クライスラーの選択肢,GMかゴーン氏か-ダークホースは中国企業

自動車メーカー最大手、米ゼネラル・モー ターズ(GM)は、独ダイムラークライスラーのクライスラー部門との提携に ついて、ダイムラーと交渉している。事情に詳しい複数の関係者が15日までに 明らかにしたもので、共同での新車開発などにつながる可能性もある。

関係者が匿名を条件に述べたところによると、両社の交渉は約1カ月前に 始まったもので、交渉が進めばシャーシ設計の共通化や開発コスト削減につな がる可能性もある。

ダイムラーは14日、不採算の米部門、クライスラーについて「あらゆる選 択肢」を検討していることを明らかにした。

調査会社グローバル・インサイトのアナリスト、ジョン・ウォルコノウィ ッツ氏は「GMはより先進的な技術を持っており、クライスラーは得るものが 大きい」として、「どのような交渉でもGMは強いパートナーとなるだろう」と 話した。

クライスラーの提携先としての選択肢は、GMばかりではない。ダイムラ ーは1998年にクライスラーを買収し世界的な自動車メーカーとなることを目指 したが、そのビジョンの実現に苦しんでいる。買収後のクライスラーは、米国 の高コスト構造が足かせとなってアジアメーカーとの競争に対応できず、黒字 と赤字を行き来した。

独誌マネジャー・マガジンは14日、GMがクライスラー買収の可能性も視 野にダイムラーと交渉していると報じた。GMとの交渉が頓挫した場合、クラ イスラーはカルロス・ゴーン氏が率いるルノー、日産自動車との提携を検討す ることができる。

GM以外の選択肢

カセサ・ストラテジック・アドバイザーズのマネジングパートナー、ジョ ン・カセサ氏は、「提携先候補として簡単に思い浮かぶのはルノー・日産だ」と した上で、「それ以外では大手自動車メーカーのどこが興味を持つかはちょっと 分からないが、ダークホースは中国企業だ」と話した。

クライスラーを売却することになれば、2000年以来4万人超の削減でクラ イスラーの収益力回復に尽力してきたダイムラーのディーター・ツェッチェ最 高経営責任者(CEO)にとっては敗北だ。同CEOはつい最近まで、クライ スラーを売却しないとした06年10月26日の発言を覆すことを拒んでいた。

しかし、カセサ氏は、「クライスラーはどっちつかずだ」として、「世界的 な自動車メーカーの一部である利点もないし、単独企業としての柔軟性もない」 と指摘する。

バンク・オブ・アメリカ・エクイティ・リサーチのアナリスト、ロン・タ ドロス氏は、クライスラーの価値を約50億ドル(約6000億円)と見積もる。 同氏は「クライスラーが高い関心を集めても驚かない」として、「少なくとも他 の米国内メーカーに比べれば、クライスラーの事業はそこそこ健全だ」と話し た。

ゴーン氏は、GMと米フォード・モーターがルノー・日産との提携を拒ん だ後、最終的には北米に提携先を見つけたい考えを表明している。ただ、2月 8日に、今はルノーの再編に集中するときで、グループの拡大には「危険が伴 う」との認識を示していた。ルノーの広報担当者は「今のところコメントする ことはない」と述べた。

中国勢と投資会社

カセサ氏は、中国最大の自動車メーカーの上場子会社である上海汽車も、 クライスラー買収に十分な規模があると指摘する。同社はGMや独フォルクス ワーゲンと提携しており、1月には初の独自ブランド車を発表した。

モルガン・キーガンの債券アナリスト、ピート・ヘースティングス氏は自 動車メーカーがクライスラーを買収することには懐疑的で、プライベートエク イティ(未公開株)投資会社による買収の可能性の方が高いとみている。一方、 破たんした自動車部品メーカーを買収している資産家のウィルバー・ロス氏は、 クライスラーにとって「合理的な買い手は他の自動車メーカーだろう」との見 方を示した。

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