ゴールドマンの手本はブラックストーンか-LBOが証券業上回る伸び

レバレッジド・バイアウト(LBO)の大 手、米ブラックストーン・グループは最も強力な証券会社をお手本に、これまで 考えられなかった新規株公開(IPO)を急いでいる。一方の米ゴールドマン・ サックス・グループをはじめとする米大手証券会社は、ブラックストーンを利益 獲得のモデルとして受け入れつつある。

ブラックストーンが先月IPO計画を公表するまで、プライベート・エクイ ティ(未公開株投資)会社が財務情報を公開することは非論理的だとみなされて いた。ブラックストーンの利益の大半は、LBOや不動産で獲得している。ゴー ルドマンも収益で、M&A(合併・買収)顧問料や株・債券の引き受け手数料な どよりも、こうしたLBOや不動産への依存を高めている。

ゴールドマンのロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)は、L BOと不動産などに振り向ける資産の割合を約12%と、2年前の8%から高め た。プリンシパル・インベストメンツと呼ばれる自己勘定投資からの収入は過去 2年間で2倍強に拡大した。ゴールドマンのライバルであるモルガン・スタンレ ーやメリルリンチも、ブラックストーンを模倣しようとしている。

モルガン・スタンレーのジョン・マックCEOは先週の株主総会で、「自己 勘定投資のリスクを高めることを余儀なくされており、これは長期的なトレンド だと思う」と述べた。ただ、「そうは言っても、リスク・ビジネスでは、どれだ け賢明であろうと、損することもある。かなりの損失になるかもしれない」と語 った。

ブランクフェインCEO(52)は昨年11月の業界会合で、顧客が「複雑な 取引をまとめる当社のスキルを求めるとともに、当社が投資家として長期的に関 与することも評価している」と話した。

投資回収

ゴールドマンはブラックストーンによる人工関節メーカーの米バイオメット の買収合意(109億ドル)や、昨年の保険会社ヘルスマーケッツの買収(18億 7000万ドル)で同社とともに投資した。ブラックストーンが40億ドル規模のI POのために初めて先月開示した財務内容をみると、ゴールドマン主導でウォー ル街が非流動資産への投資を進めている理由が分かる。ゴールドマンの昨年の利 益は過去最高の95億ドルだったものの、スティーブン・シュワルツマン氏率い るブラックストーンの昨年の従業員1人当たりの利益はゴールドマンのほぼ9倍 だった。

証券業界の収益源は大部分がトレーディングや投資銀行、ブローカレッジ・ サービス。これに対し、ブラックストーンは企業を買収して経費を削減し、5年 後には売却して投資を回収する。2004年に化学品のセラニーズを16億7000億 ドルで買収したブラックストーンは、セラニーズ株を上場させた後、株価上昇に 伴い徐々に保有株を縮小して資金を3倍強に膨らませた。

シュワルツマン氏とピーター・ピーターソン氏が1985年に設立したブラッ クストーンの昨年の純利益は22億7000万ドル。これは、創業約100年のゴール ドマンの02年の利益とほぼ同じだ。

ゴールドマンの成功

ゴールドマンは、シドニー・ワインバーグ元会長が1969年まで40年近くか けて世界の一流投資銀行に築き上げた。同社は21年前から自己勘定投資部門を 設置している。同社が2003年に実施した三井住友フィナンシャルグループへの 出資約13億ドルの評価は47億ドルに拡大した。また、ゴールドマンと同社従業 員のファンドは中国工商銀行に昨年25億8000万ドル投資しており、その評価は 現在59億ドルに膨らんでいる。

投資家の間で今、プライベート・エクイティ事業が投資銀行やトレーディン グよりも高く評価されていることも、ゴールドマンがブラックストーンを模倣す る動機の一つだろう。米投資会社でヘッジファンドも手掛けるフォートレス・イ ンベストメント・グループは2月に新規公開し、07年予想株価収益率(PE R)は30倍で推移している。ゴールドマンのPERは10倍を下回っている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE