米国債、08年には先物取引の規模が現物超える公算-リターン追求で

シカゴ商品取引所(CBT)で最も取引の活 発な商品である米国債先物は、2008年にその取引高が現物債を超える見通し だ。運用者は高リターンを求め、先物の取引を増やしている。

2月の先物取引高は過去最高の6050万枚だった。想定元本にして6兆 6200億ドル(約780兆円)に相当する。米連邦準備制度のデータによると、 ウォール街の大手ディーラーの米国債取引高の合計は9兆5700億ドルだった。 先物の取引高は過去5年で2倍強に増えた。このまま行けば、08年中には現 物債の取引高を超える見込みだ。

米年金基金へのアドバイザー、キャラン・アソシエーツ(サンフランシス コ)のシニア・バイスプレジデント、グレッグ・デフォレスト氏は「デリバテ ィブの活用を許可していなかったファンドのスポンサーらも、活用に前向きに なってきている」と話す。

メロン・キャピタル・マネジメントの広報担当者マイク・ダン氏によると、 同社の世界分散投資商品の顧客の大半は現在、デリバティブの使用を許可して いる。この割合は03年には64%、1999年には10%だったという。

メロンのチャールズ・ジャクリン最高経営責任者(CEO)の調査による と、先物を活用したメロンの顧客は、1989-2005年の間に平均で17.3%のリ ターン(投資収益)を得た。活用しなかった顧客のリターンは13.7%だった。

メロンの債券調査ディレクター、ウィリアム・ホスキンズ氏は、リターン を高める努力が「現物債に対する先物の価値を高めた」と話す。価格500- 1485ドルの先物は、5-30年物米国債で10万ドル、2年債で20万ドルの値 動きをカバーする。

米年金基金アドバイザーで最大手のラッセル・インベストメント・グルー プの調査では、顧客の87%が運用会社にデリバティブの利用を許可している ことが分かった。過去のデータはないものの、「個々のケースから見て、デリ バティブ使用は増えているという感じだ」とラッセルの米債券投資責任者ジェ フ・ハシー氏は述べた。

ハシー氏は「債券運用会社はヘッジファンドのサービスに追い付きつつあ る」として、多くの運用会社がデリバティブ活用によってベンチマークを2ポ イント上回る年間リターンを目指していると話した。

年金基金などがリスクを増やす背景には、債券利回りの低さがあるとハシ ー氏は指摘する。債券ブローカー、キャンター・フィッツジェラルドによると、 先週は10年債(表面利率4 5/8%、2017年2月償還)利回りは3ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)上昇し4.65%で終了した。10年債利回りの 1990年代の平均は6.7%だったが、2000年8月以降は6%を超えたことがな い。

メリルリンチによると、社債利回りも過去に照らして低水準にある。投資 適格級社債のスプレッド(米国債との利回り格差)は平均93bpとなり、 2003年12月以来100bpを下回っている。それまでの3年間の平均は168b pだった。

CBTによると、同取引所での米国債先物の1日平均取引高は2月に過去 最高の318万4429枚となった。想定元本は3483億ドルとなる。取引高は前年 同月比で約37%増えていた。プライマリーディーラー(米政府証券公認ディ ーラー)21社の2月の米国債取引高は平均5037億ドルで、前年同月比0.4% 増。

フランクリン・テンプルトン・インベストメンツのシニア・ポートフォリ オマネジャー、マイケル・マテラッソ氏は、先物は「重要なポートフォリオ管 理ツールだ」と話す。同氏は米国債先物の利用を過去1年で約2割増やした。 社債投資の金利リスクを軽減するために先物を売っているという。

先物は債券と異なり金利収入を生まないが、取引が容易で迅速だ。米国債 先物取引の90%超は電子的に行われる。カントリーワイド・セキュリティー ぅの米国債トレーディング共同責任者、ブライアン・バーガ氏は「先物は匿名 での取引が可能で、最適な価格で取引するという受託者責任を果たすのが容易 だ」と話した。

プライマリーディーラーによる米国債取引高は06年に、データのある01 年以来で初めて減少した。イールドカーブ(利回り曲線)逆転やボラティリテ ィ(変動性)低下で収益機会が縮小したことが背景にある。

ビアンコ・リサーチのジム・ビアンコ社長は「今かかわるべきなのはデリ バティブだ」として、「デリバティブ取引と先物取引所はブームの中心だ」と 話した。

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