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竹中氏:安倍政権は「戦略的アジェンダ」を-金融政策「おかしい」(2)

小泉純一郎前政権で構造改革の旗を振った 竹中平蔵元経済財政担当相(慶応大教授)は18日、ブルームバーグ・ニュー スのインタビューに応じ、安倍晋三政権は経済成長や改革の推進に向けて「戦 略的アジェンダ」を明確に打ち出すべきだとの見解を表明した。このため首相 がリーダーシップを発揮できるよう「首相を支える人たちに頑張ってもらいた い」と述べ、閣僚や首相補佐官による一層の努力の重要性を強調した。

竹中氏は、日本銀行の金融政策について、日銀はデフレ脱却と緩やかなイ ンフレの実現のために現在の物価水準への十分な説明と具体的な解決策を示す べきだと強調、過去数年の金融政策は「非常に珍しく、おかしい」と批判した。

その上で、「日銀は、多くの国がそうしているように、1%から2.5%の緩 やかな消費者物価水準を実現するということを明確にコミット(約束)すべき だ。デフレが解消されたか、つまり消費者物価がわずかなプラスか、マイナス かを言うことは、政策論としては意味がない」と語り、かねてからの持論であ る物価目標設定の必要性を唱えた。

現在の外国為替相場に関しては、「円は少し安すぎるという実感を持って いるが、修正されていくと思う」と分析。2008年3月に任期満了を迎える日銀 の福井俊彦総裁の後任としての就任要請があった場合の対応については「公職 に就く考えはない」と語り、応じない意向を示した。

竹中氏は景気の現状について、「非常にしつこいデフレが続いている」と 言及。小泉前政権が掲げた「2006年度中のデフレ脱却」との公約に関して、 「内閣府と日銀は、まずどうしてこれが達成できなかったのかをちゃんと説明 しなければならないし、どのようにフォローアップするのかという具体策を示 さなければならない」と語り、内閣府、日銀が説明責任を十分果たすよう求め た。

安倍政権は19日、2006年9月の発足以来初めてとなる経済財政運営の指 針を明記した「基本方針2007」を発表する。原案では技術革新(イノベーショ ン)や規制改革を通じた労働生産性の向上や自由貿易協定(FTA)を柱とす る経済連携協定(EPA)締結の加速などを目指す方針を打ち出している。

竹中氏はこの骨太の方針に関して、「メッセージがどこにあるのかちょっ と分かりにくい」と指摘。経済成長や社会保険庁改革、教育改革など「方向は すべて正しいと思うが、それを実現するためのより戦略的なアジェンダという ものが若干欠けているという印象を持っている」と述べた。

このため、「問題は、閣僚全体、補佐官全体として力が不足していること だ。安倍首相自身は改革へのパッション(情熱)を持っておられるから、ぜひ それを支える人たちに頑張ってもらいたい」と語った。

市場関係者から観測が出ている日銀による「8月利上げ」の是非について は、「物価に対して責任を持っているのが日本銀行だ。まずデフレを克服して 緩やかなインフレを実現するのが日銀の仕事だ。その物価の状況を見ながら名 目金利をどうするかを決めるべきだ」と言明。併せて「日本銀行の今の最大の 問題は、物価について何もコミットせず、『とにかくゼロ金利から離脱するた めに金利をプラスにする』とだけを言っていることだ。これは金融政策のそも そも論として、非常に珍しい、おかしい現象がここ数年来ずっと続いている」 と述べた。

竹中氏は安倍政権を取り巻く政治状況について、「最近の社会保険庁の不 祥事で非常に政権が混乱して、かつ農林水産相の自殺などでさらに混乱する中 で、改革へのモメンタム(機運)が若干失われている」との認識を示した。小 泉前政権と安倍政権の下での経済財政諮問会議の役割が変化しているのではな いか、との質問には、「多くの専門家と永田町関係者はそのような認識を持っ ている。わたしにも残念ながらそう見える」と語り、諮問会議が官僚主導にな りつつあるとの認識を示した。

その上で、「今回、成長戦略、教育再生、オープン、イノベーションとい うキャッチフレーズはあるが、そのためにどうするかという戦略的アジェンダ が見えてこない。戦略的アジェンダをつくることこそが経済財政諮問会議の最 大の役割なのだが、残念ながら、この半年間ぐらいに、一部はあったが、必ず しも十分ではない」と語った。

さらに7月の参院選を控え、国内報道機関の世論調査で安倍内閣の支持率 が30%前後と低迷していることに関しては、「多くの政治家を見渡して、安倍 さんだけが改革を続けられる首相になれる人だと思う。その意味で安倍さんに 頑張ってもらいたい。それが日本経済にとって一番いいのではないか」と述べ た。その上で、参院選の行方について「政治は極めて不安定なものだ。どうい う結果になるかは、やはり参院選を見てみないと分からない」と語り、改革を 争点とする政界再編に期待を示した。

--共同取材:矢田康子 Editor:Ushiroyama

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