シティ:TOBで日興を傘下に、1350円で過半取得へ-業務提携も(4)

米シティグループは6日、不正会計問題で揺 れる日興コーディアルグループをTOB(株式公開買付)で買収することで合意 した。過半数を取得して傘下に収め信用を補完する計画だ。同時に個人向け、法 人、資産運用に加え、不正の舞台となった企業投資部門でも戦略的な業務提携を 検討する。シティは日本の大手証券の子会社化で業務を拡大、日興は外資のもと で出直しを図る。

6日夕、シティのダグラス・ピーターソン在日支店CEOと日興の桑島正治 社長が提携策を発表した。TOB価格は6日の株価終値より10円高い1350円で、 今後1週間以内をめどに開始する予定。日興株の上場維持、廃止にかかわらず実 施する。シティの日興への出資比率は現在約4.9%。50%程度の取得に5600億 円程度、100%なら約1兆2500億円の資金が必要となる。

シティ「日本での継続的コミットメント」

6日夕に都内で開いた会見で日興コーデの桑島正治社長は海外展開も含めた 「中長期の事業戦略を推進するため最も有効で成長性が見込める提携相手がシテ ィだ。失った信頼を早期に回復する」と強調。一方、シティのピーターソン氏は 提携について「日本での事業の継続的なコミットメントを示すもの」としたうえ で「世界第2位の経済国の日本での事業を加速させる」と述べた。

日興は不正な利益水増しで金融庁から課徴金支払い命令を受け、東京証券取 引所は同社株式を上場廃止の恐れのある監理ポストに割り当てている。東証は3 月中旬までに上場廃止の是非について結論を出す方針だが、シティと日興は、そ れ以前に新たな戦略提携策を打ち出すことになった。海外の金融機関による日本 の大手証券の買収は初めてだ。

メリルリンチ日本証券の投資銀行部門の幹部を昨年4月まで務めていたNI Sグループの網屋信介社長は「日本という大きな市場への参入を考えるうえで、 他にこれほど大きな案件はない。顧客層といい老舗の看板といい、こうしたもの はシティといえど一からは作れない」と述べ、シティにとって日興の子会社化は 日本市場を開拓するうえで、絶好のチャンスとみている。

ハリス「2000円の価値はある」

一方、日興の大株主で7%超を保有する米シカゴ拠点の米ファンドのハリ ス・アソシエイツのデビッド・ヘローCIOは6日、正式発表前にブルームバー グ・ニュースの電話取材に応じ、「長期的に日興のビジネスは2000円以上の価 値を持っている」との見方を示していた。シティは日興株の大株主であるこうし た海外投資家からの賛同も得て過半数を集められなければTOBは成立しない。

不正会計を理由に米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズやムーデ ィーズは相次いで日興の格付け引き下げや、今後の格下げの可能性を表明。日興 の株価は昨年12月18日の監理ポスト入り後、特別調査委員会が組織的な関与を 認めた1月末以降、値幅制限の下限(ストップ安)などで問題発覚前から最大で 30%以上も下落。その後はシティやみずほなどの支援報道もあり持ち直している。

子会社を通じて日興に4.8%を出資するみずほフィナンシャルグループにつ いてシティのピーターソン氏は「友好的なパートナーシップを維持していく」と 指摘。日興の桑島社長も「引き続き友好な関係を続けたい」と述べた。みずほは 日興の買収に意欲を示していたが、同グループ幹部は先週、その計画を断念し、 日興をめぐってシティと協力関係を構築したい考えを示していた。

シティは日本で拠点を拡大

シティは7月までに日本で金融持ち株会社を設立し、個人業務を扱う店舗を 数年内に現在の2倍の50拠点程度に拡大する計画を1月末に発表したばかりで 東証上場も検討している。日興買収が成功すれば、一気に日本でのビジネスを拡 大できる。日興は昨年12月末現在で主にリテール営業の109の店舗網、約1万 2000人の従業員、個人と法人を合わせて43兆4000億円の預かり資産を抱える。

外資による日本の大手証券を通じた証券業務の強化では、米メリルリンチ証 券が、当時4大証券の一角だった山一証券の1997年11月の自主廃業を受け、そ の翌年に33支店と営業員2000人を引き継いだ例がある。ただ、今回シティは通 常通り営業を続けている大手証券を買収する。

日興は、同社株式が昨年12月18日の監理ポスト入り以降、トップ交代や不 正会計の事実を究明した報告書の公表、再発防止策の策定、前経営陣らへの損害 賠償請求など過去との決別を打ち出し、信用回復と上場維持に向けた取り組みを 見せていた。

--共同取材:鈴木 偉知郎 安 真理子 Editor: Hirano/T.Ueno

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