コンテンツにスキップする

【米経済コラム】米政策金利、08年まで5.25%に維持か-J・ベリー

米連邦準備制度は今月の連邦公開市場委員 会(FOMC)で政策金利を5.25%で据え置く見通しだ。バーナンキ米連邦 準備制度理事会(FRB)議長や大方の金融当局者の予想通りに米経済が動け ば、年内だけではなく2008年もひょっとしたら、金利は変更されないかもし れない。

昨年から続く政策金利のこうした安定は、金融政策をめぐるアナリストの 見通しの変化と著しい対照を見せている。

昨年6月以降のFOMC声明の議事録は、当局が景気減速よりもインフレ を懸念していることを一貫して示しているにもかかわらず、多くのアナリスト はこの数カ月、利下げを確信していた。07年1-3月(第1四半期)の米国内 総生産(GDP)改定値が前期比年率0.6%増にとどまったことや、住宅市場の 一段の低迷を受け、利下げ観測は強まった。ゴールドマン・サックス・グルー プのエコノミストらは、年末までに少なくとも3回の利下げがあり、政策金利 は4.5%に引き下げられるとの見通しを顧客に示していた。

しかしながら金融当局は、米経済が潜在成長率をやや下回るペースで拡大 し続け、コアインフレ率は「高い」水準から緩やかに低下するとの見通しを堅 持している。

ここにきて景気は明らかに好転しつつあるが、バーナンキ連邦準備制度理 事会(FRB)議長は6月5日、衛星回線を通じて南アフリカでの会議で講演 し、「平均して今後数四半期は、米経済は緩やかなペースで進行し、潜在成長率 に近い水準か、それをやや下回るものになる」との見方を示した。

ゴールドマンの予想撤回

ゴールドマンのエコノミストは同じ5日に、同業他社のエコノミストの多 くと同様、利下げ見通しを撤回した。ゴールドマンは今四半期の成長率が3%、 第3四半期は2.5%となり、失業率は現行の4.5%から第4四半期には4.75% 程度に上昇すると予想している。インフレが鈍化し続けても、こうした成長率 や失業率の見通しでは、金融政策を発動させるには力不足だと、エコノミスト らは考えた。

2回の利下げを予想していたドイツ銀行のエコノミストらは先月、年内の 利下げ見通しを1回だけに修正し、08年前半に1回利下げがあるとの見方を 示した。その一方で、経済成長が十分に力強いため、FOMCは年内に利下げ ではなく利上げするとみるアナリストもいる。

米経済は少なくとも緩やかなペースで拡大を続けるとの見通しをバーナ ンキ議長ら当局者が維持する大きな理由は、住宅市場の問題が米経済のほかの 分野に打撃を与えておらず、今後もそうならないと評価していることだ。アナ リストの一部にも当局の見通しが現実になるとみる向きもいる。

住宅の販売や建設の減少を受け、GDP伸び率は過去1年で約1ポイント 縮小した。バーナンキ議長は講演で、「住宅セクターの調整はまだ継続してい る。住宅建設の減速は従来考えられたよりもやや長く経済成長の足を引っ張っ ているようだ」と述べた上で、「だが今のところ、住宅市場からの大きな影響 は経済のほかの分野に広がっていない」との認識を示した。

新たな不安

世界の多くの国で景気が拡大するなか、米国の経済成長に関する懸念は一 部で、インフレ懸念に置き換えられつつあるのかもしれない。米長期金利の最 近の上昇はこうした見方を反映しているとみられる。

その一方で、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、中国人民銀行 など、多くの国の中銀は利上げしたり、今後利上げする見通しだ。ECBは6 日、0.25ポイントの利上げを実施し、政策金利を6年ぶりの高水準の4%と した。

米金融当局も必要なら行動するだろう。バーナンキ議長は講演で、「コア インフレは長期的に緩やかに落ち着くもようだが、この見通しに対するリスク はまだ上振れ方向にある」と述べ、従来の声明内容を繰り返した。

6月27、28日に開かれるFOMC後の声明でも、こうしたリスク評価が 繰り返されるのは間違いない。

当局が重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)コア価格指数 (食品・エネルギー除く)は、4月は前年同月比2%上昇となり、バーナンキ 議長ら複数の当局者が安心ゾーンと呼ぶ1-2%の範囲の上限となった。バー ナンキ議長はこの数字を「やや高い」と表現しており、当局者も低下を望んで いる。

カンザスシティー連銀のホーニグ総裁は6日の講演で、5.25%の政策金利 は「若干引き締め的」であり、コアインフレ率を緩やかに低下させるに十分な 高さだとの認識を示した。

この見方通りにならなければ、当局がそれ相応に反応してくることは間違 いない。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は同氏自身の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE