KDDI:携帯拡大、「光」黒字化で10年の営業益6000億円目指す(6)

国内通信2位のKDDIの前期(2007年 3月期)連結決算は、携帯電話事業の好調で営業利益が16%増の3447億円、 売上高も9%増の3兆3353億円と、いずれも過去最高となった。同時に発表 した期間4年の中期経営計画では携帯の顧客基盤向上と、固定通信で次世代の 収益源と位置付ける光ファイバー事業の黒字化を進め、2010年度の売上高4兆 円、営業利益6000億円を目指す。

一方、前期の純利益は、携帯電話の第2世代で、08年3月末の終了が決 まっているツーカー事業の整理などに絡む特別損失が前の期にあった反動で、 課税額が増えたため、2%減の1867億円となった。

前期の設備投資実績は4385億円で、今期の予定額は5000億円。税制改正 に伴い営業費用で減価償却費約140億円の増加を見込んでいる。会見した小野 寺正・会長兼社長は、その後の投資水準について「一時的に5000億円を超え ることもあり得る」と述べた。

クレディ・スイス(CS)証券の早川仁アナリストは関連して「5000億円 水準の投資を続ける以上、4年間で2兆円の投資を行う計算」と指摘。その結 果としての営業益6000億円という目標は「驚くには値しない」と述べている。

携帯好調、固定も赤字縮小

前期の部門別損益を見ると、携帯事業の営業利益は、昨秋の番号継続制度 (MNP)導入に伴う契約者増で8.8%増の3857億円。auのARPU(1契 約当たり月間収入)は6610円と前年同期から430円低下。端末の販売増で、 小売店に支給する販売奨励金の総額は5680億円と15.4%増えたものの、顧客 獲得で増益を達成した格好。

一方、固定通信も格安電話サービス「メタルプラス」が軌道に乗ったこと などで営業赤字幅は490億円と、前の期の613億円から大幅に縮小した。

業績好調を理由に07年3月期の配当を前の期比1500円増の9500円とし た。従来計画では1000円増配の9000円だったが、500円上積みした。08年3 月期も中間、期末各5000円で、年間では1万円の配当を予定している。

第4四半期(07年1-3月)の純損益は、課税要因が響き43億円の赤字 (前年同期は326億円の黒字)だった。売上高は前年同期比5.1%増の8728億 円だった。営業利益は同27%減の286億円と、1月に東京電力から不採算の光 ファイバー事業を買収・統合し固定部門の赤字が235億円に拡大(前年同期は 赤字175億円)したことなどで大幅減益を強いられた。

携帯はシェア拡大へ

電気通信事業者協会の統計によると、06年度国内契約純増数でKDDIは 2年ぶりに首位となった。KDDIの年度純増数は274万9800件と、最大手 のNTTドコモ(147万7500件)の約2倍。特にMNP導入の翌月である昨年 11月にドコモは、初の純減に見舞われた。

例年最大の商機である春商戦の前半と言える3月の純増数でもKDDI53 万台に対し、ドコモは29万8000台と大差がついた。3月末現在のシェアは、 ドコモ54.4%、KDDI29.1%、ソフトバンクモバイル16.4%、の順。

小野寺氏は、今期中に契約数を3000万件獲得し、シェアを30%に伸ばす 方針を示した。ただ、その後については「1年に1%ずつ程度しか伸びないだ ろう」と語り、中期計画最終年度である10年度時点では「33%くらい」にな る、との見通しを示した。

今期営業利益、13%増見込む

今期の業績予想は、純利益が前期比18%増の2200億円、営業利益は13% 増の3900億円で、売上高は4.9%増の3兆5000億円。光ファイバー事業を除 けば、固定部門は黒字を確保できるとみている。3月末に59万2000件だった 光ファイバー顧客数は、来年度末に90万件まで増やす計画だ

ただ、光の販促負担により、固定部門の営業赤字は560億円と、前期から 70億円増える見込み。この落ち込みを携帯の好調ではね返す格好になる。携帯 事業の営業利益は13.6%増の4380円の見通し。

auのARPUは6150円と前期実績から460円の低下を見込み、販売奨 励金の支給総額もほぼ横ばいの5650億円を想定している。ただ、顧客基盤の 拡大が、携帯の収益増に効いてくるとみている。

CATV2位への出資引き上げ

また、ケーブルテレビ業界第2位のジャパンケーブルネット(JCN) への出資比率を6月末に引き上げる。具体的にはJCNの持ち株会社であるJ VNホールディングスとJCNの株式を富士通から、計212億円で取得。買収 は自己資金で賄う。

この結果、JCNHの株式保有比率は46.76%から74.76%に上昇する。 KDDIではこれに伴い、今期の連結業績に売上高326億円、営業利益10億 円、純利益3億円の増加を織り込んでいる。富士通は3月20日、海外子会社 の減損処理に対応するため、保有する工作機械メーカー、ファナックの株を一 部売却し、700億円の特別利益を計上すると発表していた。

CSの早川氏は今期見通しについて、携帯事業の先行きは予想通りだが 「固定通信部門の赤字増が70億円にとどまるとの見通しは、われわれの予想 より少ない」と指摘。KDDIは光ファイバー事業で、JCNHへの出資比率 拡大のような企業の合併・買収(M&A)を通じ、手っ取り早く顧客拡大を図 る戦略を志向しているのではないか、との見方を示した。

同社はまた、同社株式の投資単位引き下げについて「有効な施策の一つと 認識している」とのコメントを発表した。東京証券取引所が各株式の売買単位 をそろえる意向を示しているのに対応した。ただ「具体的な方法、時期などは 未定」としている。

発表前にデータ流出

KDDIの決算資料は財務情報サービス会社のマジカル・ポケット社が24 日午後1時半すぎに配信、KDDIは午後3時の予定を早めて午後2時40分 に正式発表した。経緯についてマジカル・ポケットの平田茂邦社長は、「事実 関係を調査中」とだけ述べている。

KDDI株価の24日終値は、前日比1万7000円(1.8%)高の99万1000 円。データ流出直後には一時、101万円まで上昇した。

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