グリーンスパン前FRB議長は正しくない、リセッション確率は50%

グリーンスパン前米連邦準備制度理事会 (FRB)議長は、米経済の今年のリセッション(景気後退)入り可能性は3 分の1との発言で投資家を動揺させたが、債券市場は前議長よりもさらに悲観 的だ。

グリーンスパン氏のFRB議長時代に作成されたモデルによると、米経済 が2四半期連続でマイナス成長となる可能性は50%だ。このモデルは米国債 の利回り曲線に基づいている。

1960年以来で米国債の長短期債利回りが逆転した7回のうち、6回でリセ ッションが起こっている。現在も米国債の長短金利差は逆転している。3カ月 物米財務省証券と10年物米国債の利回り格差は2001年以来で最大に近い。こ のようなイールドカーブ逆転は、景気減速と利下げの兆候だとみられている。

債券運用を手掛けるTCWグループのマネジングディレクター、バー・シ ーガル氏は「成長は減速するだろう」として、「投資家は経済のファンダメン タルズ(基礎的諸条件)を注視する必要がある」と語る。

米連邦準備制度の研究によると、投資家は1913年以来、利回り曲線を景 気予測に利用してきた。短期金利は今回、2006年7月以来、長期金利を上回 っている。中国などの中銀による米国債買いが背景にあるものの、一部投資家 は現在の長短金利逆転が、景気についてのメッセージを送っているとみる。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)で運用に携わるサーミル・パリーク氏は「利回り曲線を無視す るべきではない」として、「利回り曲線が逆転しているという事実は、翌日物 金利が高過ぎるということを示唆している。これが、利回り曲線が米金融当局 に送っているメッセージだ」と指摘した。

先週は、2月の米雇用者数の伸びが事前予想を上回ったことや株価上昇を 受け、米国債相場は下落した。債券ブローカー、キャンター・フィッツジェラ ルドによると、10年債(表面利率4 5/8%、2017年2月償還)利回りは9ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.59%で終了した。

米連邦準備制度のモデルはエコノミストのジョナサン・ライト氏の研究に 基づいて開発された。1990年代のニューヨーク連銀のエコノミストら(アー テュロ・エストレラ氏とフレデリック・ミシュキン氏=現FRB理事)による 研究も寄与した。FTNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリストフ ァー・ロー氏はこのモデルを用いて、3カ月物財務省証券と10年債利回りの 逆転幅50bpは、向こう1年のリセッション確率50%に相当するとの結論を 導き出した。

エストレラ氏とミシュキン氏の研究は、米国債利回りが株価よりもリセッ ション予想に有用であることを示した。短期金利の高さが景気を減速させると 同時に、長期金利の低さは景気が減速するとの市場の見通しを示すためだ。

一方、RBSグリニッチ・キャピタルの国債ストラテジー責任者、デービ ッド・アダー氏は、外国人投資家による米国債需要の拡大から、利回り曲線は 以前ほどリセッション予想に役立たなくなっているとの見方を示す。米財務省 のデータによると、外国人の米国債買い越しは2006年に1986億ドル(約23 兆5000億円)と、01年の185億ドルから増えていた。

グリーンスパン前議長は先週、「米景気拡大は6年目だ。結果として、不 均衡が表れてくることはあり得る」と述べた。さらに「10年の景気回復は、 より広範な世界的現象のなかでの出来事だ。歴史的にみて、通常の景気サイク ルははるかに短い」として、今回も通常並みである可能性が高いと付け加えた。

3カ月物財務省証券の利回りは06年7月19日以来、10年債利回りを上回 っている。米連邦公開市場委員会(FOMC)は06年6月に、17回連続の最 後の利上げでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25%とした。 利回り逆転幅は今年2月27日に最大60bpと、01年2月以来で最大に拡大し た。

ホイジントン・インベストメント・マネジメントのチーフエコノミスト、 レーシー・ハント氏も、利回り曲線の逆転は「金融政策が景気を抑制している ことを示している」として、「システム内の資金には相当な制限が生じてい る」と話した。

利上げはこれまでに、1970年のペン・セントラル・レイルロードや1974 年のフランクリン・ナショナル・バンク、1984年のコンティネンタル・イリ ノイ・ナショナル・バンク・アンド・トラストなどの破たんにつながってきた とハント氏は指摘した。

グリーンスパン前議長は2月26日、香港の投資家向けの講演で、景気拡 大が終わりに近づいている兆候があると発言し、株価下落の一因を作った。F TNのロー氏は、前議長は「慎重だった」として、「前議長は遠回しな言い方 で、現在の金融政策が引き締め的だということを言おうとしたのだ」と述べた。 ロー氏は07年の米成長率を1.5-2%と予想している。

バーナンキFRB議長は2月28日の議会証言で、米成長は加速するとの 見通しを示し、高リスクのサブプライム住宅ローンのデフォルト(債務不履 行)問題が経済の他の分野に波及している兆候はないとの認識を示した。米金 融当局の07年成長率予想は2.5-3%。

UBSバンコープの資産運用部門FAFアドバイザーズで運用に携わるト ニー・ロドリゲス氏は、「成長率は低下しつつあり、恐らく潜在成長力を下回 るだろう」として、米国債利回りは「景気減速を示唆している」と話している。

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