設備投資の減速、米金融当局の予想より深刻か-雇用に悪影響も

米金融当局は企業の設備投資減速が景気に 大きな打撃を与えることなく過ぎ去ると予想している。しかしエコノミストら は、当局の予想に反して低迷が長引き、雇用に悪影響を及ぼすことを懸念し始 めている。

当局は今年の米経済の緩やかな成長を予想しているが、この予想を設備投 資減速が脅かすリスクを見落としているのではないかとエコノミストは指摘す る。エコノミストによると、設備投資が伸び悩んだ後にはほぼ必ず、雇用増ペ ースが鈍化する。

ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、ジ ョゼフ・ラボーニャ氏は、「設備投資の弱さには警戒が必要だ」として、「設備 投資の勢いが薄れさらに弱まり続ければ、次に企業がすることは雇用抑制だ」 と話す。

雇用創出ペースが鈍化すれば、個人消費が抑えられ、既に住宅需要低迷の重 しを抱えた米経済に一段の足かせとなる。このような組み合わせは、米金融当 局を成長重視へと押しやる可能性がある。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は先週の声明で、米景気は「緩やかな」 拡大が続くとの見解を維持した。最近公開された1月FOMCの議事録は、設 備投資が予想よりも弱いことを認める一方で、当局者が年内の改善を予想して いることを示した。

しかし、民間部門のエコノミストはそれほど楽観的ではないようだ。エコ ノミストは2006年12月以来、設備投資の予想を3回下方修正し、現在は今年 の伸びを2003年以来の最低と予想している。06年10-12月(第4四半期)の 設備投資は4年で最大の落ち込みだった。

元連邦準備制度のエコノミストで現在はマクロエコノミック・アドバイザ ーズの副社長、ブライアン・サック氏は「住宅市場ばかりが注目され、設備投 資というリスクが見過ごされている」と指摘する。「当社は引き続き、今年の設 備投資の堅調な伸びを予想しているものの、最近のデータはわれわれにリスク を認識させた」と同氏は述べた。

FOMCは先週の声明で引き締めへの言及を取り除き、予想以上の景気減 速に対応できる態勢を整えた。

楽観的な見方を支える証言もある。ドイツのエンジニアリング大手、シー メンスの商業ローン部門、シーメンス・ファイナンシャル・サービシズのロー ランド・シャロンズブラウン最高経営責任者(CEO)は「最近は、企業の景 況感が大幅に改善した」として、「市場にあった躊躇(ちゅうちょ)が消えつつ ある」と話した。

米企業は投資する資金には事欠かない。5年にわたる増益で、事業会社の 利益率は06年7-9月(第3四半期)に37年ぶり高水準に達した。ただ、一 部企業は資金を設備投資よりも自社株買いに回している。事業会社は2006年イ、 過去最高となる6021億ドル相当の株式を自社株買いなどにより消却した。

さらに、今年は利益率が縮小し、増益率は低下する見込みだ。ブルームバ ーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想平均では、S&P500種株価指数構成 企業の1株利益の伸びは今年6.8%と、06年の16.6%から鈍化が予想されてい る。

コンサルタント会社、ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ社 長は「増益率が低下し利益率が圧縮されると、米企業は非常に迅速に支出を絞 り込む」と指摘。「企業セクター発の景気減速に至るとすれば、米金融当局は対 応が遅れることになるだろう」と述べた。

先物金利は、6月28日のFOMCまでに0.25ポイントの利下げが実施さ れる確率を28%織り込んでいる。調査会社ブルー・チップのエコノミスト調査 によると、今年の設備投資の伸びは4.3%と2003年以来の低水準が予想されて いる。06年12月時点の予想は6.2%だった。

コメルツ銀行のエコノミスト、パトリック・フランケ氏も「設備投資が減 速すると、雇用の伸びの傾向もこれに連動する」と語る。ラボーニャ氏は、雇 用の伸びが年末までに月5万-7万5000人のペースに鈍化すると予想する。06 年平均(月18万9000人)からの鈍化により、失業率は年内に5%と、現在の

4.5%から上昇するとみている。

フランケ氏は1982、1991、2001年のような設備投資急減速は予想しないも のの、4%程度に減速すると見込んでいる。

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