米サブプライム住宅ローン担保証券保有者、損失は750億ドルにも

米国の住宅ブームを支えた債券投資家は、 住宅価格の停滞とサブプライム住宅ローン延滞増の影響を受け始めている。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)によると、投資家は信用力の低い借り手を対象としたサブプラ イム住宅ローン担保証券(MBS)で、最大750億ドル(約8兆8700億円)の 損失を被る見通しだ。メリルリンチによると、2006年に発行された4500億ドル 相当のサブプライム住宅ローン担保証券の一部は価値の37%を失っている。

ブラックロックやアライアンスバーンスタイン・ホールディング、フラン クリン・テンプルトン・インベストメンツは、リスクを抱えている。銀行や貯 蓄金融機関が、これらの投資家にリスクを転嫁したためだ。住宅ローン担保証 券の残高は6兆ドルを上回り、米国債を約50%上回る。

PIMCOで2500億ドル相当の資産担保証券運用に携わるスコット・サイ モン氏は「損失を引き受けるのは債券投資家となるだろう」と話す。

カリフォルニア州のリバーサイド郡では、1-3月(第1四半期)の担保 物件差し押さえが前年同期比ほぼ3倍の6103件に増えた。リーマン・ブラザー ズ・ホールディングスは2006年1月に、同郡の住宅ローンなどを担保としたM BS15億ドル相当を発行した。メリルリンチによると、このなかの高リスク部 分の価格は額面1ドルに対し63セントと、06年10月の100セントから下落し ている。

米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、ブラックロックやアラ イアンスバーンスタインは、このリーマンのMBSを保有している。またブル ームバーグ・データによると、フランクリン・テンプルトンも同銘柄を購入し ていた。

債券投資家の資金が、10年にわたる米不動産市場拡大を支え、米国の持ち 家比率を69%にまで押し上げた。銀行や貯蓄金融機関、住宅金融会社は住宅ロ ーン債権を売却することによって新たな資金を得て融資を増やした。ローン債 権の買い手であるリーマンやベアー・スターンズ、モルガン・スタンレーなど の証券会社は、債権をMBSに組成して投資家に販売した。

米連邦準備制度などのデータによると、前回住宅市場が低迷した1990年に は、市場は1兆800億ドル規模で、証券化されるローンの割合は40%だった。 現在ではほぼ3分の2が証券化されている。

住宅ローンの証券化は1995年以来、債券市場のなかで最も大きく伸びてい る分野だ。バンク・オブ・アメリカのアナリスト、マイケル・ヘクト氏の概算 によると、住宅ローンや学資ローンの債権の証券化による手数料は過去5年で 3倍になり56億ドルに達した。

今日の問題の背景には、景気拡大期に貸し手が融資基準を緩和し信用力の 低い借り手への融資を増やしたことがある。しかし、債券保有者にも責任があ ると米連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁は指摘している。

住宅ローン担保証券への需要は、03年に米政策金利が45年ぶり低水準の 1%に引き下げられた後に急増した。さらに、サブプライム住宅ローンの金利 は、通常のプライムローンに比べ少なくとも2-3ポイント高い。サブプライ ム住宅ローン担保証券の発行は06年に4500億ドルと、01年の950億ドルから 増えていた。

米下院金融委員会のバーニー・フランク委員長はインタビューで、「貸す べきでなかったカネを貸した者がいる」として、MBSの投資家は「無責任に 流動性を提供した」と指摘した。

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