東芝:半導体に集中投資1兆円継続、有機ELテレビ発売も-中計(5)

東芝は12日、2009年度までの新たな中期経 営計画として、5%の売上高営業利益率を目指すと発表した。収益の柱である半導 体事業では3年間に1兆円を超す集中投資を継続する方針もあらためて明確化。同 時に、原子力や医療システムなどの事業強化を打ち出し、薄型テレビの新たな戦略 として有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス=電界発光=)搭載の大型テレビを 09年度中に発売する構想を初めて明らかにした。

09年度の数値目標は、売上高が06年度見込み比24%増の8兆7000億円、営 業利益が同60%増の4000億円。07-09年度の設備投資計画は、過去3年間に比べ 3000億円多い1兆7500億円とし、うち58%に相当する1兆150億円を半導体事業 に充てる。研究開発費も過去3年間より16%増やし、1兆2900億円を投じる。

都内で会見した西田厚聰社長は「当社の売り上げは、1995年度から9年も5 兆円台が続くという低成長が続いた。この間、年率たった1.3%の成長にとどまっ てきた」と過去を総括。そのうえで「半導体と原子力の事業拡大のみならず、全部 門で成長しグローバルに勝ち残りたい」と語り、08年度以降の各事業の戦略立案 に当たり、07年度中に全事業の総点検を実施し成長余地を検討する考えを示した。

また、西田社長は「2010年度の姿」として、3カ年計画が明けた翌年度には 売上高9兆5000億円、営業利益4800億円を目指す考えも示した。営業利益率では 5%と、これまで示していた6%から下方修正した格好。ただ、設備投資にかかわ る会計処理の制度変更で償却負担が中期的に増えるため、収益が圧迫されるのが主 因としている。

ほかに、半導体事業でNAND型フラッシュメモリー(電気的に一括消却・再 書き込み可能なメモリー)の収益見通しも慎重にみて、影響を受ける。価格につい ては「年率50%ずつ下がることを前提にしているため、収益がやや減ることにな る」(西田社長)という。

有機ELテレビ投入、携帯は欧州進出へ

次世代の超薄型テレビとして期待される有機EL搭載のテレビを「09年度中 には投入したい」と語った。サイズや価格帯などは未定だが、普及機種と高級機種 の2タイプを製品化することで開発中だ。有機ELは、ソニーの井原勝美副社長も 同日、11型のテレビを年内に発売する方針を明らかにしており、本格的な戦いが 始まる見通し。ソニーは昨年、27型の有機ELテレビの試作に成功した。

東芝はこれまで、次世代薄型テレビの目玉商品として、キヤノンと共同開発し た表面電界ディスプレー(SED)テレビを推進してきた。年末に発売する予定だ ったが、キヤノンが抱えている特許紛争の絡みから、事業計画が不透明になってい る。西田社長は、SEDテレビと有機ELの双方を視野に入れて開発に取り組んで きたことを明らかにしながらも、SEDの製品化は「あきらめたわけではない」と 述べた。

テレビと同様、デジタル関連製品の戦略として新たに打ち出したのが、携帯電 話端末の海外進出。西田社長は「国内市場だけでは、将来、事業として勝ち残る道 が閉ざされてしまう」として、まずは欧州市場を攻略する方針を明らかにした。詳 細は今後詰める。

メモリー、次の需要はノートPC

半導体事業では、全社の営業利益の半分を稼ぐNAND型フラッシュメモリー の増産を継続する。これまで需要をけん引してきたのは、米アップルの「iPo d」など携帯音楽プレーヤーやデジタルカメラ向けの記録媒体だったが、今後は、 ビジネス用小型携帯端末やノートPC(パソコン)のストレージ(大型外部記憶装 置)向けにも伸びると予想、増産の手綱を緩めない。

生産能力は、量産拠点の四日市工場(三重県四日市市)で直径300ミリメート ルウエハー対応のラインを増強中。第1棟と第2棟は月10万枚強でフル稼働、第 3棟は同15万枚まで拡張する。昨年8月に着工した第4棟は08年度に生産を開始 する予定で、最大能力は同21万枚とする計画。四日市工場は世界最大級のフラッ シュメモリー専用工場で、300ミリラインだけでも同56万枚を超える能力を有す ることになる。

並行して、生産性向上のため、製造技術の微細化も進める。現在の主流は回路 線幅が70ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代の製品だが、年初に量産を始め た56ナノ世代へのシフトを3カ月前倒しで進め、コスト競争力を維持したい考え。

西田社長は、1枚当たりのウエハーから取れるチップの数について「56ナノ 製品で70ナノ製品の1.56倍、次世代の43ナノ製品になれば70ナノ製品の2.6倍 になる」という。第4棟の生産開始時には、43ナノ製品で量産を始める。一方、 検討中の第5棟以降の建設計画は、07年度中に立地や投資額などを決める。

原子力でロシア進出も

原子力事業は、海外市場の開拓が最大のテーマ。昨年買収した米ウエスチング ハウス・エレクトリック(WH)をテコに、現在は米国や中国で積極的な受注獲得 に動いているが、新興地域のロシアにも進出する。WH買収で、東芝は2020年度 の原子力事業の売上高を9000億円に育成する計画を公表済み。WHには、住友商 事が約300億円を出資し5%の株式を取得する交渉が進んでおり、西田社長は「ぜ ひ参加していただきたい。話し合いを続けているところ」と述べた。

ロシア進出に関しては、国営企業との合弁設立による現地生産などが取りざた されている。西田社長は「詳細はまだお話しできない」と言及を避けたが、「さま ざまな話し合いはしている。(具体的な進出計画立案は)日露間の原子力協定締結 が前提になるが、それほど大きな支障はないだろう」と語った。

東芝株の12日終値は前日比5円(0.6%)安の871円。

--共同取材 駅義則 Pavel Alpeyev  Editor:Taniai(has)

テオ チャンウェイ Teo Chian Wei +81-3-3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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