【経済コラム】ヘッジファンドが牛を飼えば・・・-M・ギルバート

政治体制を特徴付ける有名なジョークの一つ にこんなものがある。あなたが牛を2頭飼っていたとしよう。共産主義体制で は、共同体に2頭を没収され、ミルク代まで請求される。一方の民主主義体制 では、あなたは投票で牛に2対1で敗れ、食肉加工品や乳製品が全面禁止され、 破たんして飢え死にする。

金融市場にも同じ考え方が適用できるだろう。牛でみたマネーの世界はこ んな様子だ。

レバレッジド・バイアウト:

あなたは2頭の牛を飼っている。ある日、牧場から帰宅すると、米投資会 社のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)共同創業者のヘンリー・ク ラビス氏が自分の妻とおしゃべりしているのを目にする。その2日後、あなた は妻も農場もテーブルも失い、相撲取りのような大男2人があなたの牛を乗り 回している。

為替市場:

あなたには2頭の牛がいるが、中国には1兆頭の牛がいる。ミルクの価格 を決めるのはいったい誰なのか。

債券市場:

あなたは2頭の牛を飼っている。1頭はブラジル生まれでもう1頭はオー ストラリア生まれ。2頭から絞り取る牛乳は1日に25クオート(1クオート= 約1.14リットル)で、ミルクがあまり出ないドイツと米国の牛2頭と交換した 3年前の約半分に減ったため、ナミビアの牛2頭との交換を考えている。 脚は3本しかないが、1日に取れる牛乳は26クオートだ。

デリバティブ:

あなたには2頭の牛がいるが、これを5つに分けてから一つにまとめて乳 汁担保証券(CLO)にし、トリプルA格付けの金利を払う。さらにCLOを 10に切り分けて投資家に売りながら、ミルクから乳脂を自分用にすくい取る。 牛の3つの部分が病気になり、格付けは急落するが、あなたは引き続き乳脂を すくい取れる。

ヘッジファンド:

あなたは2頭の牛を飼っている。開襟シャツを着た男がベントレーで乗り 付けてきて、あなたの代わりに牛の面倒をみるから、1年分のステーキと牛乳 の半分をくれと言う。牛は2年間、牧場から出られない。半年後、あなたの牛 は半分の1頭に減り、牛乳もまずくなった。「あしたロース肉が欲しいのなら、 今日ランプ肉を失っても構わないだろう」と、このヘッジファンドの男は、サ ーロインとシャンパンで口をいっぱいにしながらつぶやく。

マイクロソフト:

年老いてくたびれた牛が1頭いる。最近、心臓移植手術をしたが、遅過ぎ て助からないかもしれない。

グーグル:

あなたは牛を1頭も持っていないが、ほかの人に牛にすべて広告を貼り付 ければ、牛乳がどっと入ってくる。それを元手に牛に再投資する。

アップル:

誰もあなたの牛を欲しがらないので、最高にかわいい牛乳瓶をデザインし てみた。すると、皆があなたの牛を欲しがるようになった。

ゴールドマン・サックス・グループ:

2万6467頭の牛がいる。毎日24時間、週7日休みなしで搾乳機に縛り付 けられている。望む以上の干し草をもらえる牛もいるが、ほかの牛はいつか自 分もそれだけの干し草をもらおうと意欲を燃やしている。一番多く干し草をも らった牛は、最終的に政府の要職に就く。

クレジット・デフォルトスワップ:

あなたは2頭の牛に死亡保険をかけて、契約書を書類の山にしまい込む。 ある暗い夜、ヘンリー・クラビス氏があなたの牛をこっそりと持ち去った。あ なたが書類を見つけ出すころには、契約は期限切れだ。

商品:

株式や債券を多く保有していても牛を持っていないとしたら、正気の沙汰 (さた)ではない。牛はホットな市場だ。上場されている牛の先物契約を買え ば、損することはあり得ない。この半年で40%上昇した。

金:

あなたには2頭の牛がいる。あなたは1933年に米政府が牛本位制度を離脱 したのは、世界の中央銀行が家畜の価値破壊を狙った世界的陰謀の一部だと、 ブログにつづる日々を送る。 (マーク・ギルバート)

(マーク・・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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