プレミアリーグは宝の山、外国人によるチーム買収盛ん-功罪は相半ば

イングランド・サッカーのプレミアリーグの 名門チーム、リバプール・フットボール・クラブの会長、デービッド・ムーア ズ氏は1月30日にロンドンのホテルで、50年にわたり一族が経営権を握ってき たクラブを売るべきかどうか悩んでいた。

リバプールFCのアドバイザーを務めたプライスウォーターハウスクーパ ースのパートナー、コリン・ギレスピー氏によれば、ムーアズ氏には「感情的 な葛藤」があった。「改装する資金がないために先祖代々の屋敷を売るようなも のだった」と同氏は話した。

1週間後に合意は整い、リバプールFCは米スポーツ実業家のジョージ・ ジレット氏とトマス・ヒックス氏に買収されることになった。2月にはサッカ ーチームとして過去2番目の1億7400万ポンド(約410億円)が支払われ、プ レミアリーグのチームがまた1つ、外国人投資家の手に渡った。

プレミアリーグは世界で最も人気の高いスポーツのなかで、最も人気の高 いリーグだ。リーグ側の発表によると、8月から5月のシーズン中は毎週、世 界の190カ国から7600万人が試合を見る。

多くの国の多くの人から注目されているという事実は、同リーグを投資家 にとっての宝の山にする。世界で最も懐の温かいサッカーチーム10のうち4チ ームは、プレミアリーグのチームだ。デロイト・アンド・トゥーシュによると、 リーグの20チームを合わせた2006年の収入は20億ユーロ(約3150億円)と 概算される。プレミアリーグ・チームの高収益と知名度が、外国人投資家を引 き付けている。

外国人投資家によるゴールドラッシュはしかし、熱心な地元のファンと競 技の運営団体を懸念させる。国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッ ター会長は、「外国人によるチーム保有は、サッカーというスポーツをファンか ら遠ざけかねない」と懸念を示す。

イングランドでは、外国人オーナーへの反感はときに激烈だ。マンチェス ター・ユナイテッドのファンは、米資産家マルコム・グレーザー氏による同チ ーム買収に抗議し、グレーザー氏の肖像を燃やすなどした。ロンドン南西部選 出の英議員アラン・キーン氏は、外国人による所有で、イングランドのサッカ ーチームが地元密着の組織だった時代が忘れ去られると嘆く。同議員は、外国 人投資家が「サッカーに興味を持つのは金もうけの手段としてだけだ」として、 「サッカーというスポーツへの中長期的な影響が心配だ」と語る。

リバプールは、プレミアリーグのチームで外国人に買収された7番目のチ ームだ。ロンドン証券取引所への届け出によるとさらに、マンチェスター・シ ティとニューカッスル・ユナイテッドの2チームも今年、買い手候補と会合を 持った。

ロンドンのブランドコンサルティング会社グローバル・スポンサーズのコ マーシャルディレクター、マイケル・スターリング氏は、買い手の意図はさま ざまだと話す。同氏は、「純粋にサッカーに興味を持っている買い手もいれば、 資金が余っているだけの人もいる」として、「昔なら大金持ちはヨットを買った が、今はサッカークラブだ」と語った。

外国人による保有には利点もある。世界最強の選手を集めたおかげで、地 元ファンの一部の機嫌は損ねても国際的な関心はさらに高まった。チェルシー を買収したロシアの石油王ロマン・アブラモビッチ氏はイタリアのチーム、A Cミランに過去最高額の3100万ポンドを支払い、週給13万ポンドでウクライ ナのフォワード(FW)、アンドリー・シェフチェンコ選手を獲得した。

外国人オーナーが巨額の投資を回収する1つの方法が、入場料を引き上げ ることだ。これは熱心な地元ファンの怒りを買う。ニューカッスルのファンの ブレア英首相は、最大で60ポンドの入場料は試合の観戦者を減らしていると苦 言を呈する。ブレア首相は2月27日の記者会見で、「プレミアリーグの試合を 観戦する者は皆、ここ1、2年で空席が目立つようになったことに気付いてい る」として、「入場料を普通のファンの手の届く範囲に設定するのは、市場原理 にかなった賢い行動だ」と忠告した。

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