全日空:直営13ホテルをモルガンスタンレーに売却-総額2813億円(6)

国内第2位の航空会社、全日本空輸は13 日の臨時取締役会で、国内の直営13ホテルを米証券大手のモルガン・スタン レーに総額2813億円で売却することを正式に決めたと発表した。売却日は6 月1日の予定。全日空グループでは、売却対象の直営ホテルを含む国内30の ホテルの運営・フランチャイズを引き続き行っていくとしている。米ジョーン ズ・ラング・ラサールによると、ホテル買収としてはアジア太平洋地域で最大。

ANAインターコンチネンタルホテル東京など売却対象資産の簿価は、 2006年3月期の有価証券報告書ベースで約1504億円。全日空では、08年3月 期に特別利益が発生する見込みだが、現在集計中で、確定次第公表するとして いる。

この売却は、直営ホテルや運営会社など関連子会社14社の全株式を譲渡 するもので、譲渡先が、モルガン・スタンレーの関係会社が運営する不動産フ ァンドにより設立された有限会社、城山プロパティーズ。

モルガン・スタンレーも同日、全日空から直営ホテルを購入することで合 意したと発表。発表文では、日本の主要都市にある質の高い資産に投資できる 希少な機会とし、ホテル投資戦略で極めて重要な投資としている。

財務体質改善の一環

全日空は財務体質改善の一環として、昨年末ごろから直営13ホテル売却 の入札を実施し、購入希望者からの提案を検討していた。ホテル運営は続ける ため、すでに昨年10月、英国の世界最大のホテルチェーン、インターコンチ ネンタル ホテルズ グループと提携。ホテル運営の合同会社を設立して、「イ ンターコンチネンタルホテル」グループとして運営を続けることが決まってい た。ホテル売却前に有名国際ホテルチェーンと提携して資産価値を高めていた。

売却する直営ホテルは、千歳全日空ホテル、札幌全日空ホテル、富山全日 空ホテル、金沢全日空ホテル、ストリングスホテル東京、ANAインターコン チネンタルホテル東京、成田全日空ホテル、大阪全日空ホテル、広島全日空ホ テル、博多全日空ホテル、万座ビーチホテル&リゾート、沖縄ハーバービュー ホテル、石垣全日空ホテル&リゾート。

航空ビッグバンで数千億円の資金需要

全日空は数年前から保有資産を売却して財務内容の改善を進めており、航 空機事故や燃料高騰など突発的な収益圧迫要因に備えている。今後は航空事業 に専念する意向で、日本の航空業界は2010年ごろに羽田空港の拡張や成田空 港の滑走路延伸で主要空港の離着陸枠が拡大する「航空ビッグバンが始まる重 要な時期」(全日空の山元峯生社長)を迎える。

航空会社同士の競争が激化するのは必至で、旅客便の増便とともに、コス ト削減も企業競争の鍵となるため、新たな航空機材の導入が必要になる。全日 空では、ボーイング社の最新鋭旅客機B787型機50機を世界で初めて発注 することを決めており、購入費用に約6000億円が必要になる。

フィッチレーティングの青山悟ダイレクターは、全日空について「今後4 年間で7000億円近い航空機投資を行うことになる。今後も資金調達は必要で、 現時点でフィッチが格付を変更することにはならないが、今年夏以降、業績が どのように推移するかを見極めたい」と話している。

内外の投資家は不動産価値の回復に関心

景気回復傾向が進むなか、内外の投資家からは日本の不動産価値の回復へ 関心が高まっている。全日空の直営ホテル売却の入札には当初、約50社の企 業が名乗りを上げるほどの人気だった。

野村総合研究所の北村倫夫上級コンサルタントは、今回の案件に関して 「地価が上昇に転じたことと、大都市のビジネスホテルや沖縄や札幌のリゾー トはアジアから来訪者数が増加していること」などが背景にあると指摘する。 そのうえで、「外資はファイナンスのネットワークがあり、資金調達能力に優 れている。今後も経済成長を続ける日本への投資は、ホテル・観光のみならず、 オフィスや商業施設を含めて拡大していく」とみている。

全日空の株価終値は前日比4円(0.9%)高の475円。

--共同取材:日向 貴彦、 Chris Cooper Editor:Asai

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