自動車労組の春闘スタート-トヨタ賃上げ1500円要求、経営側難色(3)

回復基調が続く日本経済のリード役である トヨタ自動車をはじめとする自動車各社の労働組合は14日、経営側に賃金、一 時金(ボーナス)の引き上げなどを盛り込んだ要求書を提出、今春闘交渉が本格 的にスタートした。業界ではトヨタが快進撃を続ける一方で日産自動車が今期減 益を見込むなど業績にばらつきが出ているが、経営側はいずれも要求に対して慎 重な姿勢で臨む方針だ。

トヨタの木下光男副社長によると、トヨタ自動車労働組合は賃金改善分(賃 上げ)として前年を500円上回る1500円、一時金は過去最高となる年258万円 をそれぞれ要求した。賃上げ要求は2年連続、一時金は前年の要求・妥結額を 21万円上回る水準となる。一時金のこれまでの最高は2005年の要求・妥結額の 同244万円だった。

木下副社長は賃上げ要求について、「すでに国内はもとより世界的にみてト ップクラスの賃金であり、中長期的に固定費になる。申し入れに応えるのは極め て困難」との立場を表明。業績向上分は従来通り「賞与で応えていく」方針だが、 一時金要求額は「総額で約1500億円という大変な額になるだけに、慎重なうえ にも慎重な判断をしたい」と述べた。

トヨタの2006年10-12月(第3四半期)連結純利益は海外販売が伸びたう え為替が円安で推移したことが寄与し、前年同期比7.3%増の4268億円と、同 四半期の最高益を更新。通期の純利益予想も前期比13%増の1兆5500億円と過 去最高を更新する見込みだ。

賃上げを通じた個人消費の後押しなど春闘けん引役の期待が高いトヨタの 「社会的責任」に関して木下副社長は、「財布のひもを緩めるような魅力ある商 品を開発することが一番だと考えている」との考えを示した。

「大変厳しい」-下方修正の日産

日産自動車の発表によると、日産自動車労働組合は、賃上げに相当する「1 人当たり平均賃金改定原資」として7000円、年間一時金6.3か月分をそれぞれ 要求した。昨年は、平均賃金改定原資7000円、年間一時金6.4か月分を要求、 経営側の回答は7000円の平均賃金改定原資、6.2カ月分プラス3万5000円だっ た。賃上げ要求には02年度から満額回答が続いている。

川口均常務執行役員は、「先日業績修正をしたので、会社側としては今年度 は大変厳しい交渉になると思っている」と指摘、「一時金は業績連動制なので、 業績との関係でみていく」との姿勢を示した。賃上げも「ボディブローのように 効いてくるので、中長期的な観点でみていく」と語った。

日産は2日に07年3月期の連結純利益予想を従来の前年同期比0.9%増の 5230億円から同11%減の4600億円に下方修正。通期減益は7年ぶりで、カルロ ス・ゴーン最高経営責任者(CEO)体制になって初。

一方、ホンダの発表によると、本田技研労働組合は1人当たり平均1000円 相当の賃上げ、年間一時金6.6カ月分を要求した。昨年はトヨタ労組と同様に4 年ぶりに1000円相当の賃上げを要求し、経営側から600円の回答、また一時金 は6.7カ月分の要求に対し6.65カ月の回答をそれぞれ得ている。

産業の位置付け相応のレベルに-自動車総連

自動車業界の産業別組織である自動車総連の加藤裕治会長は同日午後、都内 で会見し、今年の春闘に臨む姿勢として「この間に挙げてきた成果が十分に分配 されていない。その是正をしたい」と表明。「緩やかな景気回復を続けるなか、 個人消費が立ち遅れた状態。家計が痛んでいる状態は改善できていない」と指摘 し、現在の自動車業界は「産業としての位置付けにふさわしい賃金のレベルでは ないと思っている」と語った。

厚生労働省所管の独立行政法人、労働政策研究・研修機構の江上寿美雄調 査部長は、「トヨタ労組は史上最高額のボーナスを要求している。賃上げも去年 の500円プラスだがボーナスの方にかなりウエートをかけている。結果的には賃 上げよりもボーナスの方につくという春闘になる可能性が強い」との見方を示し、 「賃金は1回増やすとなかなか下げられない下方硬直性がある」と指摘した。

トヨタ株価の午前終値は前日比10円(0.1%)安の8170円、日産は28円 (2.1%)高の1397円。ホンダは10円(0.2%)安の4880円。

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