日本を「AA」に格上げ、財政再建や金融正常化で初めて-S&P(6)

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米大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S &P)は23日、日本の長期格付けを1段階引き上げ、上から3番目の「AA」にし た。財政再建、金融政策の正常化や構造改革に進展が見られるのが背景としている。 当初最上級だった日本の格付けは、財政悪化とともに段階的に引き下げられてきたが、 今回のS&Pの変更により初めて上昇に転じた。

23日の発表によると、S&Pが「AA-」から格上げしたのは長期ソブリンと 長期優先債券の格付け。理由として日本政府の着実な財政再建への取り組みや日銀の 金融政策を示した。1991年に最上格での格付けを開始して以来、2001年に2回、02 年に1回の変更があったがいずれも格下げだった。

日本の財政赤字の対GDP(国内総生産)比は2002年度末の8.2%から07年度 末には5.0%へ低下するとS&Pは評価した。日銀についても量的緩和やゼロ金利の 解除を示して「金融政策の正常化を進めることに成功しつつある」と強調した。

さらにS&Pは「日本経済は向こう数年間、04年までの10年間の平均成長率の 2倍である実質2%程度の成長を遂げるとみられるほか、GDPデフレーターも今後 プラス域にとどまると思われる」と予想した。経常黒字が続いていることから対外純 資産はさらに増加するともみている。

S&Pの小川隆平氏は23日のインタビューで、日本格上げの背景としてデフレ悪 影響の懸念後退や民間活力の回復を示した。見通しは「政府がどれだけ強力な財政政 策を打ち出せるかにかかっている」などと述べた。現時点での見通しは「安定的」。 尾身幸次財務相はこの日午後、日本の格上げについて「妥当な判断だと思う」との認 識を示した。

また、内閣府の浜野潤審議官は記者会見で、安倍内閣は経済財政計画の中間方針 を出して着実に進めていると前置きしたうえで、「そのような取り組みについて色々 な評価があるのだろう」と述べた。

主要7カ国の格付け(S&P)は現在、米国、カナダ、フランス、ドイツ、英国 が最上格の「AAA」、イタリアは上から5番目の「A+」で、「AA」の日本は7 カ国ではイタリアに次いで下から2番目。

米大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは現在、日本の格 付けを「A2」と上から6番目に評価している。93年に最上格の「Aaa」で格付 けを開始して以来、前回変更した2002年5月末まで格上げは一度もない。

政府系金融4社と外資系金融2社、国内保険会社6社も

日本の格上げに伴いS&Pは政府系金融機関4社の格付けを「AA」に1段階引 き上げた。格上げになったのは国際協力銀行、公営企業金融公庫、住宅金融支援機構、 日本高速道路保有・債務返済機構。日本政策投資銀行については民営化が予定されて いるとして「AA-」を据え置いた。

外資系金融機関2社と国内保険会社6社についても、日本の格上げに従って「A A-」から「AA」に引き上げた。

格上げになったのはシティバンク在日支店とJ.P.モルガン証券、東京海上日動 火災保険、東京海上日動あんしん生命保険、三井住友海上火災保険、三井住友海上き らめき生命保険、三井住友海上メットライフ生命保険、マスミューチュアル生命保険。

--共同取材 東京 伊藤辰雄、上村麗花 Editor : murotani(okb)

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