サブプライムMBSで損失の米個人投資家は証券大手を非難

52歳のバック・マイヤーさんは、アメリカ ン・ビジネス・ファイナンシャル・サービシズが発行した住宅ローン担保証券 (MBS)を購入し、30万ドル(約3570万円)の損失を被った。6年前に住宅 を売却して作った貯蓄の大半を失った同氏は、これをウォール街の大手証券会 社のせいだと考えている。

マイヤーさんを含め何千人もの個人投資家は、米国債の10倍の利回りを提 供するアメリカン・ビジネスの証券に飛びついた。同社が破たんの寸前にある ことなど、知るよしもなかった。同氏は今、ベアー・スターンズとクレディ・ スイス・グループ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーが5000万 ドルを稼いだ商品のせいで、自分が資金を失ったことが信じられない思いでい る。

4社が利益追求に走り、投資家の損失に責任の一旦があるかどうかは、フ ィラデルフィアの裁判所で判断されることになる。アメリカン・ビジネスが 2005年に破たんしたときに同社発行の証券約6億ドルを保有していた2万人余 りの投資家は、4社が投資家に安全の「幻想」を抱かせたとして4社を相手取 り集団訴訟を起こしている。

米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、アメリカン・ビジネス は破たんの3カ月前に、表面利率12.99%の13カ月物証券と6.05%の「無担保 マネー・マーケット・ノート」を発行した。

ベアー・スターンズとクレディ・スイス、JPモルガン、モルガン・スタ ンレーの4社は、アメリカン・ビジネスへの融資や2000-03年に発行された36 億ドル相当のMBSの組成で、5000万ドルを稼いだ。原告側の訴えによると、 同社はこの間、債務超過に陥っていた。

アメリカン・ビジネスの破たんの直後から、信用力の低い借り手を顧客と したサブプライム住宅ローン会社の苦境は深まり、06年初めから今までに23社 が破たんしている。サブプライム住宅ローン担保証券の組成で06年に5億4000 万ドルを稼いだと概算されるベアー・スターンズなど、ウォール街の各社が責 められるのも無理はない。

裁判所に指名されたアメリカン・ビジネスの管財人ジョージ・ミラー氏 は、証券会社やアメリカン・ビジネスの元幹部らから、7億5000万ドルの支払 いを求めている。

ウォール街は住宅金融会社から住宅ローン債権を買い取ることで資金を供 給していた。アメリカン・ビジネスの場合のように、融資枠を提供する場合も ある。全米抵当貸付銀行協会(MBA)によると、サブプライム住宅ローンは 06年に実行されたローンの13.5%を占め、1998年の約2.5%から大幅に増えて いた。

エンロンやワールドコムなどの破たんで債権者の代理人を務めた経験のあ るフロリダ州の弁護士、チャールズ・タテルボーム氏は、「サブプライム住宅 金融会社の破たんが続けば、このような訴訟が大幅に増える可能性がある」と 話す。「ベアー・スターンズやJPモルガンはあわてて、迅速な和解を目指す だろう」と同氏は論評した。

ニューヨークの法律事務所ワイル・ゴットシャル・アンド・マンジズの弁 護士ハービー・ミラー氏は、アメリカン・ビジネスの証券を投資家が購入する ことを妨げなかったという理由で証券会社を提訴するのは「無理がある」と指 摘する一方、それが証券会社を守らない可能性があると語った。「一枚岩の銀 行」に弱者が立ち向かうケースでは、陪審員の評決は予想がつかないためだ。

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