、1500×1800ミリ)」に対応した第1工場だけだっ たが、05年7月には大型テレビの需要増に対応し、8G対応の第2工場を昨年 8月に稼働させた。

現在、第1工場の生産能力は6G換算で月6万枚、第2工場では8G換算で 月6万枚。亀山全体のここまでの投資総額は3150億円だが、今後は2000億円を 追加投資し、08年中に第2工場での8G換算生産能力を月9万枚に引き上げる 計画だ。第2工場の生産能力は今月に入って、それまでの月産3万枚から倍増。 今年の歳末商戦に向け、欧州や北米などでの供給体制を強化している。

シャープ株価の終値は前日比30円(1.5%)高の2065円。

--共同取材 鈴木宏 Editor:Taniai(hin/hoz/kzt/okb)

大久保 義人  Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 テオ チャンウェイ Teo Chian Wei +81-3-3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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