クレディ・スイスに初の米国人単独トップ-ウォール街の影響じわり

銀行大手UBSに抑えられ長年スイス2位 の地位に甘んじているクレディ・スイス・グループは15日、過去最高益を発表 するとともに、投資銀行部門責任者のブレイディ・ドゥーガン氏(47)をオズ ワルド・グルーベル最高経営責任者(CEO、63)の後任とする人事を発表し た。

元デリバティブ(金融派生商品)トレーダーのドゥーガン氏は25年前に、 ニューヨークのバンカーズ・トラストで銀行家としての道を歩み始めた。同氏 はクレディ・スイスで初の米国人のグループCEOとなる。スイスの大手銀行 での米国人CEO誕生は、世界の資本市場におけるウォール街の影響力の高ま りを象徴する出来事だ。

クレディ・スイスの2006年10-12月(第4四半期)利益は前年同期比4 倍に増え、アナリスト予想を10億スイス・フラン(約965億円)上回った。収 益力と株価の動向は、同社がUBSや米ゴールドマン・サックス・グループに 追いつき始めていることを示唆する。

スイスカント・アセット・マネジメントでクレディ・スイス株を含めた運用 に携わるフロリアン・エスタラー氏は「ドゥーガン氏は次期CEOとして社内 で最高の人材だ」として、「グルーベルCEOほどあくの強い人物ではないが、 変化を起こすことのできる人材だ」と話した。

米国外の金融機関で米国人がトップの座に就くケースが増えている。英銀 バークレイズの投資銀行部門であるバークレイズ・キャピタル社長のロバー ト・ダイアモンド氏(55)もその1人だ。ドイツ銀行の投資銀行部門は、イン ド生まれで米国のマサチューセッツ大学で修士課程を学んだアンシュ・ジャイ ン氏(44)と米国人のマイケル・コーズ氏(50)が率いる。

クレディ・スイスの投資銀行部門責任者には、アジア太平洋地域責任者の ポール・カレロ氏(46)が就任する。同氏は1990年に、ドゥーガン氏とともに バンカーズ・トラストから移籍した。

クレディ・スイスの株価は、第3四半期末以来で27%上昇している。第4 四半期の増益には、保険部門ウインタートウル売却による利益が含まれる。グ ルーベルCEOは同部門売却で得た資金を、自社株買いなどに充てる方針を表 明した。

クレディ・スイスの広報担当者チャールズ・ネーラー氏によると、グルー ベルCEOは8カ月前に、退任の意向をウォルター・キールホルツ会長に伝え た。ドゥーガン氏のCEO指名は14日に取締役会で承認されたという。

ドゥーガン氏はデリバティブ(金融派生商品)部門や株式部門を経て、2004 年にジョン・マック氏(現モルガン・スタンレーCEO)の後任として投資銀 行部門を任された。ドゥーガン氏は浪費を戒めて経費を削減、同部門の利益は それ以来、約3倍に増えた。

第4四半期の同部門の税引き前利益は過去最高の23億4000万スイス・フ ラン。中国工商銀行の220億ドル(約2兆6300億円)規模の新規株式公開(I PO)での引き受け業務などで、手数料収入19億6000万ドルを稼いだ。

マック氏の退社とともに単独のグループCEOとなったグルーベル氏は 2006年に、保険部門ウインタートウルの売却を成し遂げた。証券部門の社名か ら名門ファースト・ボストンの名前を除き、米欧部門の一体化も進めた。グル ーベルCEOは15日の電話会議で、「ここでの私の仕事は終わった」と語った。

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