オプション取引、1セント刻みの価格でアルゴリズム取引が主流に

ケビン・フィッシャー氏は17年にわたり、 フィラデルフィア証券取引所の立会場でトレーダーをしていたが、最近になっ てコネティカット州グリニッチにあるインタラクティブ・ブローカーズ・グル ープの本社に異動になった。

同氏は今、コンピューターの前に座り、アルゴリズムに基づいた取引シス テムの設計に携わっている。アルゴリズム取引とは、株価や出来高に応じてコ ンピューターシステムが売買の最適のタイミングや数量を決めて注文を行う取 引。世界最大のオプションブローカーであるインタラクティブは、年約10億ド ル(約1170億円)の手数料が発生する市場で、規制変更によって守勢に立たさ れている。

プットオプションとコールオプションの呼値について、従来の5セントま たは10セント刻みから1セント刻みへの変更は、ゴールドマン・サックス・グ ループやクレディ・スイス・グループ、UBSなどに有利だ。これらの金融機 関は6年前に、株の呼値を1セント刻みで示すシステムに変更し、現在ではほ とんどの銘柄を電子的に取引する。株式非公開のインタラクティブは、フィッ シャー氏のようなベテランによるアルゴリズム開発に、オプション取引でのシ ェア維持の望みをかけている。

元オプション・株式トレーダーで現在はコンサルティング会社エイト・グ ループのアナリスト、ブラッド・ベーリー氏は「大手ブローカーは全社、この 開発を手掛けるか、準備の進んだ段階にある」として、「1セント刻みの価格 やソフト開発などの影響で、オプションの取引高は急増するだろう」と話した。

ゴールドマンはオプション取引用ソフトウエアを株取引用に合わせて修正 している。同社は株取引システムREDIを武器に、ニューヨーク証券取引所 の取引高でスイスのUBSを抜いた。

フィッシャー氏によると、インタラクティブはこれに対抗し5人前後のト レーダーをグリニッチの本社に集め、機関投資家からの注文に対応している。 また、アルゴリズムのカスタマイズやすべての銘柄のオプションについて1セ ントずつの値動きに対応するなどで顧客を引き付けようとしている。

オプション市場の急速な拡大

ウォール街の証券会社はこぞって、オプショントレーディングでのシェア 拡大を目指している。オプション市場は株式市場の倍のペースで拡大している からだ。金融コンサルティング会社のグリニッチ・アソシエーツが49ファンド を対象に実施した調査によると、機関投資家が支払ったオプション取引手数料 は2006年、前年から51%増えた。機関投資家は少なくとも、5億ドルを支払っ た。

米市場のオプション取引の決済を手掛けるオプションズ・クリアリング(シ カゴ)によると、米国の6つのオプション取引所を合わせた06年の取引件数は 20億件と、前年比35%増だった。これに対し、ニューヨーク証券取引所とナス ダック(店頭市場)の株取引は17%増。

2月以来、米国の株式オプションの約17%は、米証券取引委員会(SEC) の試験プログラム「ペニー・パイロット」の下で、1セント刻みの価格で取引 されている。半年の試験期間には、総合電機の米ゼネラル・エレクトリック(G E)やソフトウエアの米マイクロソフト株のオプションが1セント刻みで取引 できるようになった。

ゴールドマンの電子デリバティブ(金融派生商品)セールス担当バイスプ レジデント、JP・ゼナキス氏によると、年末までにはより多くの銘柄が1セ ント刻みで取引される見通しだ。SECは7月に、プログラムの拡大を計画し ている。

米最大のオプション取引所、シカゴオプション取引所のエドワード・ティ リー副会長は14日のインタビューで、ソフトウエアを使った自動売買による「注 文拡大に備えている」と話した。

インタラクティブのフィッシャー氏によれば、同氏の最初の仕事は、立会 取引で大口注文を出していたヘッジファンドや機関投資家向けに、大口取引デ スクを設計することだ。同氏はできる限り多くの取引を自動化することを目指 している。

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