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米株式相場はM&Aプレミアム失う、LBO鈍化や債券利回り上昇で

6月のM&A(企業の合併・買収)が1年 4カ月ぶりの大幅な落ち込みを見せたことから、米株式相場は債券相場に比べ て過去2年で最も割高感が強まっている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、年初以降記録的なペースで発 表されてきた企業買収は6月に49%落ち込んだ。デラウェア・インベストメン ツやシティ・ナショナル・バンクなどはM&Aの落ち込みに加え、レバレッジ ド・バイアウト(LBO、買収先の資産を担保にして資金を調達した買収)会 社のブラックストーン・グループの株式公開決定が、5年にわたる強気相場の 終わりが近づいていることを示唆していると指摘している。

M&Aにけん引され、S&P500種株価指数は前四半期に過去最高値を更 新した。配当や自社株買いなどを勘案した株式のリターンは先月、10年物米国 債利回りを0.18ポイント下回り、同比較では2005年3月以来の低水準となっ た。株式のリターンが債券を上回るのは買収に伴う現金を加味した場合だけだ。

デラウェア・インベストメンツで1500億ドルの運用に携わるジョーダ ン・アービング氏は「株式は恐らく、さほど割安ではないようだ」と述べ、 「上昇の一部はM&Aで弾みがついたものだろう」と指摘。同氏は割安銘柄を 見いだすのが「極めて難しい」ため、1-3月(第1四半期)以降、新たに株 式を購入していないと話した。

S&P500種は4-6月(第2四半期)に5.8%上昇し1503.35ポイント で終了。第2四半期のリターンとしては2003年以降で最高となった。同期間 の企業買収は前年同期比で68%増加し約7400億ドル(約91兆2000億円)規 模に達した。ただ6月はS&P500種が1.8%下落した一方、10年物米国債利 回りは02年以来の高水準に達し、企業の借り入れコスト上昇とM&Aの鈍化 を招いている。

キャシュイールド

S&Pと調査会社ビリニ・アソシエーツのデータによると、配当と自社株 買い、株主が買収から得た資金を含めたS&P500種の平均キャシュイールド は3月の7.55%から先月は5.32%に低下した。買収からの現金を除いた場合、 イールドは4.92%となり、10年物米国債利回りの月平均5.10%を0.18ポイン ト下回った。

キャッシュイールドからみて、株式が債券よりも魅力が低下したのは05 年3月以来。当時は0.64ポイントの差があった。M&Aを加味すると、6月 は株式のキャッシュイールドが債券を0.21ポイント上回る水準だった。

ハードフォードの最高投資ストラテジスト、クウィンシー・クロスビー氏 は、M&Aが「株式相場の大きなサポート役だった」と指摘し、「一段と割高 な資本や、リスクプレミアムと債券利回りの上昇などによってこうした状況が 打ち消されつつあると市場が受け止めれば、株式相場は大幅な後退を演じるだ ろう」と予想した。

ブラックストーンのIPO

投資家の一部には、ブラックストーンの新規株式公開(IPO)はM&A ブームの終わりを示す新たな前兆だという指摘もある。

ブラックストーンが保有する企業の従業員数は合計約37万5000人、年間 売上高の合計は830億ドル。ブラックストーンが6月21日に実施したIPO は、米国では5年ぶりの大型案件だったが、同社株は上場3日目にIPO価格 の31ドルを割り込み、6月29日には前日比42セント安の29.27ドルで終了 した。

シティ・ナショナル・バンクの最高投資責任者、リチャード・ワイス氏は 「内部からピークだと言う人がいるなら、その人の言動に注目すべきだ」と語 る。同氏はS&P500種の年初来の6%の上昇は、半分がM&Aが要因だと分 析し、M&Aのさらなる鈍化が「さえない見通しをさらに悪化させるかもしれ ない」と指摘した。

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