MBA取得者の初任給は過去最高へ-ウォール街の人材争奪戦が過熱

5月にダートマス大学経営大学院のMBA (経営学修士号)を取得するクリス・アイツマンさんによると、MBAを取得 した新卒学生の獲得を目指すウォール街の人材争奪戦は、全米プロアメリカン フットボール(NFL)の選手探しに匹敵する過熱ぶりだ。

アイツマンさん(29)は、「オファーを受けると、1日に2-4回はどこ からともなく電話がかかってくる」と話す。アイツマンさんは、ハーバード大 学の卒業生で、NFLのチームに3年間所属した経験を持つ。

シティグループやゴールドマン・サックス・グループなどの米金融機関に よる人材争奪戦で、初任給は前年を上回りそうだ。昨年は、ハーバード大学経 営大学院のMBA取得者の初年度総報酬は平均18万6174ドル(約2186万円)。 スタンフォード大のMBA取得者は同18万3000ドルだった。

グラジュエート・マネジメント・アドミッション・カウンシルの広報担当 者、ボブ・ルードウィグ氏によると、全米で昨年MBAを取得した新入社員の 給与と契約時ボーナスは過去最高を記録。平均給与は9万2360ドル、契約時ボ ーナスは1万7603ドルだった。

大学側はこうした過熱ぶりに対応し、キャンパス内での採用イベントの時 期や回数を制限しつつある。ノースウエスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・ マネジメントの就職担当責任者、ロクサーヌ・S・ホリ氏は、「企業によるキ ャンパスへの進出が増加している」と述べ、銀行やコンサルティング会社が特 に目立つと語った。

英紙フィナンシャル・タイムズのビジネススクール番付で3年連続世界首 位となったペンシルベニア大学ウォートン・スクールでは採用活動が過熱し、 一部の企業は2カ月でそれぞれ10-15回のイベントを実施していたことから、 今年度は1社当たり3回に制限。キャンパス内での採用関連イベントの開始時 期を学生が落ち着く10月後半まで延期させた。

企業はキャンパス内の通常の相談会場だけでなく、学生団体とバイオテク ノロジーや国際問題などの分野で合同イベントなども開催している。また、地 元のコーヒーチェーン店スターバックスなどで学生との面接の場を設ける企業 もあるという。

5月に卒業するアインツマン氏は、米コネティカット州グリニッチに本拠 を置くヘッジファンド、チューダー・インベストメントからの仕事のオファー を受け入れた。勧誘を断った企業の名前は明かさなかったが、就職活動は「参 ってしまうことも時々あった」と語る。

こんな学生のストレスに対応し、シティグループはケーススタディーなど の学業に関連した内容も盛り込んだイベントを開催している。シティグループ の市場・銀行部門採用活動グローバル責任者、ケイトリン・マクロクリン氏は、 「教育を重視したイベントにすることで学生に価値を見いだしてもらうことが 重要だと考えた」と述べ、「人材争奪戦」の目標を隔週1回キャンパスに出向 いてイベントを開催することだと説明した。同社はウォートン・スクールなど の有力校の場合、学生300-400人を集める1回のイベントに同社の専門家を70 人程度動員するという。

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