米国債利回り曲線:逆転は終わり、急傾斜化へ-PIMCOグロス氏ら

債券投資家らは、米国債のイールドカー ブが順イールドに戻ると予想し始めている。

米2年債と10年債の利回りは2006年8月以来逆転が続いてきたが、債券 ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIM CO)の投資責任者ビル・グロス氏やリバーソース・インスティチューショナ ル・アドバイザーズのコリン・ランドグレン氏は、逆転が解消し順イールド状 態が続くと予想している。ブルームバーグ・データによると、過去10年でイ ールドカーブが逆転していた期間は全体の20%にすぎない。

短期債を購入する投資家は、米利下げを予想している。ただ、11日に公 表された3月20、21日米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録はむし ろ、利上げが必要となる可能性があるとの当局者の認識を示した。10年債を 売っている投資家は、インフレ率がバーナンキ米連邦準備制度理事会(FR B)議長の望ましいとする範囲を上回っていることから、10年債利回りが上 昇すると予想している。この2つの動きは、長短金利逆転を解消させイールド カーブをスティープ(急傾斜)化させる。

グロス氏は「いずれにせよ、イールドカーブがスティープ化すると考える のが最善の戦略と思われる」と話す。同氏は、利下げの際に値上がりの大きい 短期債の買いを推奨している。

ストーン・アンド・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツの調査による と、投資家は3月末時点に、短期債の組み入れをベンチマークよりも高い「オ ーバーウエート」としていた。オーバーウエートの度合いは2年ぶりの高水準 だった。

2年債利回りは06年8月から10年債を上回り、同年11月27日には逆転 幅は19ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達した。通常は、長期 保有のリスクプレミアムにより長期債は短期債よりも高利回りとなる。ブルー ムバーグ・データによると、過去20年の平均では、10年債利回りが2年債を 88bp上回っている。

米国債の長短利回り逆転幅はその後、今年2月末の世界株安を受けて短期 債が買われて縮小するまで、約13bpで推移した。先週は、インフレ懸念を 背景に金利差はゼロで終了した。4月のロイター・ミシガン大学消費者信頼感 指数(速報値)によると、今後1年のインフレ期待は3.3%と前月の3.0%か ら上昇した。

リバーソースのランドグレン氏は「インフレ圧力は債券市場が不安を感じ るのに十分なほど高い」として、「金利は上昇し、順イールドが若干スティー プ化するだろう」との予想を示した。FOMC議事録は、総じて予想よりも弱 い経済指標と不安を呼ぶ程度に高いインフレ率が、景気下振れリスクを高める とともに、インフレの緩やかな低下という予想の実現性に対する不透明感を強 めると指摘していた。

債券ブローカー、キャンター・フィッツジェラルドによると、先週は2年 債(表面利率4 1/2%、2009年3月償還)の利回りは約3bp上昇の4.77 %。10年債(表面利率4 5/8%、2017年2月償還)利回りは1bp上昇し

4.77%と、約2カ月ぶり高水準で終了した。メリルリンチの指数によると、年 初来のリターンは2年債が1.33%、10年債が0.76%となっている。

オッペンハイマーファンドの債券責任者、ジェリー・ウェブマン氏は「不 透明感が続く限り、金利は上昇しイールドカーブはスティープ化するだろう」 と予想している。

業界経験35年の同氏は、景気の方向についてこれほど意見の分かれてい る時期はめったにないと話す。プライマリーディーラー(米政府証券公認ディ ーラー)21社のうち、イールドカーブのスティープ化を予想するのは10社。 5社はほぼ変わらずと予想し、5社は再び逆イールド化すると予想している。 シティグループは2年債利回りの予想を示さなかった。

UBSとメリルリンチ、ドイツ銀行は、景気回復のため米当局が利下げを するとの予想に基づき今年の2年債利回り低下を予想する。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズは、米インフレ率が年末まで に2.6%と4-6月(第2四半期)の1.7%から加速すると予想。当局の利下 げを妨げる一方で、インフレ懸念が10年債利回りを上昇させると予想してい る。

PIMCOのグロス氏はその両方を予想する。同氏は、米金融当局が少な くとも0.5ポイントの利下げをし、ドル安がインフレを加速させるとの見通し を示している。ドルは13日に、ユーロに対して2年ぶり安値の1ユーロ=

1.3454ドルを付けた。

UBSの米債ストラテジー責任者ウィリアム・オドネル氏は、年末には 10年債利回りが2年債を約35bp上回ると予想。さらに、利回り格差は3年 以内に200bp超に達するとみている。同利回り格差は04年6月以来、200b pを上回ったことがない。

オドネル氏は、住宅市場の落ち込みに伴い雇用拡大ペースが鈍化すると予 想。失業率は年内に、2年ぶり高水準となる5.1%(3月は4.4%)まで上昇 し、当局に利下げを迫るとみている。

メリルリンチのエコノミストも、政策金利が年末までに4.25%に引き下 げられ、2年債利回りが10年債よりも大幅に低下すると予想する。

モルガン・スタンレーはインフレを理由に、2・10年債利回り格差の拡 大を予想。米国金利ストラテジー責任者のジェームズ・キャロン氏は「理由は 何にせよ、イールドカーブはスティープ化するだろう」と話す。同氏は「当局 のインフレ許容姿勢がイールドカーブに織り込まれる」必要があると指摘し た。同氏は10・2年債利回り格差が来年までに50bpに拡大するとの予想を 示した。また、70年代の米経済が陥った低成長・高インフレ(スタグフレー ション)という状態もイールドカーブをスティープ化させると付け加えた。

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