東証:日興株上場維持、重大な影響認められず-シティTOBに影響(5)

東京証券取引所は12日、監理ポストに割り 当てていた日興コーディアルグループ株の上場維持を決定したと発表した。有価 証券報告書への虚偽記載の「影響が重大」だった場合に上場を廃止するとした基 準に該当しないと判断した。13日付で日興株の監理ポストへの割り当てを解除 し、通常ポストに戻す。大阪、名古屋の両証券取引所も上場維持を発表した。

東証の西室泰三社長は同日夕の記者会見で、債務超過を隠していたカネボウ や40年間にわたり株主数を偽っていた旧西武鉄道を上場廃止とした例をあげ、 今回の日興コーデのケースでは「全体的な組織の関与の確証が得られなかった」 と指摘。判断は「会社の属性で変わってはいけない」とも説明した。一方、山本 有二金融相は金融庁で記者団に「東証の判断を尊重したい」と述べた。

日興株上昇でシティは計画変更迫られる

RBCインベストメント(香港)の武田洋二ファンドマネジャーは東証の判 断について「虚偽記載の内容と、廃止の際の経済・社会的インパクトを考慮した 高度な判断をしたのだろう。政治的判断もあったかもしれない」とみる。一方、 上場維持で「日興株は上昇するだろう。これがシティのTOBに影響する可能性 もある」と分析している。

日興はすでに米大手金融のシティグループ傘下に入る方針を発表。シティは 日興株の過半数取得を目指し、株式公開買い付け(TOB)を開始する予定だ。 しかし、すでに日興株がシティの示す1株当たり1350円を上回る一方で、合計 で日興株26%超を保有する大株主の海外4投資ファンドもTOBを拒否する意 向を示しており、シティ側は計画の変更を迫られる公算もある。

日興・シティ、戦略提携は変更なし

日興は同日夜、桑島正治社長は会見して、監理ポスト入りに至った不正会計 などについて陳謝したうえで、「市場の信頼を傷つけた社会的責任を厳粛かつ真 摯(しんし)に受け止め、信頼回復に向けガバナンス強化などに取り組む決意 だ」などと述べた。また、シティとの戦略提携の計画に変更はない考えを強調し た。ダグラス・ピーターソン在日支店CEOにも上場維持を報告したという。

一方、シティ広報担当の吉次厚子氏は、日興株の上場維持の決定を受け、引 き続き全面的で戦略的な提携を検討していく支援する姿勢を示すとともに、日興 株のTOB実施に向け、詰めの協議を行っていることを明らかにした。

カネボウや西武との違い

東証の発表によると、上場維持の理由は、東証は日興コーデに適時開示を適 切に行うための改善報告を26日までに提出するよう求めるとともに、虚偽記載 で金融庁からの課徴金支払い命令を受け、会社情報の適時開示に関する注意勧告 を行った。一方、日本経済新聞社は同日夕、日興株を日経平均などの株価指数の 構成銘柄として継続採用すると発表した。

虚偽記載を理由にした最近3年間の上場廃止では、04年11月の西武鉄道 (株主数)、05年5月のカネボウ(粉飾決算)、06年3月のライブドア(同) などがある。日興は不正会計処理で137億円の利益を計上した。東証は日興の場 合の影響は少なくともこれら廃止基準に抵触した企業より小さいと判断した。

日興コーデ株の12日終値は前日比6円(0.4%)安の1404円。

--共同取材:鈴木 偉知郎、上野孝司 Editor:Hirano

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