「仲人」は株主のヘッジファンド-蘭ABNアムロと英バークレイズ

オランダ最大の銀行、ABNアムロ・ホール ディングの経営陣との1月の会合で、株主のクリストファー・ホーン氏は堪忍 袋の緒が切れた。ABNアムロの業績は長年にわたり不振続きで、業績が好転 するとは思えなかったためだ。

ホーン氏のヘッジファンド、TCIファンド・マネジメントは2月20日、 ABNアムロに事業分割または合併を呼び掛けた。その1カ月後、英銀大手バ ークレイズがABNアムロとの独占交渉を進めていることを発表した。

ホーン氏は、「われわれは常に、ABNアムロは素晴らしいフランチャイズ だが、経営にはひどい誤りがあると考えていた」と述べ、「経営陣と会談してみ て、彼らが自分たちだけでは改革しないつもりであることに気付いた」と語っ た。

4月26日の株主投票で同行の事業分割の是非を問うよう求めるホーン氏に、 株主からは賛同の声が集まっている。同行とバークレイズの統合が実現すれば、 金融サービス業界のM&Aでは過去最大規模となる。欧州連合(EU)は先月、 加盟国がM&Aを阻止する権限を抑制しているだけに、この買収が実現すれば、 欧州銀行業界の再編をもたらすとみられる。

ABNアムロ株などを保有するPショーンフェルド・アセット・マネジメ ントのピーター・ショーンフェルド最高経営責任者(CEO)は、「再編の機は 熟している」と述べ、「TCIが空白を埋めた」と指摘した。

キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリストらは3月30日付の 投資家向けリポートで、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)や スペインのサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)による共 同買収提案がバークレイズの買収条件を上回る可能性があると指摘している。 RBSは米国市場や大口金融分野でABNアムロと重複している。サンタンデ ールとABNアムロはいずれも、ブラジルに進出している。

こうしたホーン氏の圧力がABNアムロのライクマン・グローニンクCE O(57)とバークレイズのジョン・バーリーCEO(51)を結び付けた。AB Nアムロの株価はグローニンクCEOが指名された2000年5月から2月20日 までに16%上昇。ブルームバーグ欧州銀行・金融サービス株指数の上昇率(47%) を下回った。TCIの要求が公表されて以来、同行の株価は26%上昇し、株式 時価総額は830億ドルに拡大した。

グローニンクCEOは2000年に、世界の大銀行20行で上位5以内を目指 して株主リターン目標を設定した。02-05年は7位と健闘したものの、現在 は16位にとどまっている。シティグループなどに対抗して投資銀行業務の構 築を図ったが、インターネット株バブル崩壊の直前でタイミングが悪かった。

一方のバークレイズでは、収益をけん引している投資銀行部門のボブ・ダ イアモンド社長に比べて、バーリーCEOの影は薄い。ドレスナークラインオ ートのアナリスト、イアン・ゴードン氏は、バーリーCEOは、ダイアモンド 氏の領域ではない消費者向け金融ビジネスの基盤強化を通じ、行内のパワーバ ランスを取り直そうとしていると指摘する。

バーリー氏は1982年にバークレイズ入りし、ダイアモンド氏を抑えて03 年に同行CEOに就任したが、ダイアモンド氏の昨年の報酬はバーリー氏の5 倍近い水準だった。バーリー氏はここにきて、英銀3位のバークイズを世界ト ップクラスの金融機関に躍進させることを目指しており、ABNアムロとの統 合が実現すれば、世界6位の銀行に浮上できる。

バーリー氏とグローニンク氏は1月にスイスのダボスで開催された世界経 済フォーラムで会っており、1週間後にもジュネーブで会談していた。両行は、 TCIのグローニンク氏あての書簡が公表されるまで、話し合いの事実を明ら かにしていなかった。

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