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コロンビア:「百年の孤独」の世界へ観光客や投資家誘う-課題は治安

コロンビアのカリブ海沿岸の都市、サンタ マルタから89キロの旅を終えた3両編成の旅客列車が、青々と茂ったバナナ農 園に入っていく。ここアラカタカは、コロンビアが誇るノーベル賞作家、ガブ リエル・ガルシアマルケス氏の生地で、代表作「百年の孤独」で描かれた架空 の村、マコンドのモデルとなった場所だ。

定期運行が2008年から始まる予定のこの列車は、観光客を呼び込もうと躍 起のコロンビア政府が打ち出した最新の観光の目玉だ。現在80歳のガルシアマ ルケス氏自身も6月の試運転で客車に乗り込んだ。

過去40年余り、コロンビアは麻薬絡みの暴力と度重なる誘拐事件に悩まさ れてきた。ゲリラと暗殺団で知られた土地に、観光客、ひいては投資家を呼び 込むというのは、ガルシアマルケス氏の小説が生み出す「魔術的リアリズム」 の中でのファンタジーのようだが、コロンビアのウリベ大統領(55)は本気だ。 02年8月の大統領就任後、麻薬に関連するギャングやゲリラによる暴力事件や 民兵の数は大きく減少した。

02-06年に誘拐事件は76%減少。殺人も40%減った。民兵やゲリラ、約4 万人が減刑や職業訓練と引き換えに武器を放棄。その結果、コロンビアのホテ ルに宿泊した外国人旅行者数は昨年ほぼ200万人に達した。外貨20億ドル (約2400億円)相当をもたらし、ほぼ30年ぶりの高成長となっているコロン ビア経済を支えるまでになった。06年のコロンビア成長率は6.8%と、メキシ コの4.8%やブラジルの3.7%を上回った。

将来

首都ボゴタにあるオフィスでインタビューに応じたウリベ大統領は、「私の 政権の3つの主な目標は治安強化とコロンビアに対する国内外の投資家の信頼 感を高めること、それに社会保障面での目標を達成することだ」と述べた。

大統領は06年5月28日の大統領選で62%の票を集め、再選を果たした。 約20年前に父親がゲリラに殺害された大統領は、少なくとも18回の暗殺未 遂に巻き込まれている。

コロンビアが安全な場所で、訪れる価値のある場所だとのウリベ政権のキ ャンペーンが成功したように見える今でも暴力事件は続いている。今年6月18 日、人質として5年間、コロンビア革命軍(FARC)により拘束されていた 地方議員11人が殺害された。

スキャンダルも政権に打撃を受けている。司法当局は大統領の支持者であ る国会議員11人に加え、数十人の地方の政治家が、民兵組織を支援する見返り に、選挙での大統領への投票を取り付ける買収工作に関与したとして摘発した。

経済の立て直しには成功したウリベ大統領だが、コロンビアはまだ治安が 安定せず、投資家や観光客が将来逃げ出しかねない状況にあると認識している。 「この国では容易なことは何もない。前向きになるためには、何事にも懸命に 取り組む必要がある」と語った。来年、アラカタカへ向かう列車の座席が半分 しか埋まらなければ、大統領の最善の努力がうまくいっていないということに なるのかもしれない。

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