首相:歴代首相が示した「おわび」の気持ち不変-従軍慰安婦問題(4)

安倍晋三首相は11日、NHKで放映され た番組「総理にきく」に出演し、従軍慰安婦問題について「心からなるおわびを 申し上げている。小泉純一郎前首相も橋本龍太郎元首相も元慰安婦の方々に対し て手紙を出している。その気持ちは私もまったく変わらない」と述べ、橋本政権 以降の歴代首相が元慰安婦に出した「おわびの手紙」の内容を継承する考えを 強調した。

当時の官憲などが慰安所の設営や慰安婦の募集・移送に関与していたことを 認めて「おわび・反省」を表明した1993年の河野洋平官房長官談話についても 「河野談話を継承していくのは一貫した姿勢だ」との考えをあらためて示した。

歴代首相の「おわびの手紙」は3月に解散する「女性のためのアジア平和国 民基金」が民間からの寄付金を原資に、元慰安婦に償い金を支給した際に日本政 府が添付した文書。従軍慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女 性の名誉と尊厳を深く傷つけた」と指摘したうえで、元慰安婦に対して「心から おわびと反省の気持ちを申し上げます」と明記しており、河野談話を踏襲した内 容となっている。

首相:4月下旬に訪米し、日米同盟の重要性を確認したい

また、日米関係については「4月の下旬に訪米をしたいと思っている。あら ためて日米同盟の重要性、かけがいのない同盟であることをもう一度、確認した い。アジアと世界のための日米同盟だということを確認したい」と述べ、4月下 旬に訪米する考えを正式に表明した。

そのうえで、「日米の信頼関係、きずなを強くするためにも集団的自衛権の 問題を含めて憲法と安全保障の問題を整理し直したい」と強調。政府部内で研究 を進めている集団的自衛権の事例研究については「わたしの内閣の間に結論は出 す」と述べた。

憲法改正については「国づくりをはじめる礎をつくるために憲法を改正して いく必要がある」との持論を改めて示した。そのための手続きを定めた国民投票 法案については「議員立法だが与野党間で合意して成立させていくことが望まし い」と自民党執行部に成立への努力を促した。ただ、同党が目指している5月 3日の憲法記念日までの成立については「わたしはそんなにこだわっていない」 と述べた。

ハノイで開かれた「日朝国交正常化」作業部会が成果なく終了したことを受 けた今後の北朝鮮政策については、「わたしたちは相当厳しい制裁をやっている。 何とか制裁を解除してもらいたいのであれば、拉致問題について誠意ある姿勢を 示して、具体的に解決に向かって進めないといけない」と述べ、制裁解除のため には拉致問題の進展が不可欠との認識を重ねて強調した。日本政府が追加制裁に 踏み切る可能性については「もっと悪化させるような事態になっていけば当然、 われわれは考えなければいけない」と述べた。

郵政造反組の復党、今後も認める可能性を示唆

一方、2005年の通常国会で郵政民営化法案に反対し、その後の衆院選で落 選した衛藤晟一前衆院議員の自民党への復党に関連して、「今後も同じ考えを持 っている人については復党して一緒に戦ってもらうのは当然」と述べ、造反組の 復党をさらに認める可能性があることを示唆した。ただ、「郵政改革に反対して いる人はだめだ。この改革をわたしも引き継いでいく」と述べ、郵政改革への賛 成を条件とすることも重ねて指摘した。

また、「小泉政権が終わって私の政権ができた。内閣が代わったんだから、 わたしの内閣においてわたしの方向性に協力をしてもらえる、わたしが信頼でき る人に参加してもらうのは当然だと思う」とも強調。「排除の論理というのは、 さみしいのではないか。そういう心が人間をすさんだ気持ちにさせていくと思 う」 と述べた。

衛藤氏の復党を決めた9日の党紀委員会については「表決で決まったが、 かえって民主的で分かりやすくてよかった」とも述べた。

夏の参院選挙に関しては「真正面からぶつかっていきたい。政策をぶつけて いきたい。そうすれば必ず活路が開かれると信じて進んでいきたい」と述べ、憲 法改正などに加え、再チャレンジ支援などの格差是正への取り組みなども訴えて いく考えを強調した。

自民党内に参院選前の内閣改造を求める声があることについては「そうい う声があるのも知っているが、まったくそれは考えていない。今の内閣で選挙に 臨みたいと思う」と否定。さらに、「基本的にはころころ変わるというのはよく ない。腰を落ち着けて政策を進めてもらわなければ中長期的課題には取り組めな い」とも述べた。

景気は成長軌道に、格差是正対策が大切

日本経済の現状については「日本全体の景気が回復している、成長が続いて いるという認識については皆さん一緒だと思う。構造改革を進めていくことによ って全体としては、景気は力強く回復して成長軌道に乗った」との認識を強調し た。

格差問題に関しては、「格差を感じている人がいて、地域差あることは事 実」と指摘したうえで、「対策を打っていくことが大切だ。格差はいつの時代も あるが、あまり拡大してはいけないし、固定化してはならない。まずは今の改革 を進めていく。新経済成長戦略を推進していきたい」とイノベーション(技術革 新)などによる新成長戦略を進めながら、格差是正にも積極的に取り組む姿勢を 示した。

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