エルピーダ:前期純損益529億円の黒字で最高益-携帯用など好調(5)

DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込 み読み出しメモリー)専業メーカーのエルピーダメモリが24日発表した前期 (2007年3月期)の連結純損益は、前年の47億円の赤字から529億円の黒字に 転換し過去最高益となった。主力のDRAM製品の販売が携帯電話やデジタル家 電向けなどに拡大し、収益が大幅に向上した。

売上高は前の期の2.0倍の4900億円。増産に伴う出荷数量の大幅な伸びに加 え、昨年末まではDRAM市況が好調で、単価が高止まりしたことも寄与した。 量産効果が増産投資に伴う償却負担を吸収し、営業利益は同475倍の684億円と 急増し、これも過去最高を更新した。

市況、7月に緩やかな回復へ

今期(08年3月期)の業績予想については、DRAM市況の変動要素が激し いため公表していない。ただ、会見した坂本幸雄社長は今期の売上高について 「1兆円とまではいかないが、5000億円プラスアルファはいける」とコメント。 ビット成長率(記憶容量ベースの年間成長率)は80%を想定しているとの試算を 示した。

坂本社長は、市況は4-6月期にさらに悪化すると指摘。「容量512メガ (メガは100万)ビット製品の単価は2.5ドルから10%前後で推移するだろう。 5-6月に底となり、7月から緩やかな回復を見込んでいる」と語った。マッコ ーリー証券のアナリスト、ダミアン・トン氏も「各社の増産で供給過剰になって いるため、市況はまだしばらくは厳しい状況が続くだろう」とみている。

その背景には、米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)「ウィンドウズビ スタ」発売後も、パソコン(PC)の買い替えが進展しないという問題がある。 DRAMの需要はPCの出荷台数に依存するが、「1-3月期は前四半期より12 %台数が落ちた」(坂本社長)という。「ビスタ」搭載のPCの需要が立ち上が るのは米国で新学期を迎える秋以降とみられ、同社長も「本格的な普及は来年初 めごろになるのではないか」との見方を示した。

07年度の設備投資は総額2100億円

年間の設備投資は全体で総額2100億円を投じる。内訳は、主力の広島工場で 約1300億円、提携先の台湾メーカー、力晶半導体(パワーチップ、PSC)と共 同設立した合弁企業「レックスチップ」社向けで約800億円。

広島工場の投資は前期の1550億円より減額するが、坂本社長は「投資を増や すよりも、微細化を加速させることでコストダウンを図る」と強調。足元は、回 路線幅が90ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代のプロセスで製造したDR AMが主流だが、年初から量産を始めた70ナノ世代へのシフトを進め、年末には 70ナノ製品の比率を全体の70%にまで引き上げ、生産効率を高める。

広島工場の300ミリメートルウエハーの生産能力は、3月末で月7万8000枚 だったが、9月に同8万枚、12月に8万5000枚へ順次拡大し、通期でも同じ規 模を維持する考え。

レックスチップ社が台湾で建設中の300ミリウエハーの新工場はPC向けD RAMの量産基地とし、コスト競争力の高い70ナノ世代による容量1ギガ(ギガ は10億)の製品から量産をスタートする。生産能力は7月に月6000枚、年末に は3万枚(うちエルピーダの調達分は半分の1万5000枚)に増強する計画。

1-3月期のシェア15%に上昇

同時発表した第4四半期(07年1-3月)の連結純利益は前年同期比5.8倍 の85億円だった。同期はDRAM市況が大幅に軟化したものの、携帯電話やデジ タル家電向けの販売が大幅に伸び、増産投資の効果も寄与した。

売上高は同87%増の1442億円だった。注力するDRAM製品が、少ない消 費電力で高速動作することが求められる携帯電話や薄型テレビ、ゲーム機向けな どに好調を維持。量産効果も手伝い、営業利益は同3.2倍の149億円と大幅に伸 びた。

1-3月期の市況悪化で、市場全体の単価下落率は06年10-12月期に比べ 40%に達したが、エルピーダは30%にとどまった。その要因を、坂本社長は「各 社のビット成長率が1ケタ台程度だったのに対し、当社は(前四半期比)40%と 高い成長を遂げた」と説明。世界シェアも、前四半期の約10%から15-16%に上 昇したとの見方を示した。

90ナノ世代の主力製品は、PC向けDRAMなど汎用品に比べて単価の高い 携帯電話向けに販売が急増。坂本社長によると、高い歩留まり(良品率)をテコ に、携帯電話向けDRAMの年間売上高は前年比2倍の1000億円を超えるビジネ スに成長した。

ブルームバーグ・データによると、容量が512メガビットの「DDR(ダブ ル・データ・レート)2型」と呼ばれるDRAM製品1個当たりの価格は、年初 の6.1ドルから、3月末には2.91ドルへ急落。ただ、エルピーダの場合は積極的 な増産を進め、出荷数量が拡大している。記憶容量ベースの年間成長率(ビット 成長率)は1-3月期で前年同期比40%伸長し、大幅な増収増益を実現した。

エルピーダメモリの24日終値は前日比50円(1.1%)高の4830円。

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