サッポロ:スティールに経営方針質す、買収提案に防衛策手続き(5)

筆頭株主の米投資会社スティール・パート ナーズ・ジャパンから買収提案を受けたサッポロホールディングスは1日、提 案内容について、追加情報提供を求める文書をスティールに送付した。導入し ている買収防衛策の手続きに従った対応で、買収後の経営方針などをただして いる。防衛策を発動したのは日本企業初。

2月15日にスティール提案を受けたサッポロは、防衛策通り10営業日以 内に追加情報を求めた。村上隆男社長は1日午後会見し、「本日の午後1時前 後、本日付で質問状を先方に手渡した。郵便でも送付した」と説明、「スティ ールからの回答を待つ。場合によっては代替案を提案することもあり得るが、 今後は内容について株主からの判断を仰ぎたい」と述べた。質問項目は「大き く4項目、細かくは30数項目に及ぶ」という。

まず、サッポロはスティールに対して、グループを含む全体の経営方針や 顧客・従業員といったステークホルダー(利害関係者)との関係についての詳 細な情報を求めた。サッポロが考える企業価値は「長期的な利益の最大化を意 味し、企業価値を支えているのはステークホルダー、取引先、ものづくりの力 などすべてと考えている」(村上社長)ためだ。

また、サッポロ株追加取得の際のTOB(株式公開買い付け)価格(825円 程度とスティールは表明)の算定根拠や実施時期、1500億円にも達する必要資 金の裏付け、さらにスティール自身の属性や過去の投資実績についても情報提 供を要請した。回答に満足できない場合、サッポロは一段の情報提供を要求す ることも可能。十分な回答を得た後は評価期間を60日間または90日間とる。 今後の他社との提携やホワイトナイト(白馬の騎士=友好的買収者)の登場に ついては「現時点で具体的に検討しているものはない」(村上社長)という。

スティールは経営参画の意思なし

スティールの西裕介代表(41)は2月22日のインタビューで、株式所有と 経営参画は別物と指摘、サッポロ経営陣には新中期経営計画(2006-08年)の 実現を求め、自らはサッポロの経営に参画する意思がないことを示した。この 点についてすでに、経営方針を問うサッポロ経営陣とのすれ違いが生じている。 村上社長は、西代表とこれまで「中期経営計画や決算の説明など一般的なIR (投資家向け情報)ミーティングで会ったことはあるが、今後、今のところ会 う予定はない」としている。

この日の問い合わせを含めて、スティールから十分な回答を得たと判断し た場合にサッポロは、60日間(買収方法によっては90日間)を評価期間として 提案を精査、取締役会としての見解を表明する。評価期間中にスティールが株 式追加取得を開始した場合などは新株予約権発効といった対応措置を取る。

スティールのサッポロ買収の狙いについては、保有している「恵比寿ガー デンプレイス」といった不動産資産が狙いとの見方が出ている。この点につい て三井不動産の岩沙弘道社長は1日、株価が割安という前提で「サッポロの件 がそうなのかは分からないが、あり得る話」と述べている。

政府も動向注目

サッポロが導入している防衛策は「事前警告型」と呼ばれ、日本企業で最 も普及している買収防衛策。経済産業省の企業価値研究会がガイドラインを作 成、それに従って日本企業が導入した。経済産業省の北畑隆生・事務次官は、 スティールの買収提案を受けたサッポロの買収防衛策について「有効に機能す るかどうかについて注目している」と記者会見で述べている。

自民党で企業統治委員会をつくり委員長として買収防衛策策定に携わった 甘利明・経済産業相も「防衛策がきちんと機能するのかどうかも含めて推移を 見守りたい」と会見で語っていた。

経済産業省指針に従った防衛策を導入した企業で実際に発動された例はな い。スティールが過去に買収を提案した明星食品やソトー、ユシロ化学工業は 防衛策を導入していなかった。

サッポロの株価終値は、前日比6円(0.7%)安の876円。

--共同取材:東京 桑子かつ代 Editor:Asai(Okb/kzt)

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