リコー近藤社長:IBM合弁で商業印刷本格参入-シェア3割狙う(2)

4月1日に就任したリコーの近藤史朗社 長は18日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、米IBMとの合弁 会社など2007年3月期に発表した2つの大型M&A(企業の買収・合併)を 軌道に乗せ、収益に貢献させることが当面の最優先課題だと述べた。IBMと の新会社設立を機に商業印刷市場に本格参入、世界シェア30%の確固たる地位 を早期に確立したい考えを示した。

積極的なM&Aで業容を拡大してきたリコーは、前期も総額1000億円を 超える2つの大型M&Aを相次いで発表。まず06年10月には総額2億1000 万米ドル(約250億円)で事務機販売を手掛ける米ダンカビジネスシステムズ 社の欧州事業の譲り受けを発表、07年1月31日に完了した。

さらにハイエンドのプリンティング事業を伸ばす戦略の一環で今年6月に も米IBMと共同で企業向けデジタル印刷機事業の新会社を設立する。リコー は3年間で段階的に新会社の出資比率を引き上げ、最終的には100%とする。 買収額は総額7億2500万ドル(約860億円)。

近藤社長は、「桜井(正光)前社長がダンカの買収とIBMとの合弁とい う大きなものを残してくれた。非常に大きな買い物をしているので、当面、こ の2つのパフォーマンスをしっかり出すように頑張らないと」と述べ、強い決 意で臨んでいることを明らかにした。

商業印刷で世界シェア3割

近藤社長は、「プロダクションプリンティング(商業印刷)はわれわれに とって大変魅力的な市場。印刷業界から取り込める需要もあり、市場規模は1 兆円と見立てている。相手はほとんどゼロックスだが、できるだけ早い時期に 世界シェア30%を取りたい」と明言した。

みずほインベスターズ証券調査部の大澤充周シニアアナリストは、「市場 が本格的な離陸期を迎えつつある商業印刷市場での拡大策はポジティブ(前向 き)に評価できる」としながらも、「いわゆるプロ向けの市場では信頼性が特 に重視される。顧客ルートを地道に開拓する必要があり、目標シェア獲得には ある程度の時間がかかるだろう」との見方を示した。

ガートナージャパンの三谷智子アナリストによると、1分間に91枚以上 印刷するプリンターの分野では、米ゼロックスが50%と圧倒的なシェアを持 つ。これに対しリコーのシェアはわずか5%、IBM事業を加えても10%程度 だという(いずれも06年9月時点)。

M&Aに関して近藤社長は「必要なものは育成していくだけでは間に合わ ない部分がある。最大限キャッシュを有効に使う」とし、機会があれば今後も 手掛けていく方針を示した。

リコーの計画によると、07年3月期の海外売上高比率は51.5%に達し、 初めて国内を上回る。海外と国内の売上高の比率について近藤社長はダンカの 欧州事業買収などを機に「あっという間に7対3になる」と述べ、欧米を中心 とした海外が今後も売り上げのけん引役になっていくとの見方を示した。

開発プロセス革新

リコーでは試作品の数の削減や、ソフトウエアの共通化といった開発プロ セスの革新を進めている。近藤社長は「ロジックが単純な場合は試作機を作っ て評価するやり方が早いが、ソフトウエアの量もものすごい今は、いちいち試 作機を作って評価しているようでは時間がない」として、シミュレーション設 計などで試作機の削減に努めていることを明らかにした。試作機の数は3年前 に比べて半減、「来年あたりは3分の1になる」といい、開発期間短縮や開発 コスト削減に貢献している。

また「世の中全体、ハードの事業から得られる利益率が落ちているという のは否めない事実。われわれの商品は使ってもらわないのは不良債権のような ものなので、ハードを使ってもらうという意味でもっと顧客の視点で困り事を 解決するような仕事をやっていかないといけない。その方向で業容を広げた い」とし、サービス・サポート部門の人員拡大の必要性を強調した。

環境経営でも知られるリコーだが、08年4月からの第16次中期計画で は、「エネルギーや地球環境に対する負荷をできるだけ小さくしながら顧客の 生産性を上げる」ことが大きなテーマになるという。

株主への還元政策については「安定株主が多く、配当に対する期待値を持 っていただいている部分がある。その期待値にはちゃんと応えていきたい」と して、連結配当性向20%を目安に安定配当を実施していく方針を示した。

リコーの株価終値は前日比10円(0.4%)安の2675円。

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