米国株(16日):3日ぶり反落、インフレ加速を嫌気-銀行株に売り(2)

米国株式相場は3日ぶりに反落。予想以上 のインフレ加速で利下げ期待が遠のき、先週の回復分を帳消しにした。

借り入れコスト低下への期待が薄れたため、アメリカン・エキスプレスや シティグループなど金融株が売られ、ダウ工業株30種平均は週間ベースで今年 6週目の下げ相場となった。また原油価格が6週ぶり安値に下げたことから、エ クソンモービルなどが売られ、S&P500種株価指数のエネルギー株価指数は産 業別指数のなかでも値下がりトップとなった。

2月の鉱工業生産指数が2005年以来の大幅な伸びとなったものの、同月消 費者物価指数(CPI)の0.4%上昇の影響の方が大きく、連邦公開市場委員会 (FOMC)は景気刺激へ措置を講じにくくなったとの見方が浮上。3月の消費 者マインド指数は6カ月ぶりの水準に低下し、景気失速への懸念がさらに強まっ た。

シルバークレスト・アセット・マネジメント(ニューヨーク)で80億ドル の資産運用に携るスタンリー・ナビ氏は、「不動産ローンなど、クレジット市場 での状況を考慮すると、FOMCが利下げに踏み切るタイミングは比較的早く到 来するのではとの感触があった」と述べた上で、「高インフレの状況では利下げ はできないだろう」と付け加えた。

ダウ工業株30種平均は前日比49.27ドル(0.4%)安の12110.41ドル。 S&P500種株価指数は同5.33ポイント(0.4%)下げて1386.95。ナスダッ ク総合指数は同6.04ポイント(0.3%)値下がりして2372.66で終了した。

今週の株式相場は住宅ローンのデフォルト(債務不履行)増加が景気減速 につながるとの見方から売りが優勢となった。前日に発表された生産者物価指数 (PPI)も予想を上回る伸びだった。

金融株の下落

S&P500種株価指数は3月9日以降では1.1%下落。3兆3000億ドルの 時価総額を失う大幅安になった後、前週は戻していた。

米労働省が発表した2月の米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は 前月比0.4%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査のエコノミスト予 想中央値(0.3%上昇)を上回った。

CPI発表後、フェデラルファンド(FF)金利先物相場が示す6月末ま での利下げの織り込み具合は28%と前日の38%から低下した。

業種別S&P500種株価指数で「金融」は0.7%安。信用力の低い個人向け のサブプライム住宅ローンの焦げ付きが収益に悪影響を及ぼすとの懸念が売りを 誘った。

エネルギー株

S&P500種の「エネルギー」指数は0.9%安と全10業種中で最も下げが きつかった。ニューヨーク原油先物相場は6週間ぶりの安値をつけた。イランの アハマディネジャド大統領が来週の国連安全保障理事会で演説を望んでいるため、 イランが供給量を削減するとの懸念が後退した。

エクソンモービルが83セント安の69.86ドル。バレロ・エナジーは50セ ント安の60.01ドルとなった。

フランクリン・リソーシズは2.87ドル安の114.56となった。ゴールドマ ン・サックスのアナリスト、マーク・イリザリー氏は同業他社の投資機会の方が 優れていると指摘し、フランクリンの投資判断を「買い」から「中立」に引き下 げた。

ニューヨーク証券取引所では下落銘柄12の割合に対し、上昇銘柄は5だっ た。売買高は20億7000万株と1週間前より31%多い。

クアトロ・ウィッチング

この日が株価指数と個別株の先物およびオプションの清算日が3カ月に1 度重なる、いわゆる「クアトロ・ウィッチング」に当たったため、取引は平均的 な営業日よりも活発だった。

この日の通常取引終了後に4半期に1度のS&P株価指数の銘柄組み換え を控えていることも大商いにつながった。

3月のロイター・ミシガン大学の消費者マインド指数(速報値)は88.8と、 前月の確報値(91.3)から低下。昨年9月以来の低水準となった。2006年の平 均は87.3だった。

2月の米鉱工業生産指は前月比1%上昇と、2005年11月以来の大幅な上 昇率となった。製造業部門が回復し、気温低下で電力やガスといった公益事業に 対する需要が高まったことが背景にある。

原動力

ウィルバンクス・スミス・アンド・トマス・アセット・マネジメントで12 億ドルの資産を運用する最高投資責任者、ウェイン・ウィルバンクス氏は「鉱工 業生産が本当の原動力だ。サブプライム住宅ローン問題は悪化する可能性がある が、景気が強い限り状況は良好だ」と述べた。

パソコン最大手の米ヒューレット・パッカードは新たに最大80億ドル相当 の自社株を買い戻す計画を発表して上昇。0.5%高とダウ工業株30種平均の構 成銘柄で上昇率首位となった。小売り最大手のウォルマート・ストアーズはメリ ルリンチが買い推奨を出したことを好感して上昇した。

ニューモント上昇

金鉱山大手のニューモント・マイニングが上昇。バリック・ゴールドが買 収する可能性があると、ビジネス・ウィーク誌が報じたことを好感した。

元モルガン・スタンレーのストラテジストで、ヘッジファンドのトラキ ス・パートナーズで13億ドルの運用に携わるバートン・ビッグス氏は、米国株 が底入れに近いと指摘。S&P500種株価指数は今年、最大で15%上昇すると の見通しを示した。

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