コンテンツにスキップする

でんぷんメーカーが苦闘:トウモロコシ高騰で価格転嫁が追いつかず

シカゴ穀物市場でのトウモロコシ相場高 騰が、国内のでんぷんメーカーに影響を及ぼし始めた。国内に12あるでんぷ ん製造業者の全てが加盟する団体、日本スターチ・糖化工業会の中野健一・専 務理事は「このままいくと脱落するところが出てくるかもしれない」と危機感 を募らせる。トウモロコシの価格上昇の速さに製品への価格転嫁が追いつかな いためだ。

シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されるトウモロコシ(期近9月限) 相場は19日終値で1ブッシェル当たり4.04ドルと、過去1年でほぼ倍増。三 井物産・食料・リテール本部穀物油脂部の大豆トレーダー、大久保達也氏は 「経済発展に伴い、中国が石炭・鉄鋼の輸入量を増やしているため海上輸送船 の需給がひっ迫し、トウモロコシなど穀物の輸送料も高騰している」と分析す る。

国内で製造されるでんぷんの84%はコーンスターチで、その原料となるコ ーンスターチ用トウモロコシは、年間消費量355万トンの95%を米国産に依存 している(2004年穀物年度)。その米国で自動車用燃料となるバイオエタノー ル向け需要の拡大でトウモロコシ相場の急騰に拍車をかけている。

コーンスターチの使用用途は、ビール、水産練製品などの食品用や、段ボ ール、製紙繊維などの工業用などだが、65%は清涼飲料水や発泡酒などに使わ れる異性化糖(糖液)の糖化原料となる。

高い原価コストが痛手

トウモロコシ価格の高騰を受けて、王子コーンスターチの鹿倉美彦専務は 「コーンスターチのコストに占めるトウモロコシの割合は50-60%」としたう えで「価格上昇が収益を厳しく圧迫する」と訴える。

国内コーンスターチ最大手の一つである日本食品化工。2007年3月期連結 業績で売上高が前年同期比1.2%減だったのに対し、原料価格の高騰で営業利 益は53.4%も減少した。

同社・総務部でIRを担当する松本健二氏は「製造原価が急騰しているの で(業績回復のために)卸値価格を見直すよう販売先にお願いしている」が、 実際は「赤字分が何とかなるだけの価格転嫁を認めてもらっている状況だ」。 同氏は、トウモロコシ相場が前年比で2倍の値上がりとなっていることで「価 格転嫁が追いつけない」と困惑ぎみだ。

清涼飲料水大手のキリンビバレッジを子会社に所有するキリンビール・コ ーポレートコミュニケーション部IR室の戸塚真理奈氏は「原料価格は前年に 契約を結ぶので基本的に定まっている」としつつも「第3四半期ごとに交渉し ていく」という。ただ、「できるだけ製品価格を上げないよう努力していく」 と強調する。

JPモルガン証券・株式調査部で食料・飲料水業界をカバーしている高木 直美シニアアナリストによると、清涼飲料会社やビール会社は、製品の価格転 嫁が難しい業界だと指摘。「他の食品業界に比べ、企業数が10社以上と競合 度が激しいため、値上げを行なうところはすぐに脱落していくためだ」(同 氏)という。

トウモロコシ相場が今後、さらに強基調で推移するようであれば、卸売価 格の値上げだけで済まされないシナリオも現実味を帯びる。「頑張っているけ れども、かなり厳しい」--王子コーンスターチ・鹿倉専務のこの言葉は、業界 全体の現状を表している。でんぷん業界の苦闘は当面、続きそうだ。

---Editor:abe

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE