日朝作業部会:北が拉致で反発、午後会合中止-首相「慌てない」(4)

北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議で 設置が決まった「日朝国交正常化」作業部会の初会合が7日午前9時半(日本 時間同日午前11時半)ごろから午前の協議は午後零時(同2時半)ごろまで ベトナムの首都ハノイの日本大使館で開催され、日本が早期解決を求める拉致 問題をテーマに突っ込んだ意見交換を行った。

日本代表団の原口幸市・日朝国交正常化担当大使は拉致問題に関する基本 方針を表明。これに対して北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)日朝交渉担当大使 を代表とする北朝鮮側が反発した。

作業部会は午後3時(同5時)から北朝鮮大使館に場所を移して開かれる 予定だったが、北朝鮮側が午後零時半(同2時半)ごろ、午後の協議の中止を 通告した。未定になった理由は不明。在ベトナム日本大使館の下西潔3等書記 官が現地でブルームバーグ・ニュースに明らかにした。

その後、日本外務省が現地で声明を発表。声明は「午前中の協議では冒頭 発言の後、わが方より拉致問題にかかる基本的考え方について詳細に説明した。 北朝鮮側はこれに反発し、午後の協議は行われない状況となっている。今後の 協議については未定」としている。

宋大使「過去清算し実ある政治・経済・文化関係を」

宋大使は午前の協議の冒頭、「お互いが責任感と使命感を自覚し、実務協 議を進めることによって6者協議の合意の履行に役立つことを期待する」と言 明。「朝日平壌宣言の基本精神にしたがって不幸な過去を清算し、お互いの懸 案事項を解決した上で、実のある政治、経済、文化関係を樹立することが好ま しいことだとみなし、今後ともそのために努力していきたい」と表明した。

原口大使「平壌宣言基礎に拉致・核・ミサイル包括解決を」

原口大使は「対話を再開できる運びになったことを喜んでいる。わが国と しては日朝平壌宣言に沿って特に拉致、核、ミサイルと懸案事項を積極的に解 決し、不幸な過去を清算することを基礎として、国交正常化を実現するという 方針の下、積極的に今回の作業部会の強調に取り組む」と表明した。

その上で原口大使は「われわれの作業部会が進ちょくすることが6者会合 の共同声明の実現、6者会合プロセスの前進に寄与する」と語った。

首相「慌てることない」

安倍晋三首相は7日夕、初日の作業部会の午後の協議の開催が未定になっ たことについて、「北朝鮮の交渉の仕方にはいろんなことがある。拉致問題を 前進させるという基本を変えずに粘り強く望みたい。北朝鮮が態度を変えない 限り、国際社会からの孤立している状況を変えることはできない」と言明。 「北朝鮮がこの問題で誠意ある対応を取らなければ、厳しい状況は変わらない ということを理解しなければならない」とも強調した。

その上で、作業部会で日朝が決裂した場合に日本が追加制裁に踏み切る可 能性について、「日本はすでに厳しい制裁措置を取っている。交渉はまだ始ま ったばかりだ。北朝鮮との交渉にはいろんなことがある。慌てるあわてること はない」と述べ、追加制裁への言及を避けた。首相官邸で記者団の質問に答え た。

首相は、ハノイの日本大使館で開かれた7日午前の作業部会で北朝鮮がど のような主張をしたかについて、「細かい報告は受けていない」と述べるにと どめた。

米も誠意ある対応を要求-拉致で北に

このほか、拉致問題をめぐる日米連携について、首相は「米国との連携は 大変うまく言っている。米朝協議でも拉致問題について、米国は誠意ある対応 をするよう北朝鮮に促している」と語った。

塩崎恭久官房長官は7日午後の記者会見で、同日午前の作業部会について、 「基本的考え方を表明する冒頭発言を行ったうえで、拉致問題について詳細な 議論を行った」と説明した。

下西氏は7日午後(同)ハノイでブルームバーグ・ニュースに対し、午後 の協議がキャンセルになったかどうかは「聞いていないが、北朝鮮側から日本 に対して、午後の会合が未定になったと話があった。なぜ未定になったか分か らない」と語った。

