米住宅市場はさらに悪化へ、信用収縮に拍車-当局の成長予想に影響も

米経済が住宅バブルの後遺症を振り切るの は予想以上に困難で、成長は米連邦準備制度の予想よりもさらに低くなる可能 性がある。

インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメント・グルー プ(ISI、ワシントン)のマネジングディレクター、アンディ・ラペリエー ル氏は「米住宅市場は典型的なブーム・破裂サイクルの中にある」とした上で 「破裂はまだ始まったばかりだ」と述べた。

最悪のシナリオは、高リスク住宅金融業界で既に顕在化している苦境が、 全面的な信用収縮に発展し、住宅市場と米経済を機能不全に追い込むことだ。 ISIやUBS、ドイツ銀行のエコノミストらはそのようなシナリオの可能性 は低いものの、向こう数四半期の成長率は2%前後にとどまる公算が大きいと みている。

連邦準備制度の成長率予想は2.5-3%。2%前後の低成長が続けば、当局 は懸念の中心をインフレから成長へと切り替える必要が生じる。当局は1月31 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で引き締めバイアスから中立への 姿勢変更を検討したことが、2月21日に公表された議事録から分かった。FO MCは「現時点」では引き締めバイアスを維持することを決めた。

2月14、15日の議会証言でバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議 長は、住宅市場低迷が当局の成長見通しに対する最大のリスクだとの認識を示 した。16日に発表された1月の住宅着工件数は前月比14.3%減の年率140万 8000戸と1997年以来の低水準となり、懸念を裏付ける形となった。マクロエコ ノミック・アドバイザーズは1-3月(第1四半期)の成長率予想を2.8%と、 従来の3%から下方修正した。

クレディ・スイス・グループの住宅アナリスト、アイビー・ゼルマン氏は、 銀行や住宅金融会社が融資審査を厳格化するなかで、「住宅市場はさらにもう 一段、悪化する公算が大きい」と話す。

金融環境の変化は、業界や経済に需給両面から打撃を与える。金利上昇に 伴い変動金利型住宅ローンの借り手が返済に行き詰れば、差し押さえ増加によ り供給が増える。信用収縮で住宅ローンが受けにくくなれば、新規買い手から の需要が減る。

UBSのエコノミスト、ジェームズ・オサリバン氏は「融資基準は今後さ らに引き締められるだろう」と話す。UBSは第1、第2四半期の成長率を2% 弱、第3四半期を2.3%と予想している。

影響が大きいのは信用力の低い借り手を対象としたサブプライム住宅ロー ンの市場だ。業界出版物のインサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、 残高10兆ドル(約1208兆円)の住宅ローンのうち、サブプライムローンの割 合は13%。また、センター・フォー・リスポンシブル・レンディングの調査で は、過去2年に執行されたサブプライムローン約1兆2000億ドルのうち、20% 前後が差し押さえに至るとの予想が示された。

サブプライムローンばかりでなく、通常のローンの借り手のなかでも、変 動金利型で延滞が増え始めている。全米抵当貸付銀行協会(MBA)によれば、 06年7-9月(第3四半期)の変動金利型ローン延滞率は3年ぶり高水準の

3.1%(前年同期は2.3%)だった。今年は最大で1兆5000億ドルの変動金利型 ローンで金利が切り替わる見通しだ。

連邦預金保険公社(FDIC)のチーフエコノミスト、リチャード・ブラ ウン氏は「サブプライムばかりでなく他の部分でも信用の質は低下すると思う」 と述べた。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、高リスク住宅ロ ーンを担保とした証券の保証コストが上昇し、リスクの高まりを示唆している。 調査会社グラハム・フィッシャーのマネジングディレクター、ジョシュア・ロ スナー氏は「今後に起こり得ることを実感させるものだ」として、「住宅市場 は信用サイクルの流れが変わるのに伴って、もう一段悪化し得る」と話してい る。

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