ワシントンG7が開幕、ユーロ高で円安も議論か-日本は静観の構え

7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が 13日午後、米財務省内で開幕した。ユーロが対円で最高値を更新し、欧州中央銀 行(ECB)のトリシェ総裁が円の下落に言及したことで、日本経済の動向と円 相場の関係が改めて取り上げられる可能性が浮上している。ただ、声明では、為 替は経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を反映すべきとの従来の表現が今 回も踏襲される見通し。

尾身幸次財務相はこの日、会議に先立ち、宿泊先のホテルで記者団に対し、 為替問題について「日本側から取り上げる気持ちはないが、どなたかがそういう 意見をおっしゃるかもしれない」とした上で「議論についてはオープンだ」と述 べた。

会議では堅調な世界経済の状況について確認したうえで、先行きについては、 世界経済の約2割を占める米国経済の行方や世界経済の成長を持続させるための 課題についても討議する見通し。会議終了後、午後7時半過ぎに、市内のホテル で尾身幸次財務相と福井俊彦日銀総裁が記者会見に臨む。

トリシェ総裁は12日、政策金利据え置きを決めた後の会見で、円相場は日 本の「持続可能」な経済回復を反映すべきだと言明した。ニューヨーク外国為替 市場では13日、ユーロは対円で一時、1ユーロ=161円42銭と最高値を更新し ている。

2月のG7声明では、各国経済に関する言及の最後に「われわれは、こうし た経済動向が意味するところが市場参加者に認識され、彼らのリスク評価に織り 込まれていくであろうと確信する」と明記した。これは、昨年9月の会議に引き 続き、欧州からのユーロ高・円安に対する不満に対し、過度な円安を間接的な表 現でけん制した格好だ。

その後図らずも、2月末の世界的な株価調整と同時に、円はユーロに対し上 昇。会議に出席するため12日現地入りした日本銀行の福井俊彦総裁は記者団に 対し、金融資本市場の調整について「ボラティリテー(変動)の高まりは、株式 市場だけでなく、債券市場でも為替市場でも見られた。今それが少しずつ落ち着 いてきている状況だ」と指摘。そのうえで「特に為替相場がどうということを具 体的にコメントすることは有益でない」と述べ、市場にゆだねる考えを示唆した。

そもそもユーロ高・円安は、日本のディスインフレと欧州の根強いインフ レ懸念を背景にした金利見通しの格差を基に市場が決めており、プラザ合意のよ うに当局間の合意で水準是正できるものではない。このため今回の会議でも直接、 円安の修正に言及する可能性は少ない。

外貨運用の透明性

国際通貨基金(IMF)は11日発表した世界経済見通しで、世界の07年成 長率予想を4.9%で据え置いた。米国の成長率は03年以来で初めて主要7カ国 のなかで1位から転落し、英国、カナダ、日本に次ぐ4位となる。米国の成長率 が日本を下回るのは1991年以来初めて。

福井総裁は米経済について、「世界経済のリード役のアメリカ経済は今調整 過程にある」としたうえで、ソフトランディング(軟着陸)する「蓋然(がいぜ ん)性が高い」と指摘。一方総裁は住宅市場の調整の行方に加え、「最近は設備 投資の面で少し弱い動きが出てきていることが新しいダウンサイドリスクになる のかどうかも、併せてみていく必要がある」と指摘。さらにコア消費者物価指数 の高止まりについても「十分見極めていく必要がある」と説明した。

G7の財務相と中央銀行総裁は13日夜、恒例となっているG7以外の国と の会合を開催する。今回はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシア、中国を 招き、オイルーマネーなどの外貨運用の透明性や効率性などを巡り議論する。

中国は1兆ドルを越す外貨準備の一部を切り離して投資会社で運用する方針 を表明している。しかし、詳細は明らかにされておらず、市場への影響は未知数 だ。仮にこれらの国々が、高い利回りを確保するため不動産や各国主要産業の株 式などに積極投資を行えば、投資先で保護主義的な機運が高まる恐れもある。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE