GCAが野村、GS抜きトップ、M&A助言-独立系ブティックで初(4)

国内独立系アドバイザリーファームGCA が2007年第1四半期(1-3月)の日本企業が関わるM&A(吸収・合併)助 言(案件総額ベース)キングで、野村ホールディングスや米ゴールドマン・サ ックスなど内外の投資銀行を抑えて1位となった。金融機関以外のブティック が首位になるのは今回が初めてだ。

設立後わずか3年のGCAがこの四半期(1月1日-3月31日)に手がけ たのは案件総額で約2兆6000億円。前年同期の13位から首位に急浮上した。 ブルームバーグ・ニュースがデータを集計したところ、GCAは1兆6000億円 規模の米シティグループによる日興コーディアル・グループの買収など、公表 ベースの6案件でフィナンシャル・アドバイザー(FA)を務めた。

日本で「助言業務」の収益拡大へ

第1四半期の同ランキングでGCAに次ぐ2位となったのは日興シティグ ループ証券。これに野村、メリルリンチ、KPMG、三菱UFJフィナンシャ ルグループ、モルガン・スタンレー、みずほ、大和証券SMBC、ゴールドマ ンが続く。第1四半期だけでの実力比較は難しいが、GCAは有力な欧米投資 銀行や国内メガバンクを抑えた(末尾のランキング表参照)。

GCAはKPMGのM&Aアドバイザリー部門の日本代表だった渡辺章博 氏と企業買収ファンド、ユニゾン・キャピタル創始者の佐山展生氏らが04年4 月に設立。金融機関の系列に属さない独立性を売りに、これまで欧米投資銀行 や国内証券と競ってきた。日本経済の回復が続き日本企業が絡む買収が急増す るなか、三角合併解禁も前にFAの役割はこれまで以上に問われている。

06年10月に東京証券取引所に上場したGCA株を保有するSBIアセッ トマネジメントの木暮康明運用本部長は、同社の将来性について「米国の投資銀 行はM&Aの助言業務が大きな収益を生み出しているように、今後日本でも外 資系ファンドの投資や日本企業によるクロスボーダーの買収増加に応じて、ア ドバイザリーを専門とするGCAの収益機会はますます伸びる可能性がある」 とみている。

クロスボーダー案件増加、インドにも拠点

ブルームバーグ・データによれば、2006年度の日本企業が関係するクロス ボーダーの買収案件は前年度から48%増の10兆円。07年第1四半期の案件数 は645件と前年同期の562件から大幅に増えた。外国企業の日本企業買収を容 易にする三角合併解禁を前に、経営基盤拡大を模索する統合の動きも進んでい る。今回GCAがFAを務めた案件には、みずほフィナンシャルグループのみ ずほ証券と新光証券の合併も含まれる。

GCAの渡辺氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「日本 企業は現在、企業価値の向上を迫るアクティビスト・シェアホルダーからのプ レッシャーの最中にいて、時価総額で大きく欧米の企業より下回る日本企業は 時価総額を増やしたいと合併を模索する動きが広がっている」として、今後さ らに日本企業を軸にしたM&A市場は拡大していくとみている。

GCAをFAに選定した理由について日興では「独立」した会社であり、 第三者の算定機関として財務的な観点から日興の「株主」にとって適切な株式 価値の算定や関連した助言を行ってくれると判断した、と説明している。

会見にも足運ぶ、顧客から信頼

渡辺氏はクロスボーダー案件獲得の拡大に向け、現在ヨーロッパと米国の M&Aブティックと提携交渉中で、年内には基本合意を締結する見通しを明ら かにした。また、ニューヨークとサンフランシスコにオフィスを開設、インド にも拠点を置く計画だ。これに合わせ、プロフェッショナルを06年の40人か ら70人に、今年末には110人に増やすという。

GCAの代表取締役である佐山氏はインタビューで「銀行や投資銀行のア ドバイザリーには利益相反が起こりうる」と指摘する。その理由は買収で必要 なファイナンスの際、「アドバイザーがデッドやエクイティーなど、他社と競 合することなく優先的に販売を試み、クライアントには選択の余地がない」な ど顧客の利益と矛盾することがあるためという。同業務には中立性も重要との 認識を示した。

06年の案件としてGCAは阪急ホールディングスによる阪神電気鉄道の買 収でもFAを務めた。阪急阪神ホールディングス法務担当の冨永七瀬調査役は 「GCA佐山代表の講演会を何度か聞いた。とても信頼できるなと感じた」と 振り返る。その後「非公式にサジェスチョンなどをもらうようになり、企業価 値向上と敵対的買収の防衛策のアドバイザーとして起用した」という。専門性 や実績だけでなく佐山氏らの人格なども重視したようだ。

採用理由に「独立系」

シティグループのダグラス・ピーターソン在日代表は3月6日夕、日興の 買収を発表した記者会見には、GCAの佐山、渡辺両代表の姿があった。100 人を超える記者に紛れて会見内容を一字一句メモしていた。顧客の会見には必 ず立ち会うという。また、GCAのホームページにはM&Aプロフェッショナ ルの経歴が事細かく開示。インベストメントバンカーが自分を「黒子」といい、 まとめた案件を含めほとんどプロファイルを公開しないのと対照的だ。

1月のシチズン時計との資本提携でGCAを採用したミヤノは内外の大手 投資銀行を含めた数社の中からGCAを起用した。同社の有吉毅・経営企画室 課長は選定理由を「独立系であることが判断材料の一つだった」とし、「業界 動向に詳しく、どの金融機関にも関係なく中立的で協議を進めやすかった」と 述べた。手数料は外資などに比べ「高くも安くもなかった」という。

GCAの11日の株価は後場に入って大きく反転し、一時前日比12%高の91 万2000円まで上昇。終値は8万4000円(10.3%)高の89万8000円となった。

<07年1-3月ランキング>   総額(100万ドル)     案件数
1.      GCA                  21,533               6
2.     日興シティ               16,482               9
3.       野村                    9,901              38
4.    メリルリンチ               8,457               6
5.      KPMG                 7,677               7
6.     三菱UFJ                7,138              23
7.   モルガン・スタンレー        4,571               6
8.      みずほ                   3,523              20
9.    大和SMBC               2,355              27
10.    ゴールドマン               1,749               5

--共同取材:Gareth Nicholson Editor: Hirano

河元 伸吾 Shingo Kawamoto +81-3-3201-3540 skawamoto2@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Ben Richardson +85-2-2977-6467 brichardson8@bloomberg.net

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