円安懸念で欧州は日米の反対に直面-G7、きょう開幕

9日に始まる7カ国財務相・中央銀行総裁 会議(G7)では、円安に警鐘を鳴らしたい欧州諸国の財務相が他国からの同 調を得られない公算が大きい。

円相場は対ユーロで最安値圏で取引されており、フランスのブルトン財務 相やドイツのシュタインブリュック財務相は円下落が欧州の輸出に悪影響を与 える恐れがあると指摘している。これに対し、米国のポールソン財務長官は円 が安過ぎるとの議論に同調せず、日本の当局者も昨年示したような懸念を表し ていない。

リーマン・ブラザーズのエコノミスト、マイケル・ヒューム氏は「欧州が 懸念を表明したいと言っても、耳に入らない公算が大きい。政策協調の行動は 現時点でなさそうだ」と語る。

円は1月、対ドルで4年ぶり安値、対ポンドでほぼ15年ぶりの安値まで下 落したが、今週に入って反発。ドイツのエッセンで9、10両日開催されるG7 で円安問題を取り上げるよう求める欧州当局者の強い主張があったためだ。G 7が会議後の声明で円安に触れない結果に終われば、円は再び下落基調に入る かもしれない。

コメルツ銀行の為替ストラテジスト、アントイェ・プレフケ氏(フランク フルト在勤)は「われわれが予想するように、声明で円に関する文言がなけれ ば、円はその後急激に値を下げるかもしれない」と予測する。

そんな結果になれば、円安は日本の戦後最長の景気拡大を反映していない と主張してきたブルトン仏財務相やシュタインブリュック独財務相は失望する だろう。ブルトン財務相は1月30日、円相場が「日本経済の本当の価値を反映 せねばならない」と述べ、シュタインブリュック財務相も同日、「円は大きく 下げた」と語った。

キャリー取引

円安懸念の背景にあるのは、日本の政策金利の水準がG7各国の中で0.25 %と最低で、これが円を借りて高金利資産に投資する取引を助長したとの見方 だ。バークレイズ・キャピタルによれば、同取引の規模はロシアの経済危機で キャリー取引の巻き戻しが発生し、ヘッジファンドのロング・ターム・キャピタ ル・マネジメントの実質破たんにつながった1998年以来の高水準にある。

ユーロ圏の代表としてG7に出席するルクセンブルクのユンケル首相兼財 務相のために準備された原稿は、日本の低金利維持が「為替相場をゆがめる恐 れがあり、世界の不均衡の無秩序な調整を引き起こすリスクがある」としてい る。また、同首相は1月29日、日本の現在の景気回復が円相場に反映されるべ きだということを「より強く主張したい」と記者団に語っている。

G7は過去3年にわたり、為替相場に影響を与えるような内容の声明は出 していない。声明は為替相場について「ファンダメンタルズを反映すべきだ」 とし、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済成長にとって望ましく ない」との見解を示してきた。その間に相場上昇が必要だと名指しされたのは 中国の人民元のみで、円安について最後に指摘されたのは1998年4月。

ポールソン米財務長官は欧州当局者に同調する姿勢を示していない。同長 官は議会で今週、円相場に日本政府が下押し圧力をかけている事実はなく、依 然デフレ状況にある経済を反映して取引されているとの認識を示した。

今月1日のワシントンでのインタビューで、ポールソン長官は今回のG7 で引き続き中国に対して為替レートの上昇を促したい意向を示唆している。人 民元の上昇率はドルに対するペッグ(連動)制廃止以来、約6.5%にとどまって いるためだ。円について同長官は、「中国と対照的に、円は経済ファンダメン タルズに基づき開かれた競争の働く市場で取引されている」と述べた。

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