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米住宅ローン金利上昇:住宅市場と経済に広範な打撃-「流血の惨事」か

米住宅市場の最悪期はまだこれからだ。

30年物固定金利型住宅ローン金利は過去5週間に0.5ポイント余り上昇し、

6.74%に達した。サブプライム融資の審査厳格化で住宅購入者の総数が制限さ れているところへ、プライム(優良)な借り手にまで環境悪化が拡大してきた。 全米不動産業者協会(NAR)によると、2007年の米住宅中間価格は大恐慌以 来で初の前年比下落となる見込みだ。しかも、住宅在庫は420万戸と過去最高 水準にある。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)の運用者、マーク・キーセル氏は「流血の惨事だ」として、「市 場低迷は2、3年続き、雇用創造から消費者信頼感まであらゆる分野に影を落 とし、最終的には株式相場と企業利益にまで影響が及ぶだろう」と話す。

全米ホームビルダー協会(NAHB)が今週発表した6月の米住宅市場指 数は28と、1991年2月以来の低水準となった。5月の住宅着工件数は4カ月ぶ りに減少した。

ルービニ・グローバル・エコノミクスを経営するヌリエル・ルービニ氏は 「もはや単なる住宅部門の不況とは言えず、事態はリセッション(景気後退) の様相を増している」と指摘する。

痛みはこれから

米証券会社ゴールドマン・サックス・グループやベアー・スターンズは先 週、住宅ローンの担保物件差し押さえの増加が業績に影響したことを明らかに した。ゴールドマンのビニアー最高財務責任者(CFO)は、サブプライム住 宅ローンの不良債権問題の影響はまだ、米住宅ローン担保証券(MBS)を保 有する投資銀行や保険会社、年金基金、資産運用会社に完全には波及していな いと述べた。残高6兆ドル(約740兆円)規模のMBS市場で、サブプライム MBSは約8000億ドル。

ビニアーCFOは14日の電話会議で、「サブプライム市場はまだ底に達し ていないと思う」として、金融「システム全体に影響が行き渡るにつれて、痛 みは悪化するだろう」と語った。

変動金利型住宅ローンは平均で、過去3年に設定されたローンの約29%を 占める。これらのローンがより高い金利への切り替えを迎えるのと同じ時期に、 多くの借り手は住宅価格下落に直面する。

PIMCOのキーセル氏は「人々は住宅ローン返済額が40-50%上昇した のを見て、『家を手放さざるを得ない』と思うだろう。そのような状況にある人 の数は数百万人に上る」と述べた。

最近の固定金利型住宅ローン金利の上昇は04年以来で最大のペースだ。し かも住宅価格は下落していると、キーセル氏は指摘。失業率が上昇し始めたら、 すぐに利下げをしない限り、住宅部門が米経済をリセッション(景気後退)に 突き落とすだろうと述べた。

リセッションの確立50%

米連邦準備制度理事会(FRB)が3カ月前に発表したグリーンスパン前F RB議長らの論文によると、住宅購入時に組んだ住宅ローンに加え、住宅の持 ち分を担保として資金を借り入れるホームエクイティ・ローンの残高は9137億 ドルに上る。住宅価格が53%上昇した2000-05年の間に借り入れられた資金の 約3分の1は、自動車など消費財の購入で消えているという。

当局が政策金利を引き下げればプライムレート(最優遇貸出金利)が下が り、さまざまなローンの金利も下がるが、6月の米連邦公開市場委員会(FO MC)では金利は据え置きの見通しだ。

ルービニ氏は、住宅販売の減速は少なくともさらに1年続き、中間価格は 今年と来年に5%下がると予想する。同氏によれば、1990-91年のリセッショ ンの主因は、過去7年と同様の不動産ブームとその崩壊だった。1980年代半ば の不動産「バブル」が投機目的の購入と甘い与信につながり、さらに差し押さ え増加につながった。デフォルト(債務不履行)増をきっかけに信用収縮が起 こり、1990年春のリセッションに至った。

ルービニ氏は、今回も米経済がリセッション入りする確率は50%とみてい る。同氏の確率はグリーンスパン前議長の33%よりも高い。

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