東京外為:ドルもみ合い、米雇用の弱含み警戒感が重し-117円前半

東京外国為替市場ではドル・円相場が1ド ル=117円台前半を中心にもみ合った。日経平均株価が1万7000円台を維持し て取引を終了したことから、世界的な株安懸念が一段と緩和。リスク投資収縮 に伴う円キャリートレード(低金利の円で調達した資金を高金利通貨に投資す る取引)の解消が終息するとの見方から円が下落したものの、米国時間に雇用 統計の発表を控えて、予想よりも弱含む可能性が警戒され、ドル買い・円売り の動きは限定的となった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の竪智司参事役は、世界的な株価の落 ち着きをみながら、キャリートレードの再開ムードがじわじわと広がっている としながらも、「2月中旬以降は米経済指標の弱い内容が続いており、雇用統 計に関しても市場は心配の目で待ち構えている」と指摘。「雇用統計が弱いと、 米国の株価への影響が懸念され、ドルが売られる展開もあり得る」といい、ふ たを開けてみないとわからないといった状況から、ドルを買い進める動きは抑 制された。

円は引き続き株価動向に振らされる展開

この日のドル・円相場は、欧米株の上昇を受けてリスク投資が再開すると の観測が広がって円売りが進んだ海外市場の流れを引き継ぎ1ドル=117円台 前半で東京時間早朝の取引を迎えた。

午前8時50分に発表された日本の機械受注統計が市場の予想を上回ったこ とで117円10銭まで円買いが進んだものの、午前9時に指標改善を受けて日本 株が続伸して始まると、円に売り圧力がかかった。日経平均株価が1万7000円 台で上値を模索する展開になると、投信設定に絡む円売り需要もあいまって、 一時は117円48銭(ブルームバーグ・コンポジット参照)と、前日の海外市場 で付けた2日以来の円安値に並んだ。

その後は、117円台の半ばでは戻り待ちのドル売り需要が観測されたうえ、 株価が前日比0.9%高の1万7246円21銭を付けたあと上昇幅を縮小する展開に なると、円売りの流れも弱まり、117円20銭前後まで円が値を戻して推移。

午後の取引では、117円30銭を挟んで上下10銭程度の値動きが継続。結局、 株価は0.4%高の1万7164円04銭と、1万7000円台をしっかりと維持して引 けており、円売り圧力が残る格好となった。

ユーロ・円相場は午前の取引で一時1ユーロ=154円38銭までユーロ高・ 円安が進んだあと、いったん円が下げ渋ったものの、午後の取引にかけてじり じりと円が水準を切り下げる展開が継続。3時過ぎには154円50銭と、2日以 来の円安値を付けている。

2月の米雇用弱含みを警戒-景気に減速懸念

一方、この日の米国時間には、米景気の動向を見極めるうえで注目度の高 い雇用統計が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、 2月の非農業部門の雇用増は前月比で9万5000人が見込まれている。予想通り となれば、1月の11万1000人増を下回る伸びにとどまり、景気減速懸念につ ながる可能性が警戒される。

2月の雇用情勢については、給与明細書作成代行会社のオートマティッ ク・データ・プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが7日に 発表した給与名簿に基づく集計調査で、雇用の伸びが前月比で5万7000人と、 市場予想の10万人増を下回ったうえ、前月の12万1000人増から半分以下にと どまった。

民間の雇用調査の弱含みを受けて、労働省発表の雇用統計が予想比で下振 れるとの懸念が生じており、そうなれば、米金融当局の利下げ観測が補強され かねない。このため、統計発表までは警戒感から積極的なドル買いを進めにく い状態が続きそうだ。

市場では、雇用の伸びが「予想を大幅に下回って5万人程度にとどまるな ど、市場の織り込み以上の弱さが示されると、ドル売りが進む可能性もある」 (日興シティグループ証券経済・市場調査部・山本雅文為替ストラテジスト) との指摘が聞かれた。

円キャリー本格再開に不透明感

世界的に株価が落ち着きを取り戻しつつあることから、リスク選好の資金 フロー再開の兆しも見え始めており、目先は低金利の円で資金を調達して、高 金利通貨や、新興国市場の株式などのリスク資産に投資する動きが本格的に再 開するかが焦点となる。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「円 キャリー取引の本格再開のポイントとして、株価動向とボラティリティ(変動 率)が挙げられる」と指摘する。

株価動向については、日本株が1万7000円で底固めするとの期待感が生じ ているほか、世界的な株安トレンドの発端となった中国の上海総合指数も5日 から反転基調となっており、ひとまず下値不安は遠のいている。

一方、1カ月物のドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(I V、予想変動率)はこの日、9%台を割り込んで推移し、5日につけた昨年6 月以来の高水準となる10%前半からは低下。「ボラティリティの上昇は一服し ているものの、引き続き高水準となっており、もう一段低下するかどうかが、 キャリートレード再開のカギになる」(井上氏)という。

東京時間午後3時51分現在   前日比  8日のニューヨーク午後5時時点
ドル・円     117.41       +.24               117.17
ユーロ・ドル 1.3153     +.0020               1.3133
ユーロ・円   154.43       +.54               153.89

--共同取材:吉川淳子 Editor: Kosaka

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