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日・EU首脳:温室効果ガス、50年までに世界で5割以上削減を(3)

ドイツ入りした安倍晋三首相は5日午後、 首都ベルリンの首相府で、欧州連合(EU)の議長を務めるドイツのメルケル 首相との日・EU定期首脳協議を行い、気候変動問題をめぐり、温室効果ガス の削減目標を義務付けた京都議定書が失効する2013年以降の「ポスト京都議 定書」の枠組みについて、世界の排出量を2050年までに5割以上削減するた めの長期的目標を策定すべきだとの認識で一致した。両首脳が協議終了後、共 同記者会見で明らかにした。

気候変動問題は6-8日に開かれる主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サ ミット)で最大のテーマとなる。安倍首相は5月24日、世界の温室効果ガス 排出量の「2050年までの現状比半減」を提唱していた。

また日本政府高官が現地で記者説明したところによると、日・EU定期首 脳協議では、メルケル首相が07年8月下旬から9月上旬の間に来日すること が決まった。

メルケル首相「野心的な目標」と一定の評価

メルケルEU議長は共同記者会見で、「日・EU双方は、目標が必要だと いう認識を共有している。2050年までの排出量の削減は50%かそれ以上かも しれない」と言明。日本の提案に関しては「日本は非常に大きな一歩を踏み出 した。野心的な目標だが、日本はやると言っている」と語り、一定の評価を与 えた。

EU議長はその上で、「ポスト京都議定書の国際的な枠組みに大きな排出 国を取り込んでいくことが大事だ」と語った。安倍首相も「2013年以降の国 際的枠組みについては、最も排出量の多い米国と中国、インドが参加する実効 的なものにすることが不可欠だ」と同調した。

京都議定書は、先進国などに対して温室効果ガスを1990年比で2008年 -12年に一定の割合を削減することを義務付けている。しかし米国は2001 年に議定書を離脱しているほか、経済成長が著しいガス排出大国の中国やイン ドなどは削減義務がない。このため地球上のすべての国が排出削減を約束でき る共通ルールの策定が大きな課題となっている。

ブッシュ大統領も態度を軟化

欧州連合(EU)は3月9日の首脳会議で、気候変動対策でEUが主導 権を握ることを確認し、20年までに1990年比2割削減で合意。一方、数値 目標には従来否定的な姿勢をみせてきた米国のブッシュ大統領は5月31日の 演説で、温室効果ガス削減に向けて中国、インドを含む主要排出国15カ国で 国際的な枠組みをつくり、「2008年末までに温暖化ガス削減に関する地球規 模での長期的な目標を設定する」と提案し、態度を軟化させている。

安倍首相はEU議長との共同記者会見で、ブッシュ大統領の提案について、 「米国も気候変動問題を受け止め、温暖化を食い止めなければならないという 共通認識を持った。米国は枠組み作りに参加していくという意思を示した。今 までの姿勢から大きな変化がある」と言及。その上で、「今は違いを見つける よりも、共通点を見つけていくことが大切だ」と語り、削減率の具体的な数値 目標よりも、まずは「ポスト京都議定書」の枠組みづくりで合意を形成するこ とが重要だとの認識を示した。

日EU首脳は5日の協議で、朝鮮半島の非核化の実現が重要との認識を表 明。北朝鮮が2月13日の6カ国協議で約束した辺寧の核施設の稼働停止・封 印や国際原子力機関(IAEA)の査察官受け入れなど、「初期段階の措置」 などを履行すべきだとの見解で一致した。両首脳は北朝鮮の人権状況に対して 強い懸念を表明した。その上で、EUは拉致問題の早期解決の重要性を支持し た。

また両首脳は協議の中で、イランの核計画に対する深刻な懸念を表明。イ ランが核濃縮計画を停止しIAEAに完全に協力するよう強く求めた。

EUは日中関係の強化を評価

また安倍首相は、EUによる対中国武器禁輸措置の解除に反対する日本の 立場をあらためて表明した。EUは日本と中国の関係が強化・深化しているこ とを評価。その上で日EU首脳は、中国が国際社会に対して開放的な改革政策 の下で経済的に発展していることを歓迎するとともに、中国が国際社会で責任 ある建設的なパートナーであることの重要性を確認した。

現地で記者説明した日本政府高官によると、日・EU首脳はこのほか、世 界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の早期妥結、包 括的な合意を目指し協力することを確認。日・EU間の自由貿易協定(FT A)を柱とする経済連携協定(EPA)に関しては、将来的な課題になり得る との認識で一致した。

安倍首相は5日午前、政府専用機で羽田空港を出発、約11時間半のフラ イトを経て同日午後にベルリンに到着した。首相は6日午前にサミットが開か れるハイリゲンダムに移る。

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