個人消費は底堅く推移-雇用は改善傾向、失業率4年連続の低下(2)

雇用情勢の改善傾向が続くなか、設備投 資と並び内需の二本柱である個人消費動向は依然、底堅く推移している。3月 の完全失業率(季節調整値)は4.0%と1998年以来の低水準を5カ月連続で維 持。同月の小売業販売額は減少したものの、全世帯の消費支出額(農林漁家世 帯を含む、物価変動を除いた実質)は前年比0.1%上昇と3カ月連続のプラス となった。

総務省の発表によれば、失業率は06年2月から4.1%と4.2%の間で推移 した後、06年11月には4.0%に改善。4.0%は98年4月以来の低水準で、以 来、同水準に推移している。06年度の平均では4.1%で、4年連続の低下とな った。

2日に発表された日本銀行の3月調査の企業短期経済観測調査(短観)で は、企業の雇用不足感が示されており、全規模全産業の雇用人員判断DIはマ イナス12と、前回調査から1ポイント低下。このところ有効求人倍率は低下 傾向にあり、失業率は3%台を目前に足踏みを続けている。しかし、3月の雇 用者数は前年同月比60万人増の5484万人と25カ月連続で増加を続けるなど、 こうした労働需給のひっ迫感から賃金も持ち直し、消費につながることが期待 されている。

第一生命経済研究所の結城良彦エコノミストは失業率が5カ月連続で横ば いとなったことについて「景気回復を背景に労働市場に参入してくる人が増え てきているためで、特に問題視する必要はない」と指摘。「雇用者数、就業者 数とも増加傾向にあり、良好な雇用環境が続いている」との見方を示した。

07年10-12月期には3%台の見込み

雇用情勢の改善傾向は今後も続くことが予想される。ブルームバーグ・ニ ュースが民間調査機関12社を対象に毎月実施している「ブルームバーグ景気 予測調査・4月中旬実施」でも、失業率は07年1-3月、4-6月は4.0%で 推移し、07年7-9月に3.9%となったあと、07年10-12月には3.8%とな る見込み。

一方、家計調査は国内総生産(GDP)個人消費の基礎統計のひとつとな る。全世帯消費支出額は1月に13カ月ぶりに上昇。1、2月に続き3月も強 い結果となり、10-12月期に引き続き、1-3月期のGDP個人消費に好影響 を与えることも期待されている。

大和証券SMBCの野口麻衣子エコノミストは発表後、ブルームバーグ・ ュースとのインタビューで、全世帯消費支出額の伸びは予想を下回ったものの、 3カ月連続でプラスを維持したことを評価。また、「労働市場のタイト化は着 実に進んでいる」とし、いずれ給与の引き上げということになるなど、「消費 を取り巻く環境は良い方向にある」と指摘した。

経財相-消費持ち直しているとの見方は変わらず

大田弘子経済財政政策担当相は閣議後の会見で、全世帯消費支出額が前年 比0.1%上昇と3カ月連続のプラスとなったことについて、消費は持ち直して いるという見方は変わっていないと指摘した。

福井俊彦日銀総裁は19日の定例支店長会議で、景気の現状について「緩 やかに拡大している」と指摘。個人消費についても「底堅く推移している。内 外需要の増加が続く中で、生産も増加基調にある」と語った。また、先行きに ついても「生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、息の 長い成長が続く可能性が高い」と述べた。

1-3月期GDP個人消費は高い成長になる見込み

一方、経済産業省が日発表した3月の商業販売統計速報によると、小売業 販売額は前年同月比で6カ月連続のマイナスとなった。3月は中旬の気温の低 下で春物衣料の動きが鈍化したことやガソリンなど石油製品価格の下落などが 背景としてみられるが、消費は緩やかな回復傾向の基調には変わりはないとい う見方が多い。

第一生命経済研究所の長谷山則昭エコノミストは「3月は中旬に気温が低 下して春もの衣料の動きが鈍ったことが押し下げ要因となりやや弱含んだ形と なった」とコメント。家計調査も好調なことを勘案すると、1-3月期のGD P(国内総生産)個人消費は「比較的高い成長になることが見込まれる」との 見方を示した。

一方、バークレイズ・キャピタル証券の永井祐一郎エコノミストは、日本 経済全般について、企業の雇用不足感が強まる中で、景気後退に陥るリスク要 因として①強すぎる金融・財政政策の引き締め、②米国経済の景気後退、③雇 用不足感自体が労働者採用困難による生産性の低下を招くこと、の3点を挙げ た。しかし、同氏は「これらの可能性は極めて小さい」と分析している。

そのうえで永井氏は日本経済の先行きについて「企業の雇用不足感が高ま り、賃金総額・物価に上昇圧力がかかり、堅調な消費が日本経済の実質2%程 度の成長を支える」との認識を示した。

--共同取材:下土井京子、Editor:Hinoki

David Tweed +81-3-3201-2494 dtweed@bloomberg.net

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