米ダルトン社長:投資先に買収候補など提案-MBOは究極の選択(3)

米投資顧問ダルトン・インベストメンツの佐 野順一郎社長(51)はインタビューで、投資先の日本企業にM&A(合併・買収) 候補などを提案していく方針を示した。海外ネットワークを生かして事業展開を手 助けし、企業価値向上に結び付けることができるとみている。米投資ファンドが自 社の経営資源を通じて日本の製造業の技術の可能性を探る施策になる。

米ロサンゼルスに本社があるダルトンは、運用資金約1200億円のうち850億 円を主に日本株に投資している。日本企業の株式保有は製造業中心に30社近い。

この企業について佐野社長は都内本社で「事業提携先といった買収候補企業、 グローバル市場での事業拡大策、IR・株主向け広報を3本柱にいろいろな提案し ていく」と述べた。米国や中国(上海)に拠点・調査部門がある強みで日本企業の 海外事業拡大に有効な助言ができると強調している。

日本の製造業については匠(たくみ)の技を持っていると評価している。一方 で本業をこなせば良いという考えが根強く、IRがおろそかになっている面がある とも指摘した。こうした企業の価値向上に米ファンドの役割は大きいとみている。

M&A(合併・買収)に詳しい一橋大学大学院の服部暢達・客員教授は、ダル トンといった米投資ファンドについて、カーライルやコールバーグ・クラビス・ロ バーツ(KKR)などのバイアウト(買収)ファンドとは違い「さまざまな提案の 最終的な狙いは投資先企業の株価上昇」と指摘している。

買収ファンドが出資とともに役員を送り込んで事業を再構築しようとするのに 対して、投資ファンドは株価が上がれば売却して利益を確保するとの見方だ。この 点については佐野社長自身も「ダルトンはあくまで投資顧問の域から出ることはな い」と述べ、値上がり益確保の立場を肯定している。

投資先企業ではフジテックと鶴見製作所の上海工場を1月に視察、日本と同水 準の品質管理に満足して株式継続保有を再確認した。こうした企業を含む投資先へ の工場訪問や対話を通じて、企業価値向上策を提案していく意向だ。

サンテレでエグジット成功

ダルトンが投資していた情報通信機材商社サンテレホンは、2006年のダルトン 提案を受けてMBO(経営陣による企業買収)を実施、この手続きとしてのTOB (株式公開買い付け)が成功したことが15日、分かった。みずほ系ファンドが総 額339億円で株式86%を取得する。ダルトンは投資の資金回収(エグジット)に成 功、概算で三十数億円の売買益を確保した。

ダルトンは2004年には、出資していた帝国臓器製薬(現あすか製薬)にもM BOを提案していた。このMBOは実現せずダルトンは株主買取請求権を行使して エグジット、この投資損益はトントンだった。

投資先へのMBO提案について佐野社長は「究極の選択肢」と語り、サンテレ や帝国臓器の例は例外と強調した。例えばサンテレは、MBOをしないと株主基準 の観点から東証1部上場が同2部上場に落ちる恐れがあったとしている。

このため佐野社長は「現在投資している企業に、MBOを提案する考えはな い」とも強調した。市場2部落ちといった株主や企業価値が低下する状況に、いず れの企業も該当しないとの見方だ。同時に「企業側が主体的にMBOを選択、株 主・企業価値向上に結び付くならば保有株は手放す」とも述べた。

日興証券(現日興コーディアルグループ)出身の佐野社長は、2006年4月に日 興を退社してダルトン社長に就任した。一連の不祥事で株価が低迷している日興コ ーデについては、株価が1株当たり純資産である800円台半ばまで下落すれば投資 を開始する計画で、日興側にも非公式に伝えている。インタビューは8日に行った。

日興コーデ株についてはすでに米ハリス・アソシエイツやマッケンジー・ファ イナンシャル・コーポレーションといった投資会社が大量に取得していることが明 らかになっている。

   【ダルトンの主な投資企業一覧】(大量保有報告書からブルームバーグ作成)
    社名(証券コード)                       持ち株比率
光ビジネスフォーム(3948)                    19.07%
フジテック(6406)                            15.46%
日本精化(4362)                              12.50%
京三製作所(6742)                             8.73%
鶴見製作所(6351)                             6.21%

サンテレ株は前日比34円(3.2%)高の1109円。

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