作業部会は2日間の日程。拉致問題は解決済みとの姿勢を崩さない北朝鮮 に対し、日本は被害者の早期帰国や捜査協力など「誠意ある対応」(安倍晋三 首相)を強く求めたものとみられる。

8日は不透明

8日は国交正常化について協議する予定だが不透明だ。両日ともに午前は 日本大使館、午後には北朝鮮大使館に移動することで合意していた。

原口大使は7日午前9時前(日本時間同11時前)、ハノイ市内のホテルで 記者団に、拉致問題をテーマにする初日の協議について、「国交正常化は拉致 問題の解決がなければ不可能だということをもう一度伝えたい。拉致問題解決 に向けて、正面から取り組み、前向きな措置を取るよう決断を促すことが最大 の目的だ」と述べた。

原口大使は、日本政府が求める拉致問題の解決への「進展」の目安に関し て、「最大の目的はすべての拉致被害者の早期帰国だ。わが国の基本的立場を 先方にインプットする」と述べ、被害者の早期帰国のめどが立つことを最重要 課題に掲げる方針を強調した。

一方、原口大使は、5、6両日にニューヨークで開かれた「米朝国交正常 化」の作業部会で、拉致問題が議題になったことについて、「結構なことだ」 と評価。その上で、「われわれは日朝差病部会の結果を米国そのほかに伝え る」と語り、6カ国協議のメンバーである米中韓ロとも緊密に情報交換を行う 意向を示した。

安倍首相は6日の参院予算委員会で、6カ国協議の合意文書に明記された 米国による北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除作業について、「先般、チ ェイニー米副大統領と会談した際に『米国が解除する際には当然、拉致問題が 解決していく方向にあるということを条件にしてほしい』と申し上げている。 米国も同盟国として日本の立場をよく理解してくれている」と述べ、拉致問題 の進展を指定解除の条件にするよう米側に要請していたことを明らかにした。

安倍首相は2月13日の6カ国協議の合意内容について、「北朝鮮へのテロ 支援国家指定の解除で合意がなされたわけではなくて、指定の解除作業を開始 するのであって、私たちの立場は、拉致問題の解決も重要な要素だという立場 だ」と言明。

その上で、「6者会合の目標に到達するためには、日朝の作業部会も結論 を得なければならない。つまり6者会合というパッケージが完成するためには、 拉致問題も解決されなければならない」と述べ、拉致問題が解決しない限り、 6カ国協議の最終決着はありえないとの立場を強調した。

7日午前の会合冒頭の発言は以下の通り。

北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)日朝交渉担当大使「朝日両国政府間の対 話は1年1カ月ぶりだ。6者協議で今後朝鮮半島の核問題の解決のための問題 を話し合うとともに、朝日国交正常化実現のための作業部会を設置することに 合意したことを受けて今回もう一度お会いすることができたわけだ」

宋大使「お互いが責任感と使命感を自覚し、実務協議を進めることによっ て6者協議の合意の履行に役立つことを期待する。わたしどもも、やはり朝日 平壌宣言の基本精神にしたがって不幸な過去を清算し、お互いの懸案事項を解 決した上で、実のある政治、経済、文化関係を樹立することが好ましいことだ とみなし、今後ともそのために努力していきたいとあらためて表明する」

原口大使:「日朝国交正常化のため作業部会という形式が変わったものの、 あらためて対話を再開できる運びになったことを喜んでいる。わが国としては 今回の協議でも、日朝平壌宣言に沿って特に拉致、核、ミサイルと懸案事項を 積極的に解決し、不幸な過去を清算することを基礎として、国交正常化を実現 するという方針の下、積極的に今回の作業部会の協調に取り組む考えだ」

原口大使:「今回の協議は先般の6者会合における合意に基づいて設置さ れる5つの作業部会の一つとして開催されるものであり、われわれの作業部会 も進ちょくを得ることには6者会合、共同声明の実現、6者会合プロセスの前 進に寄与するという観点から一層の重要性が付与されていると思う。そのよう な進ちょくが得られるように、宋大使とともに努力したい」

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