HOYA:TOB協議続行、ペンタックス賛同条件に6月以降実施(4)

光学ガラス大手HOYAは23日に開催し た 取締役会で、カメラ・医療機器メーカーのペンタックスに対する株式公開 買い付け(TOB)を行う提案を維持する方針を正式に決議したと発表した。 5月末まで協議を継続し、ペンタックスの最終的賛同を条件としたTOBを6 月以降に開始できるよう準備を進める。

TOBは、50%超の取得を目指しペンタックスの全株式を対象に1株770 円で買い付ける提案を維持する。ペンタックスとの基本合意で予定していた 2007年10月1日の合併を断念することも正式に決議した。

23日夕に東京証券取引所で開催された決算説明会の席上でHOYAの鈴木 洋代表執行役CEOは、協議継続の理由についての質問に対し、「リリースに 盛り込んだつもりなので行間を読んでほしいくらいの表現しかできない」とし て言及を避け、「まだ交渉が継続されている状況なので真摯に統合を目指して 交渉していると理解してほしい」と述べた。

両社は2006年12月21日に経営統合で基本合意。しかしペンタックスは 社内事情や株主を含む社外事情を総合判断した結果、4月10日の臨時取締役 会でHOYAとの経営統合について合併断念を決議したと発表。一方で「06年 12月21日付基本契約に基づくHOYAとの広い意味での経営統合については、 今後とも検討を進める旨の確認を決議した」としている。

HOYAも4月10日、ペンタックスの一部株主の状況と第三者との契約 関係の状況などを考慮して、合併という形で両社の経営統合を実現することは 実務上困難と考えるに至ったと公表。HOYAは同時に、同月6日に取締役全 員の賛同を得たうえで、両社を統合する代替的方法としてペンタックスに対し、 合併に代わりTOBという形につき協議を行いたい旨の申し入れを7日に行っ たことを明らかにしていた。

12月21日の基本合意によると、当初はHOYAを存続会社とし、ペンタ ックス株1株にHOYA株0.158株を割り当てるとしていた。HOYAが想定 する770円でのTOBが実施されれば、ペンタックス株の買い取り価格は実質 約2割引き上げられることになる。770円という金額について鈴木CEOは23 日の決算説明会終了後、「マーケットがアクセプトする金額でないと進まな い」とコメントしている。

「TOB」へのペンタックス対応が焦点に

18日にはHOYAの鈴木CEOと、解職された浦野文男氏の後任として 10日にペンタックスの社長に就任した綿貫宜司氏が会談。内容についてペンタ ックスでは「合併に代わるTOBという手法による経営統合については、これ からの検討課題だと理解する旨あらためて回答したうえで、広い意味での経営 統合については引き続き協議を行う旨確認した」(IR・広報部の岡村次郎部 長)としている。

一方HOYAは18日のトップ会談で「統合協議の進め方についてペンタ ックスから真摯なご提案をいただいた」(IR・広報グループの前山明子氏) としており、鈴木CEOは19日夜、ペンタックスからの質問に対し文書で回 答したことを明らかにしていた。

HOYAは23日付の報道資料で、「両社にとってお互いが最善のパート ナーである」との認識に変わりはなく、基本合意書で合意された合併の目的と 精神に従って、引き続き両社間の経営統合を目指す意向でいる、としている。 今回HOYAが、ペンタックスの最終的賛同をTOB開始の条件にしたことか ら、ペンタックス取締役会がTOBへの賛同の方針を決議するかどうかが今後 の焦点になる。

HOYAの発表を受けペンタックスは23日、「HOYAと協議を続けて いく。専門家を交え株主価値向上策も策定中」(岡村IR・広報部長)とコメ ントした。

前期純利益は過去最高-HOYA決算

一方、HOYAが同日発表した第4四半期(2007年1-3月)の連結純利 益は前年同期比15%増の190億円になった。主力のエレクトロニクス関連の需 要が堅調で、旺盛な需要に応えるための設備投資による立ち上げ費用、償却負 担の増加があったなかで増益を確保した。潜在株式調整後1株当たり四半期純 利益は43円97銭(前年同期は38円03銭)。

この結果、前期(07年3月期)の連結純利益は前の期に比べ10%増の834 億円となり、4期連続で過去最高を更新した。売上高は13%増の3901億円、 営業利益は6.1%増の1072億円といずれも過去最高を更新した。経常利益は親 子会社の資金貸借の関係で為替差損が生じたことから過去最高だった前の期に 比べ0.7%減の1029億円となった。

期末配当は35円(06年3月期末は30円)。年間では65円で、06年3月 期の年間配当60円に比べて5円増配となった。連結配当性向は33.6%に達し た。

東証で記者会見した江間賢二・最高財務責任者(CFO)は、今期業績に ついて「マーケット環境をみると一生懸命に商売をしないと大変な、厳しい環 境と認識している」と述べ、眼鏡レンズやコンタクトレンズ・眼内レンズなど よりも、液晶大型マスク、メモリーディスクなどエレクトロオプティクス(E O)部門の環境を厳しくみていることを明らかにした。増収増益を見込むのか、 との質問には「そうとは限らない」と答えた。同社は通期と中間期の決算発表 時には業績見通しを公表していない。

また鈴木CEOは、前期実績について「ある意味では想定通りだが、決し ていい決算だとは思っていない」と述べたうえで、液晶大型マスクの単価の問 題とメモリーディスクが足を引っ張っている状況だが、「問題の2つの事業を 除くと他はそれなりの収益貢献ができる構造になっている。問題の2つは何か 考えないといけない」との見方を示した。

鈴木CEOによると、光学レンズはデジタルカメラ向けの需要が堅調。 「本来、第4四半期は調整期だが、第3四半期よりよくて驚いた。新モデルが 非常に早く量産に入っている」という。また、ペンタックスとの経営統合問題 に多くの時間を割いているようだが本来のオペレーションは大丈夫かとの質問 に対しては「皆さんが考えるほど時間を使っていないのであまりご心配されな くても大丈夫」と答えた。

HOYAの株価は前週末比140円(3.4%)安の3980円。ペンタックス は 同15円(2%)高の767円で、TOB価格の770円に近い水準。

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