経産相:北陸電など4社に行政処分-情報伝達体制の強化命じる(5)

甘利明経済産業相は20日正午、東京電力 など電力事業者12社の経営者を省内に呼び、発電設備のデータ改ざんやトラ ブル隠ぺいに対する処分を伝えた。原子力発電所関連では、臨界事故隠しなど が発覚した北陸電力など4社に対し、経営責任者に重大事故情報を直ちに報告 する体制を構築するよう、各社に保安規定の変更、強化を行政処分として命じ た。

原子力発電所に関わる行政処分の対象となったのは、北陸電力、東京電力、 中国電力、日本原子力発電。4社の保有する7原子力発電所9プラントで、原 子炉等規制法や電気事業法に違反し、安全が損なわれたと原子力安全・保安院 が判断した事例が11件あった。さらに同9プラントでは、通常行われている 定期検査の前後に、2-3週間の特別検査も課されるという。保安院から特別 原子力施設監督官を7原発に派遣し、特別な監視・監督を行う。

また、経産相は、各社がすでに提出した再発防止策が不十分であるとし、 具体的な日程を含む新たな行動計画を策定し報告するよう、12社に対し求めた。

東京電力の勝俣恒久社長は「真摯かつ重く受け止めたい。徹底的な再発防 止に努める」との意向を経産相に伝えた。

勝俣社長はこの後、省内で記者会見し、原子力発電所の保安規定変更とい う行政処分が下されたことについて「これに違反すれば停止命令を受けること につながるという重たいもの。経営に影響が出る」と述べた。

社会的不利益は十分受けている

二酸化炭素の排出量削減やエネルギー安全保障を獲得するための有効な手 段として、原子力発電に対する期待が世界的に高まっている。今回の電力各社 の不祥事は、こうした期待感に水を差す形となっており、経産相は20日午前 の定例会見で、政府としても「国民や地域の信頼を勝ち得るよう、全力で取り 組みたい」との意向を示した。一方で、4社に対する処分が保安規定の変更に とどまったことについて「社会的不利益は十分受けている」とし「われわれが やるべきことは、不正なことを社会に示して、責任ある体制をとれと言うこと だ」と強調した。

7原子力発電所9プラントは、北陸電力・志賀原発(石川県羽昨郡)1号 機、東京電力・福島第一原発(福島県双葉郡)3号機、福島第二原発(福島県 双葉郡)4号機、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)1号機、中国電力・島根原発 (島根県松江市)1号機・2号機、 日本原電・敦賀発電所(福井県敦賀市) 1号機・2号機、東海第二発電所(茨城県那珂郡)。

水力発電所に使用停止命令

このほか水力・火力発電の分野では、東京電力の小武川第三水力発電所上 来沢ダムと北陸電力の市ノ瀬水力発電所西谷ダムが技術基準に適合していない ことから、行政処分として使用停止を命令し、安全確保のための修繕を求めた。 また電気事業法に基づき、保安の監督を行う主任技術者の役割を強化させるよ う保安規程の変更を、10社に対して行政処分として求めた。

対象会社は、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関 西電力、中国電力、九州電力、沖縄電力、電源開発。

電力会社の不祥事

中国電力によるダム測定値の改ざん発覚をきっかけに、原子力安全・保安 院は昨年 11月、東電や電源開発など12社に対し、すべての発電所設備におけ るデータ改ざんの有無などについて総点検を指示。3月末までに点検結果を報 告するよう求めた。これを受け、12社は3月30日、点検結果の報告書を保安 院に提出した。

この点検の過程で、北陸電力の志賀原発電所1号機では、1999年に臨界事 故隠しが行われたことが明らかになった。このほか、東京電力が、福島第二原 子力発電所4号機で、国の検査を受けていない制御棒の駆動装置が1988年以 来使用され続けていたことなどを報告し、原発の安全性に対する信頼度を大き く揺るがす結果となった。

北陸電力の株価終値は前日比10円(0.4%)安の2675円。東京電力の株 価終値は前日比20円(0.5%)安の4060円。

---Editor:fuj(abe)

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