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世界のステンレス大手:ニッケル価格高騰でクロム系生産へ加速

世界のステンレス大手はさび止め用の素 材として価格が高騰しているニッケルを使用しないステンレス鋼の生産を増や す方向で進んでいる。重量でステンレス製品の1%を占めるに過ぎないニッケ ルが製造コストの8割を占める状態となり、放置すれば顧客のステンレス離れ を加速するとの危機感が広がっているためだ。

ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格は過去2年間で2倍に急騰、 ステンレス価格は最も標準的な304型で直近1トン当たり5425ドルと、2倍 に上昇している。このほど、京都で開催された国際ステンレス鋼フォーラム (ISSF)では、価格高騰により2007年の世界ステンレス生産は前年比

5.1%増の2980万トンと、06年の16.7%増に比べ鈍化するとの見通しをまと めた。

インドのステンレス大手、ジンダル・ステンレスのラタン・ジンダル副会 長は、京都でブルームバーグ・ニュースとの取材に答え「これ以上価格が上が ると顧客がステンレスに代わる素材にシフトする公 算が大きい」との懸念を 示した。

ISSFによると、ニッケルを使わないクロム系ステンレス鋼の生産は 2006年実績で32.4%にとどまるが、欧アルセロール・ミタルでステンレス部 門トップのジャン・イブ・ジレ副社長は「ステンレス用途の7割までクロム系 で対応できるはず」と指摘する。

ステンレス最大手の独ティッセンクルップは「現在30%のクロム系比率を 中期的に35%程度に引き上げる」(ステンレス部門トップのユルゲン・フェヒ ター氏)方針だ。国内ステンレス最大手の新日鉄住金ステンレスも「過去4年 間でクロム系の比率を55%から65%まで引き上げており、2008年には7割程 度まで増やす。クロム系で代替できない用途もあり、クロム7割、ニッケル3 割がバランスがよい」(米澤敏夫社長)とみている。

ニッケル系は加工がしやすく、クロム系は耐熱性が高いなどの特徴がある とされる。以前からクロム系に特化しているJFEスチールは、ニッケル系の 特徴をも備えた「443CT」と呼ばれる製品の需要が急増し「引き合いに応じ切 れない状態。現在月産6000トンの生産能力を08年には1万トン以上に増や す」(小倉康嗣・常務執行役員)計画という。

ただクロム系ステンレスに必要なフェロクロムは43%が南アフリカで算出 されるほか、カザフスタンと中国との計3カ国で全体の73%を占めるなど生産 国が著ししく偏在している。このため「南ア通貨ランドの上昇が懸念材料」 (JFEスチールの山下英明ステンレスセクター部長)となっている。

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