アイピーモバイル:森トラストを筆頭株主に携帯参入へ、時期未定(2)

資金難による携帯事業参入断念が報じら れていた通信ベンチャーのアイピーモバイル(本社・東京)は10日、時期は 未定ながらあくまで参入すると発表した。必要な資金確保のため筆頭株主を、 設立母体であるコンサルティング会社のマルチメディア総合研究所から、大手 デベロッパーの森トラストに変更したとしている。

杉村五男社長が同日、都内で記者会見して発表した。杉村氏は出資につ いては森トラストの合意を取り付けているとしながらも、今後必要な投資額や 開業時期、事業の詳細については言及を避けた。ただ、2005年11月の総務省 による参入認可から2年以内に開業する必要があるとして「事業開始のリミッ トは10月末だ」と語った。森トラスト関係者は会見に同席しなかった。

関連して、森トラスト広報室の森晶子氏は、投資目的でアイピーモバイル の株式69.23%を、マルチメディア総研から10日付で取得したことを認めた。 そのうえで出資の理由について「短期売買が目的ではなく、アイピーモバイル の技術力や将来性を評価したうえで、投資基準に合致すると判断した」と説明。 ただ、株式取得で支払った額は「公表を控えている」と述べた。

05年に総務省から参入認可を受けたアイピーモバイルとソフトバンク、非 対称デジタル加入者線(ADSL)大手イー・アクセス子会社イー・モバイル の3社のうち、ソフトバンクは昨年4月末に英ボーダフォン日本法人(現ソフ トバンクモバイル)を買収し既存事業者として参入。イー・モバイルは今年3 月末に開業していた。

資金難で遅れ

アイピーモバイルは2002年11月、マルチメディア総研が主体となって設 立。05年11月に総務省から参入認可を受けた際は、携帯によるデータ通信事 業を06年10月に開業し、その5年後に1160万件の契約獲得を目指すとして いた。

その後、開業時期を今年3月末までに延期したが、昨年9月には中継設備 を沖電気工業、使用機器は米UTスターコムから購入する契約を結んでいた。

ただ、資金難もあり、参入が危ぶまれていたのも事実。05年11月の認可 から5年後に500局を整備する計画だった「陸上移動中継局」について杉村氏 は10日の会見で「7つしか整備できていない」ことを明らかにしている。

断念の報道

8日付の日本経済新聞朝刊は取材源を明示しない形で、アイピーモバイル が、資金調達の難航を理由に進出を断念し、割り当てを受けていた携帯用周波 数は近く総務省に返上すると報道。日本の国内メディアも一斉に追随していた。

一連の報道について杉村氏は10日の会見で「誤報」と言い切った。ただ、 筆頭株主変更の理由についてはコメントを避け、具体的な事業計画も「近く発 表する」と述べるにとどまった。ただ、3月中旬になって森トラストと出資交 渉を開始し、9日に大筋合意したという点については、森トラストの森氏も認 めている。

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