新興市場株、上昇鈍化見通しで成長株から高配当株に人気流れる

新興市場株の投資家は、相場上昇ペースが2003 年以来で最小へと鈍化することを予想し、高配当株に物色の中心を移している。

テンプルトン・アセット・マネジメントのマーク・モビアス氏とエマージ ング・マーケッツ・マネジメントのアントワーヌ・バンアグトメール氏は、高 配当の銘柄への投資が、上昇鈍化によるリターン低下を補うのに役立つだろう としている。新興市場の高配当銘柄にはブラジルの電力会社CPFLエネルジ アや韓国の国民銀行などがある。

エマージング・ポートフォリオ・ファンド・リサーチによると、新興市場 株への投資額は4680億ドル(約58兆円)と、02年に比べ6倍に増えている。 モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数 によれば、この間に新興市場の株価は3倍になり、先進市場の倍のペースで上 昇した。

投資の中心は今、これまでの成長株から高配当株へと移り、メリルリンチ とUBSはブラジルや台湾、ポーランドなどインフレが抑制され、企業経営が 進歩している市場の高配当株を推奨している。

モビアス氏は電話インタビューで、「相場がここまで上昇したときは、基本 に戻るのが賢明だ」として、「配当と利益拡大の良い組み合わせで投資している。 相場が下落しても、ひどい影響は受けないだろう」と話した。同氏は台湾、ブ ラジル、トルコ、南アフリカ共和国の高配当株を有望視する考えを示した。個 別の銘柄は挙げなかった。

シティグループとモルガン・スタンレー、メリルリンチのストラテジスト は、新興市場株の07年上昇率は4年にわたる上昇相場が始まって以来で最小に とどまると予想している。03-06年のMSCI新興市場株指数の上昇率は配当 を除き、平均で年37%だった。

07年1-3月(第1四半期)は1.8%上昇と、同四半期として03年以来で 初めて先進市場の上昇率を下回った。先進市場の指標であるMSCIワールド 指数の第1四半期上昇率は2.1%。

シティグループのストラテジスト、ジョフリー・デニス氏は「現時点では 大幅な上昇を予想していない」として、新興市場は「変動性が高まり、リター ンは中程度になるだろう」と述べた。同氏は、配当を含めた07年の新興市場株 トータルリターン(総収益率)は15%を超えず、先進市場を下回ると予想して いる。新興市場企業の利益拡大が緩やかにとどまり、より低リスクの先進市場 企業株に比べた株価の割安感を維持することは難しいだろうと同氏は解説した。

MSCI新興市場株指数の構成銘柄の株価収益率(PER)は平均15.3倍。 ブルームバーグ・データによると、先進市場株の17.3倍に比べた割安度は2000 年3月以来で最も後退している。配当利回りは両市場とも平均で2.2%。

大きな値上がり益が見込めない時期は、配当の重要性が高まる。メリルリ ンチのチーフ新興市場ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、「リター ンが小さいときは、高配当株の人気が高まる」と言う。同氏は先週のリポート で、07年の新興市場株リターンを10-15%と予想した。

ニューヨークのヘッジファンド、デルテック・アセット・マネジメントの グレッグ・レスコ氏は、高配当株が「相場乱高下時のクッションになった」と 語る。同氏は第1四半期にCPFLエネルジア株を購入した。同四半期に新興 市場株は、週ベースで9カ月ぶり大幅下落を演じた。MSCI新興市場指数は 2月23日からの7営業日に11%下落した。

フォルクスバンケン・カピタランラゲージのハネス・カレ氏は一方、高配 当株の優位は一時的との見方を示している。同氏は「新興市場に投資するのは 成長期待からだ」として、「新興市場企業が高い配当を払えば成長事業に投資で きないことになり、要注意だ」と話した。

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